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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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71 前向きな人ですね


 ステラさんがいるお蔭で、まったく苦労が無い階層になっています。

 確かに強そうな魔物も現れるのですが……。


「おい! こっちに大型のサイクロプスが向かって来るぞ! あんなでかいのが徘徊しているのかよ!」


「大通りに出たら巨人とか、変な配置をしている町ですね」


「感心するとこがそこなのかよ!」


 半分腐ったような大きい巨人が向かってきますが、魔法の範囲に入ると触れた所から灰になっていきます。

 みんな戦うつもりだったようですが、私とカミラは相手の鑑定が出来ますので、ただ見ていただけです。


「灰になってしまいましたね。先輩の仕事なのですから、通る時に魔石と金貨か宝石が埋もれているので回収して下さいよ」


 聖域のお蔭で護衛が不要になったので、先輩には灰の中から魔石と宝石か金貨が混ざっているので回収を頼んでいます。

 セリスがせっせと回収しているのですが、数が多くて大変なので、手が空いている人は歩きながら宝探しをしている状態です。

 ちなみに、私はステラさんに抱き着かれて、マナを供給している状態です。

 この魔法を維持するのに、私の自然回復量が要るので、何もしなくてもいいと言われています。


「あ、ああ……しかし、あんな化け物が消滅するとか、おかしいだろう……」


「いまのアンデット・サイクロプスはレベル74でしたから、ここまで来れないですよ?」


「お前は鑑定が出来るのか……俺だったら、一撃で殺されそうだ……あの嬢ちゃんのレベルはいくつなんだよ?」


「クロード先輩でも一撃くらいなら耐えれると思いますが、ステラさんのレベルは169ですよ」


「まじか! この娘が俺の3倍以上なのかよ……」


「私達の中で一番レベルが低いのはキャロのレベル50で、次にエルナのレベル108です」


「そうなると俺が最弱だぞ……俺の記憶が確かなら、エルナのレベルは学園の入学の時点ではユリウスより低かったはずなのに、どうやったらそんなに強くなるんだ?」


「そんなの、ひたすら魔物を倒させたからに決まってますよ。パーティーから外して単独で無理な魔物でも無理矢理狩ってもらいましたからね。勿論ですが、サポートは万全でしたから、時間の限りひたすら戦うだけのお仕事です」


「あの頃は大変でしたよ? シノアへの愛が無ければ、私はとっくに挫折していましたよ? でも、シノアと一緒にいる為の愛の試練と思って、私は頑張りました!」


 また、エルナがわけのわからない事を……。


「ひたすら戦わせるとか、お前って、悪魔だな……しかし、お前も愛か……この国で、もっとも影響力がある両公爵家の娘がこれで良いのか?」


 ほら、将来の不安要素を指摘されていますよ。

 しかし、いつもながら、私の評価は鬼畜とか悪魔ばっかしですね……でも、アルカードを見ていると恐ろしく強いのに、ただの便利な雑用係にしか見えないんですけど……そうすると、私はただの便利な子になってしまいますね。


「オリビアは知りませんが、私は弟に全て任せる予定です。いずれシノアと愛の旅に出るつもりですよ?」


「愛の旅か……まあいいんだが。そうすると、シノアはいずれこの国を出てどこかに行くのか?」


「ここのダンジョンを制覇したら、違う国に行こうと思っています。先日、学園に行った時にエレノアさんに聞いたのですが、60階層を突破したら、卒業の資格があるそうなので、あとは学問の方で卒業試験が受かれば問題無いそうです。欲深いアイリ先生と違って、ちゃんと教えてくれるので、学園長でいる間は賄賂を継続する約束をしましたよ」


「その話は本当なのですか! それでしたら、私にはもうその資格があるので、卒業試験さえ合格すれば眠い授業とお別れできますね!」


 あっ、黙っておくつもりだったのに、勉強嫌いなエルナに知られてしまいましたよ。


「60階層を突破すれば、そんな特典があったのか。ところで聞きたいんだが、60階層のボスってどんな相手なんだ?」


「60階層からは、扉を開けた者の実力次第で変わるらしいのです。私達の時は、先輩が持っている剣の材料になった氷龍のおっちゃんでしたよ」


「ドラゴンのおっちゃんとか意味がわからんが、俺のパーティーで倒せるのか?」


「無理じゃないでしょうか? 多分ですがおっちゃんのコールド・ブレスで全滅しますよ? おっちゃんのレベルは確か150ぐらいだったはずです。それに会話も可能で、その辺の魔物と違って頭も良いですからね」


「うちのパーティーにそんな物を防げる奴はいないから、絶対に死ぬな。大体、そんな物をどうやって防ぐんだよ?」


「ブレスは『ストーン・ウォール』で広域な壁を作れば防げますし、セリスの魔法で体温は常に保たれていましたから、特に問題はありませんでした」


「お前の異常な『ストーン・ウォール』か……建物が作れる時点であり得ないんだよな……」


 なんか酷い事を言ってますが、イメージ力の違いだけなんですけど!

 今なら、キャロもそこそこの建物が作れるんですよ?


「作れないのは制御と想像力が足りないだけです。今晩は、キャロに作ってもらいますので、私を異常扱いするのは止めて下さい」


「この娘も作れるのか?」


「そういう事なので、今晩の建物はキャロに作ってもらいます。お願いしますよ」


「はぁはぁ、か、畏まりました、シノア様」


 キャロには練習も兼ねているので、遠距離の相手を攻撃をさせていますから、お疲れのようです。

 単発の『アース・ジャベリン』だったら、正面の敵に真っすぐ撃てるので、倒させています。

 出来るか分からなかったのですが、ステラさんとキャロだけの2人だけでパーティーを組む事が出来たので、一応キャロのレベル上げになっています。

 残りのメンバーで組む事も出来たので、問題無いみたいです。

 いま、ステラさんのレベルが上がった見たいです、が私も上がっているので、どうも私がどちらのパーティーにもいると認識されているみたいです。

 

「しかし、こんな方法で突破するとか、聖魔術は必須なんだな。俺は魔術なんて使えんからどうしょうもないが、今までは回復魔法だけと思っていた考えを改めないといかんな」


「この魔法は最上級魔法らしいですが、使えたとしてもレベルが低かったらさっきの巨人と戦う事になりますよ」


「ちなみに、他に消滅した騎士みたいな奴とか魔獣みたいな奴のレベルっていくつなんだ?」


「騎士というのは、首を持って馬に乗って突撃してきたデュラハンですよね? 確かレベルは62でした。大型のクマ見たいなのは、デス・ベアーとかで、レベルは57でした。後のゾンビやグールの平均レベルは40ですね」


「まじか……お前らが雑魚とか言っている奴らなら、何とか倒せるが……デス・ベアーと戦ったら、苦戦しそうだし、デュラハンと戦ったら、もうやばいな……」


「試しにデュラハンと戦ってみますか? 支援魔法は掛けますので、何とかなると思いますよ?」


「なら、次にいたら一度戦わせてくれ」


「おっ、早速発見しましたので、ステラさん、クロード先輩に強化を掛けてあげて下さい」


「うちに任せて下さい! 『ブースト・マジック!』、『ブレッシング!』、『プロテェクション!』、『ホーリー・ヴァインド!』これで、倒せるはずなので頑張って下さい!」


「何だかわからんがスゲー力を感じるぞ! これなら、行けそうだ。ちょっと行って来るぜ!」


 なんか張り切って向かって行きました。ステラさんがいるので、死んだらすぐに蘇生すれば問題無いと思いますが、セリスの強化魔法より明らかに強さが増しましたよ。


「ステラさんの支援魔法って、すごく強くなったと感じましたが、何が違うのですか?」


「うちが最初に使った魔法に秘密が有るのです! 最初に使ってから次に身体強化の魔法を唱えると効果が倍増する魔法なのです。剣の付与は別ですが、身体強化の攻撃力と防御力が普通の2倍になっているはずです」


「私には使えないのですが、あれはそんなすごい魔法でしたか」


「最上級聖魔術に分類されています。同じ聖魔術に限定されますが、攻撃魔法にも使えます。ただ、マナの消費が3倍になるので、注意が必要ですよ?」


「一撃の威力が3倍とか、素晴らしい魔法ですね……私も聖魔術の適性が有ったら良かったなー」


「サテラちゃんに聞いていますが、シノアちゃんは代わりに沢山の種類が使えますので、何でも出来るので素晴らしいと思いますよ?」


「器用貧乏とも言いますねー」


 クロード先輩を見ていましたが、やばいかなと思ってました。危うそうな所もありましたが、ちゃんと倒せましたね。

 ステラさんと話をしながら見ていたのですが、死んだらすぐに生き返させないといけないと思っていましたので、良かったです。

 調子に乗って、クマを発見して斬り込んでいて、一撃で倒しています。


「ところで、あの魔法の効果はどのくらい持つのですか?」


「しばらくは大丈夫ですが、彼の実力を考えると、切れたら逆に一撃で殺されてしまうので、注意した方が良いかと思いますよ? 一応見ているので、ヒールぐらいでしたらすぐに飛ばせるようにしていますから、遠くに行って欲しくは無いですね」


 まさか、ステラさんがそんな分析をするとは意外でした……鑑定は無いのですが、後方支援に徹していたらしいので、戦闘に関しては人を見る目があるのかも知れませんね。


「クロード先輩ー、あんまり遠くに行って死んだら、無視して進むので、近くにいて下さいねー。あと、ちゃんと仕事もしないとご飯抜きにしますからねー」


「おう! ちゃんと仕事もするから、飯抜きは勘弁してくれー。それにしても、無視とか扱いがひでぇなー」


 こうでも言っておかないと、余計な手間が増えそうなんですよね。

 今だって、近くにいるのは、黙々と攻撃しているキャロと真面目に回収をやっているセリスとカミラだけで、シズクなんてどこかに行ってしまいましたよ。

 近くにいる反応があるので問題無いのですが、先ほど念話で会話したら、今のうちに沢山倒して恐怖を克服して来ますとか言ってました。大丈夫なのでしょうか?

 エルナはその辺の棒切れで適当に突いて探しているだけなので、後でデザート無しの刑にしてあげます。

 この階層はお金にならないと思っていたのですが、魔物が宝石とか金貨なんか持っているので、意外と稼げるかも知れません。

 ただ素材に関しては、全て灰になっているのでダメです。仮に倒しても汚いので収納にしまうのも嫌なんですよね……どうせ腐っているか、壊れたような物ばっかしです。

 カミラとセリスがエルナが突いた後の灰も確認して回収しています。完全なサボりが確定しましたので、後でみんなで責めて反論できないようにしてしまいましょう。

 ちゃんと地道にコツコツと貯めておかないと、いざという時に困るんですからね?

 この辺はお嬢様だったので、仕方ないと言えばそれまでなのですが、私と一緒にいるからにはお金に関しては厳しく躾けますからね!



 まったく障害が無いので、時間的に夜までに62階層の途中まで来ました。本日はここで野営をしようと思います。

 少し前からキャロを休ませておいたので、『クリエイト・ウォール』で建物を作ってもらいました。私のようなシズクの知識が混ざっている物とは違って、シンプルな家の部屋に近い感じになりました。

 前回までは囲うだけしか出来なかったのに、素晴らしい成長です。

 建築物の書物を渡しておいたので、寝る前にずっと読んでいたそうですが、エルナに見習わせたいぐらいの努力家ですよ。


「シノア様、こんな感じになりましたが、宜しいでしょうか? 私の作った物ですが、1日ぐらいなら保てると思います。シノア様には及びませんが……」


「これだけ出来れば十分にすごいですよ。学園にいる人達は建物なんて作れませんよ」


「そう言ってもらえると安心致します。次回までにもっとイメージを細かく練れるように頑張りたいと思います」


 模範的な素晴らしい答えです。

 キャロが学園に通っていたら、絶対にSクラスになれたはずですよ。

 外で食事でもしょうと思いましたが、範囲外で死体がうろついていますから、気分が悪いので中にしました。

 食材だけは現地で確保不能と思って、大量に持ってきましたので安心です。

 当然、食後におやつを出してあげたのですが、エルナだけ無しです。


「ちょっとシノア、私にだけ紅茶とケーキをくれないのは何故なのですか?」


「言われた事をサボっていたのですから、当然です。調子に乗っていたクロード先輩ですら、ちゃんと回収していたのにエルナは棒で突いていただけですよね?」


「そんなところまで見ていたのですか……だって、灰とはいえ……あの汚い死体だったと思うと手で掘り返して探すとか、抵抗があったから……」


「一番怖がっていたシズクが一番回収していますよ? 私の知識の中に働かざる者は食うべからずとの言葉が有るのです。それに照らし合わせるとエルナは失格ですね」


「明日からは、私もちゃんとしますので、いじわるしないで下さい! 私だけ無いとか仕打ちが酷すぎます!」


「俺ので良かったら、食うか?」


「殿下が手を付けた物など要りません! シノアかシズクちゃんかステラちゃんのでしたら、喜んでいただきますよ?」


 見た目が幼い人選ばかりではないですか。


「まあいいんだが、これ美味いな! 肉ばっかし食っていたが、こんなに美味いなら、たまには食うようにするか」


「エルナちゃん、うちの半分食べますか?」


「ステラちゃんは、なんて優しいのですか! いつもの逆になってしまいますが、そのスプーンで私に餌付けして下さい!」


 同じスプーン食べたいとか、世間の人が見たら変態と思われますよ?

 既にクロード先輩の見る目が呆れています。


「仕方ないので、出してあげます。明日からはしっかりと働いて下さいよ?」


「ありがとう、シノア! やっぱり私の事を愛してくれているのですね! ステラちゃんの餌付けも惜しいのですが、ここはシノアの愛に感謝していただきます!」


 その愛とかいうのを連呼するのは止めて下さい。

 明日からはちゃんとする約束であげましたが、私も何だかんだでエルナには甘いですね。



 食事の後は、私が外周に外が見えないように壁を立てて、別にお風呂を作って入ろうとしたのですが……当然ですが、クロード先輩はセリスに文句を言われまくっています。


「どうして貴方がこちらに来ようとしているのですか?」


「いや、こんな所で風呂に入れるのだったら、俺も入りたいんだが……」


 セリスが虫けらでも見るように先輩を見ています。


「まさかとは思いますが、私達と同じ湯に浸かれると思っているのですか? ましてや、男性である貴方がシノア様の裸を見たら、私は必ず貴方の首を刎ねます」


「一緒に入れるとは思っていないが、シノアの裸を見たら俺は殺されるのかよ……だったら、ユリウスの奴は一度殺されているのか?」


「!? それはどういう事なのですか! 確かユリウスという者は、大会でシノア様に無残にボロ負けした者ですよね? 特別に許しますので、その汚らしい口で説明しなさい!」


「俺に対する態度がひでぇーが、ユリウスの奴も気の毒な覚え方をされているな……」


「どうでも良いので早く言いなさい!」


 セリスは私の事になると、大人しい性格から激変しますからね。


「あいつは、シノアが海から裸で出てきたところを見たとか言っていたんだよ。朝日に照らされて綺麗だったとか言ってやがったが、多分だがあいつはシノアに惚れてると思うぞ?」


 クロード先輩にそんな事を話していたのですか……ユリウスにはミヨナさんがいるから勘違いでは?

 なんか、セリスからめっちゃ怒りの感情を感じますが、別に良いと思うのですけど?


「その話は本当なのですか?」


「想い耽って黄昏ていた時に聞いたんだが、あいつは嘘とか吐かんから、間違ってないだろう。そんなにバッチリと見ているんだから、いま見られた本人に聞けば良いだろ?」


 ちょっと、私に振らないで下さいよ。


「シノア様、今の話は本当なのですか?」


「あー、ちょっと海で魔物を狩っていた時に、たまたま朝早く起きて散歩をしていたユリウスと出会ってしまっただけですよ」


「海ですか……私は行けなかったのですが……水着を沢山持っていったと思いますが、どうしたのですか?」


「えーと……裸で泳いだ方が気持ち良かったし、魔物の攻撃で既に何枚か穴だらけになっていたから、無しの方が楽だったのです」


「シノア、ちょっと良いかしら?」


「何ですか?」


 エルナが質問して来ましたが……あっ……水着を穴だらけにしてしまったのがばれてしまったし、脱いでいた事を責められる予感がします!


「夜中に貴女がいないのは気付いていましたが、まさか暗闇の海の中にいたなんて……しかも私が貴女の為に選んだ水着を穴だらけとはどういう事なのですか? しかも殿方に全てを晒すなど……いまは、ダンジョンの中なので貴女に従いますが、お屋敷に戻ったらお話がありますからね?」


 あー、久しぶりに女性の何たるかの説教が約束されてしまいました。


「戻ったら、ユリウスという者に天罰を加えます」


 こっちも何か言ってますが、殺さないで下さいよ?


「天罰とか何をするつもりなのですか? 私は別に気にしていませんので、殺すとか酷い事はしてはいけませんよ?」


「穢れを知らない私の大事なシノア様の裸を見たのですから、目を潰してしまおうと思います。殺しはしませんので、安心して下さい。本当はシノア様に惚れているなどとふざけた感情が消えるまで切り刻みたい所なのですが、確かオリビア様と道場に来ていたはずなので、その時に躾けておきます」


 ちょっと、ダメでしょ!

 

「おおぅ……ユリウスの奴も気の毒だな……殺されないだけましかも知れないが、恐ろしいな……」


 いや、クロード先輩が言わなければ問題が発生しなかったのに、このまま弟を見殺しにする気ですか?


「とにかく、クロード先輩は殺さなければ何をしても構いませんが、ユリウスに手を出したら、私がセリスに天罰を下します。ダメですからね?」


「しかし……」


「今すぐに誓ってくれないと、こないだの事をここで暴露してしまいますよ?」


「暴露とは……もしかして!?」


「そうです。セリスが私の……」


「シノア様! 今ここに、ご命令に従うと誓いますので、お許し下さい!」


「納得してくれて、嬉しいですよ。私は、素直なセリスは大好きなので、嫌いにならなくて良かったです」


「これだけ態度が変わるとか、この姉ちゃんの秘密とかすごく興味が湧くな……」


「お前に対しては、殺す以外は認められているのですから、よく考えて行動するように肝に銘じておきなさい」


「俺だけ、扱いが酷すぎるんだが……」


「弟の秘密を暴露とかするからですよ。お蔭で私までとばっちりを受けたんですから、当然ですよ」


「それで、俺は風呂はダメなのか?」


「仕方ありませんね。キャロ、1人ぐらい入れる入れ物を作って下さい」


「セリスさん、入れ物とは……」


「その男が入れるぐらいの物で良いのですが、外壁の端の方でお願いします。シノア様には申し訳ないのですが、出来た入れ物にその汚物を洗う湯をお願いします」


「わかりましたが、クロード先輩を汚物とか言うのは止めてあげて下さい。流石にちょっと可哀想になって来ました」


「男1人というのがこんなに肩身が狭いとは。同じような比率の冒険者のパーティーを知っているんだが、あいつもこんな扱いなんだろうか……」


 セリスが特別なだけで、多分違うと思いますよ。

 まあ、気の毒なので1人用のちゃんとした物を作ってあげました。寝るときになったのですが、建物に入る事だけはセリスが絶対に譲らなかったので、1人だけ外で寝てもらう事にしました。

 この聖域は眠っていても解除しない限りは継続可能らしいですから、襲われる心配はないので問題はありません。

 ただ……ステラさんって、脱いで寝るから、私も脱がして抱き着いて来るのですよね。

 離れていると知らない間に解除されていたら大変なので良いんですが、改めて押し付けられるとカミラよりけしからんと思いました。



 翌朝といっても、時間的に朝になっただけで、景色は赤い月が出ているままです。

 食事の用意をして、外の棺桶を開けると、あれだけ騒いでいたのにこの人はまだ寝ていますよ。

 夜中に忍び込むかも知れないとセリスが言うので、クロード先輩が入れる箱の寝床を作って、重たい鉱石の蓋をして、呼吸だけ出来るようにして封印されてしまいました。

 セリスに脅されているので、素直に従って眠りについたようですが、セリスがこのまま捨てて行こうとか言い出すので、しばらくは叫んでいましたね。


「クロード先輩、時間なので起きて下さい」


「おっ、俺は生きているのか?」


「大丈夫ですから、起きて顔を洗ったら、食事にしましょう。もうしばらくしたら、エルナ達が出てきます。身だしなみをちゃんとしておかないと、セリスが言い掛かりを付けてきますよ?」


「わかったぜ。しかし、あの姉ちゃんは恐ろしいな……俺を閉じ込めたと思ったら、そのまま捨てて行こうとか言い出した時は、もう助からないと思ったぞ」


「セリスは、私を絶対視していますからね。特に男性が近づくとすごく機嫌が悪くなるので、なるべく怒らせないようにして下さい」


「最初にあんな事を言わなければ良かったぜ……性格はともかく、すごく俺の好みなんだが、まともに話ぐらいは出来るようになりたいぜ」


「へぇー、クロード先輩はセリスが好みなのですか? 可哀想な先輩に1つ良い事を教えてあげます。セリスはしつこいぐらいの熱意には意外と弱いですよ。あっ、これは私の独り言ですから、聞き流して下さい」


「おぅ、何かお告げが聞こえたみたいだな。俺からも独り言なんだが、ユリウスの奴は海で見た女神様に本気で惚れているみたいだから、無下にはしないでやってくれると助かる」


 私を女神様に例えているみたいです。ユリウスには悪いけど、私はそのような事に関心が持てないので、何か行動を起こしても応えられません。

 ただ、ちょっと頑張っているので、応援はしたいとは思っているのですけど、私は人間では無いので、どちらにしても無理なんですよね。


「まあ、良く分りませんが、食事でもしますよ」


「良い匂いがするが、こんな所で普通に飯が食えるとか、お前らはすご過ぎるわ。今まで、ダンジョンでは腹に入れるだけの食事しかした事がないからな」


「私は、食べる事だけは妥協したくありませんからね」


 食事をしてから、外壁を解除したら、灰がいっぱいなので、約束通りエルナには頑張って発掘してもらいました。風呂に入りたいとか我が儘を言ってましたが、そこはステラさんの範囲洗浄魔法で我慢してもらいました。これ居座っているだけで儲かりそうですねー。


 

 そのまま安定して散歩をする感じで進んでいると、意外にも、他のパーティーとも遭遇しました。大体3パーティーぐらいで固まって行動しているみたいです。

 素材の方は望めないかもしれませんが、金銭面はかなり美味しいみたいですね。

 お昼の時に私達が食事をしていると、可能なら私達の温かい食事を販売して欲しいと言われるので、臨時の食堂を始めたら意外と人が来ます。

 ついでだったので、聖域内に椅子とテーブルを作って、この安全地帯で食べるなら場所代も必要ですと言ったら、あっさり払うのですよね。

 強そうな人達もいたのですが、この魔法の事も知っている人がいたので、自動的に私達のレベルが高い事ばればれです!

 最初のクロード先輩みたいに、巨人が向かって来た時はみんな戦闘態勢になったのに、目の前で灰になったからね……。

 そんな調子で進んでいたのですが、67階層で初めて遭遇したボーン・ドラゴン(レベル86)が灰になった時は、魔術師の方の見る目が尊敬でもしてる感じになっていましたね。

 気が付くと、ほとんどのパーティーが私達の近くにいる状況になって来ました。

 途中から、場所代は無しにしたので、あちらこちらで聖域の範囲内が休憩所に……。


「おい、シノアよ。かなり大所帯になって来たんだが良いのか? お前らの世話になっている俺が言うのもなんだが中にはここに敵を引っ張って来て、楽している奴もいるぞ?」


「別に良いのではないですか? 私としては魔物を引っ張って来てくれた方がキャロのレベルがどんどん上がるので、問題無いですよ? 彼等には魔石だけ渡してくれるのなら、良いと許可を出しましたから」


「いつそんな話をしていたんだ……」


「クロード先輩がステラさんに強化してもらって、出張している間ですよ。リーダーの方が何組か来ましたので、それで話が付いています」


「こんな魔法があったら、アホらしくて戦ってられんからな……しかし、自分が倒した事にならんが、良いのか?」


「んー、ここは金銭効率は良いのですが、食糧問題がきついので、今のうちに突破したいそうです。50階層からは、5階層単位で転送の魔法陣が有りますので、次からは転移部屋から移動できますからね。なるべく死なせたくないのはわかりますが、この辺がこのダンジョンの緩い所です」


「普通のダンジョンとかだったらあり得ないんだが、俺達としてもそうじゃなかったら、ちときついぜ」


「クロード先輩も結構レベルが上がりましたので、良かったですね」


「ステラ嬢ちゃんと違うパーティーなのに意外と上がると思っていたら、シズク嬢ちゃんが狩りまくっていると知ったんだが、最近の年下の娘は恐ろしく強いな……寄生している自覚は有るんだがな」


「強化支援をもらっているとはいえ、クロード先輩も調子に乗って結構倒してますから、別に寄生ではないでしょう?」


「そう言ってもらえると助かるよ。しかし、お前らには頭が上がらなくなったが、強くなれるんだから文句は無いぜ。戻ったら、あいつらの中で俺のレベルが最強になるから、しっかりと見せつけてやれるぜ!」


「いまの強さは、ステラさんの特殊強化なので、普通の強化魔法と同じと勘違いすると危険ですからね?」


「分っているから、大丈夫だ。こんなあからさまに実感できる魔法は初めてだからな。また戦って来るから、可愛い嬢ちゃんの強化を頼むぜ!」


「任せて下さい! 可愛いうちの力で頑張って下さいね!」


 強化してもらったら、突撃していきました。脳筋の人は単純でいいですね。

 ステラさんも可愛いと煽てられているので、上機嫌で支援をしまくっています。私はときどきマナポーションを飲まないと、マナが減ったままなんですよね。

 他のパーティーの人にもヒールとか飛ばしているので、聖女扱いです。

 私は、ただの無限の食糧庫を持つ食事担当みたいなので、マスターとか言われてます。アルコールを出したのがまずかったかな……。

 そんなこんなで、69階層まで来ました。遠くから見えていたお城に入ったのですが、ここは人型のあまり腐ったりしてない顔色の悪い騎士とか戦士のアンデットばっかしなのです。たまに魔術師が混じっているので、流石に普通に防御しないとまずくなってきました。

 たまに矢がまともに命中したりして死人が出ましたが、ステラさんが蘇生してくれたので、誰も欠けませんでした。ここだけはこちらも真面目に戦いながら進んで、70階層の入り口らしいところまで来ました。

 いつもは階段なのですが、大きな扉がある空間で魔法陣もあるし、敵が襲ってこないので安全地帯みたいです。

 まあ、ここからお城の中が70階層という認識なのでしょうね。

 他の人達は、ここで一度戻る事にしたみたいです。戻ったら改めてお礼がしたいと言って戻って行きました。

 生き返らせてもらった人なんて、ステラさんに感謝しまくっていましたね。

 どうでも良いのですが、蘇生の魔法のマナの消費って、結構大きい事がわかりましたよ。

 さて、雰囲気的にボスのいる場所はお城の玉座と思いますが、考えて見たら、お城とか初めて入りますのでちょっと楽しみです!

 

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