70 便利な子
今日からは、やっとダンジョンの続きが出来ます!
色々とあったので、なんか久しぶりの気がします。地味に上げていたレベルも一気に上がったので、もうこのまま100階層まで突破したいと思います。
ギムさん達のレベルも超えたので到達は可能と思いますが、問題は私達の実力次第で変わる門番のボスだけなのです。当然と思いますが、同じ敵ではないですよね?
いざとなれば無敵の盾が2人もいるし、アルカードを呼べば問題が無いので気にしてはいませんが、出来るだけ呼ばないようにしないと、サテラ辺りがうるさいですからね。
取り敢えず61階層からは、死霊都市とか言ってましたが、地下に都市とかどうやって構築しているのか見物です。
雑魚の露払いはステラさんがしてくれるので、一番レベルの低いキャロをメインに、私達はサポートに回ろうと思っています。
出発する前に工房でカミラに頼まれた矢を作りながら話していたのですが、シズクが難色を示しています。
イケイケの突撃娘なのですが、人型のアンデットとかゾンビなどには、とても怯えてしまうのですよね。
何でも小さい頃から、夜になるとお姉さんにホラー関係の話や映画なる物を見せられて、見たり聞いたりした日は布団から出られなくて、翌朝に大変な事になっていたとか……だからオムツに抵抗がなかったのですね。
「そうなるとシズクは今回はお休みしますか?」
「そうしたいのですが……この世界でそんな弱点があるのは致命的になってしまうので、今回は恐怖を克服する修行と思って参加致します。なのでいつかのお漏らし対策のアイテムを沢山作って下さい……」
「それは構いませんが、大丈夫ですか? 無理をする事はないと思うのですが?」
「シズクちゃんはアンデットが苦手なのですか?」
ステラさんは初めて一緒に行動しますから、私達の事は殆ど知らないので、シズクの苦手など知りませんからね。
「ちょっと人型のアンデットの耐性がないので、苦手なのですよ」
「あの爛れたと感じと気持ち悪いのが無ければ問題無いのですが……中身の無い幽霊の鎧とかなら普通に戦えるのですが、ゾンビのような気味の悪い物を見ると……」
「わかりました! うちの魔法で、その恐怖心を取り除くので安心して下さい! うちはサポート系の魔法は大抵使えますのでお任せください!」
「そんな魔法があるのですか?」
「聖魔術の『マインド・レジスト』を使えば、パーティーメンバーの精神的な恐怖心などを取り除く事が可能です」
「名前だけは知っていましたがそんな効果の魔法でしたか。セリスは使えますか?」
「申し訳ありません。私は使う事が出来ません」
「セリスちゃんも最上級になれば使えるようになると思います! この魔法は精神的な状態異常は全て無効に出来るので、相手からの精神的な攻撃を防げる素晴らしい魔法ですよ!」
「精神的な攻撃なら全てとか、すごく使い道がある魔法ですね」
「精神力の高い人は不要なのですが、地味に精神攻撃をしてくる者もいたので、掛けておかないと危険でしたよ? いまは戦争もしてないみたいなのでどうなのか分かりませんが、主な部隊には必須の魔法です」
「それなら、私も安定して戦えるので問題有りませんね! ステラお姉ちゃんは素晴らしいです!」
「やっと、うちが褒められる時が来ました! 役に立ったらサテラちゃんにいっぱい話して、うちを褒めるように言って下さいね! エレーンさんのお店から戻って来たら、うちはまたいじめられるので言葉の支援が欲しいのです!」
そう言えば、ずっと戻って来ませんが、どうしているのやら……エレーンさんの八つ当たりを受けている事は間違いないのですが、戻って来た時のこちらへの八つ当たりがちょっと怖いですよね……。
「まあこれで問題は無いと思います。今回は雑魚はステラさんに排除してもらって、基本的にはキャロのレベル上げのつもりで私達はサポートで行こうと思います。強い魔物が現れた時はエルナ達で弱らせてくださいね」
「わかりましたが、出来るだけ腐っているような相手は遠慮したい所ですね。以前の時も、たまに気持ち悪い液体が掛かった時は嫌でしたからね」
やっぱりそこはエルナも一応はお嬢様ですから気にしていたのですね。
以前は必死でしたから、そんな事を気にしていられませんでしたからね。
「エルナちゃんの心配も、うちがいれば問題有りません! うちには範囲洗浄魔法もありますので戦闘後には毎回リフレッシュ出来ますよ!」
「それは素晴らしいフォローですね! ステラちゃんがいれば常に綺麗でいられるなんて、ずっと居て欲しいですね!」
「うんうん、うちをもっと褒めて下さい!」
「ステラお姉ちゃんは一家に一台の電化製品みたいですね!」
「シズクちゃんの言う電化製品とか意味がわかりませんが、必要とされるのは嬉しいので、どんどん褒めて下さい!」
私には電化製品なる物の意味がわかるのですが……完全な物扱いですよ?
まあ……すごく喜んでいるので黙っていますが、知らないと思ってシズクも酷い例えをしますね。
「では、昼食を済ませたら向かうとしますので、各自の用意をして下さいね。私はお昼まで工房に居ますね」
話が終わるとみんな準備をしに出て行きましたが、カミラだけは残っていますね。
「カミラは何か用意しなくても良いのですか?」
「貴女に謝りたくて……この間はごめんなさいね」
「ん? どうかしたのですか? 特に謝られる事は無いと思うのですが?」
「昨日、貴女を折檻してしまった事です」
「お尻が痛かっただけですが、カミラが私の為にしてくれている事なのですから、問題無いのではなかったですか?」
「そうなのですが……本当は注意だけするつもりだったのに、何故か行動にまで出てしまったのです。たまになのですが、私の意思とは別に違う衝動に駆られるのです」
「ノアに何か刷り込まれているのですか?」
「そうでは無いのですが……ノアさんに1つだけ注意を受けている事があるのです」
「注意ですか?」
「この体は基本的には貴女の分身体なので注意しなさいとだけ警告されているのです。私もそれ以上の事は教えられていないのです。たまに頭に何か囁いてくるのですが、何を言われているのか思い出せないのです」
「それはノアなのではないのですか? 私もたまにノアに小馬鹿にされた感じがするのですが?」
「ノアさんとは、貴女と触れ合っていないと繋がりを持てないので、違うと思いますが……」
「1つだけ聞きたいのですが、カミラは精神体に攻撃する方法を知っていますか?」
「それはなんですか?」
「知らないのでしたら良いので忘れて下さい」
うーん……でしたら、あのお尻を叩いた時の痛みはどうやっていたのでしょうか?
カミラが無意識にしていたとなると……もしかしたらですが、あの体には別の人格でも眠っているのでしょうか?
そもそも闇魔術を昇華したわけでもないのに、分身が作れる事自体がおかしいのですよね?
最初は、女神様が私にくれた特殊能力かと思っていましたが、何となく違う気がしてきました。
ノアがカミラに警告するぐらいなのですから、恐らくは魔術の類とは別なのかも知れません。
どうせ聞いても教えてくれないので、いまは良しとしますが、私も注意だけはしておいた方が良いかもしれませんね。
「もし望むのでしたら、私にも同じお仕置きをしても良いのですよ?」
「しませんよ。特に気にしていません。私の権限が無いと言っていましたが、もしかして、お漏らしも解除されたのですか?」
「貴女の権限は凍結されただけですが……あれはそのまま継続されています。私も色々と耐性が付いたので、簡単には粗相などしませんからね?」
「なるほど……そのままの状況で凍結されたから、そのままなのですね。それなら安心しましたよ」
「こんな事が安心とか……どうしたら、貴女の歪んだ心を治せるのかしら……凍結する前に解除してもらえば良かったと深く後悔しています……ノアさんに再度頼んだら却下されてしまったので、これ以上は望めないのです」
楽しければ、歪んでいて結構です!
お漏らし属性だけはノアも解除しなかったようですが、これが無くなってしまったら、面白みに欠けるとと思ったのでしょうね。
ノアの事ですから、絶対に気付いていて凍結したに決まっています。(当たり前です)
ほら、なんか聞こえてきましたよ?
しかし、痛み程度では無理なのでどうやって粗相させるかですが、私にとってはハードルが上がっただけで、逆に何とかさせたいとしか思えませんね!
私が楽しそうにしていると、カミラがまた下らない事を考えているとか呟いています。下らない事を成し遂げる楽しみをカミラも理解して欲しい所ですね。
そのまま矢を作りながらカミラから短剣の希望を聞いていたら、お昼になったので衣装を変えてから食堂に行きました。
マントで隠せば問題無いのですが、私にはみんなの前であの台詞を言って着る勇気はまだ無いです……カミラの同情というか……哀れみの目で見ていたのですが、笑わない所を見ると、恐らくですが、自分も経験があるのでしょうね。
食堂に行くとみんな準備した状態で軽く食事をしていましたが、当然のようにエルナからの追求が来ます。
「シノア、どうしてマントなんて羽織っているのですか?」
「気にしないで下さい。それよりも食べたら行きますが、転移ポイントを前回消してしまいましたから、まずは向こうの転移部屋に行く必要がありますので、いきなりは行けません」
「それは良いのですがそのマントが気になるので脱いで下さい」
「……早く食べて行きましょうね」
「エルナお姉ちゃん、お姉様はこないだの魔法少女の衣装を着てくれたのですよ!」
また、シズクが余計な事を……。
「あの可愛らしい衣装なのですか! でしたら、そんなマントなど脱いで私に改めて見せて下さい!」
「……ダンジョンに入ったら見れますので、いまは嫌です……」
「私にお預けなんてシノアも意地悪ですね! シノアにとても似合っていて可愛いと思っていましたが、嫌がっていたのでもう見れないと思っていました。どうして着る気になったのですか?」
「せっかくシズクが私の為に作ってくれた現時点で、私の最高の防具ですからね……見た目と無駄な機能さえなければ……」
「そうなると、次は私もシノアとお揃いの衣装が欲しいのです。シズクちゃんに期待していますね!」
「エルナお姉ちゃんの次の衣装も考えてあります。材料が揃い次第作りますので、待ってて下さいね! 勿論ですが、皆さんの分も考えてあるので期待してて下さい!」
この半端なエロ衣装の仲間が増えるのは歓迎します!
みんな一緒なら私も霞むので安心です!
「シズクさん、出来れば私は大人し目の物をお願いしますね……」
なにを1人だけ、まともな物を頼もうとしているのですか!
カミラだったら当然ですが、その無駄なけしからん物を強調する衣装に決まっていますよ!
「カミラお姉ちゃんの衣装は現在製作中なので、ダンジョンから戻ったら完成させます!」
「もう作っているのですか……どんな衣装かお聞きしても宜しいでしょうか?」
「前回の戦いを見て私のカミラお姉ちゃんのイメージは武闘家に決定しましたので、チャイナドレスで作っています!」
「あれですか!? 私は前にも言いましたが、後方支援に徹するつもりなので、出来れば弓術士に合う衣装が良いのですが……」
「もう、お姉様の大事な材料を使い込んで作っているし、性能的にはカミラお姉ちゃんがこないだ言っていた要望にそうようにほぼ出来ていますよ?」
「私の要望とは……もしかしてマナに関係する物なのでしょうか?」
「その通りです! 何となくそう思っていたので、意識して作りましたから、きっと格闘戦に有利になりますよ!」
「……そうなのですか……あれをまた着るのですか……」
きっと夢の中でノアにでも着せられたのでしょう。
カミラはスタイルが良いので、とても良く似合うと思いますよ!
大人の色気が増して素晴らしいと思うので、早く見てみたいですねー。
「シズクちゃん、うちも欲しいのですが、予定に入っているのでしょうか?」
「ステラお姉ちゃんの防具以上の物は、私には作れませんので、それでも良ければ作りますよ?」
「うちもみんなのような物が欲しいのでお願いします! その時は、これは思い出として仕舞っておくつもりです」
「でも、その衣装は高レベルの物理防御と上級魔術の完全無効の付与が有るので、アーティファクトみたいな防具ですよ?」
「うん、うちは防御の要と言われていたので、当時のすごい人達が作ってくれた物ですが、いまは戦争をしているわけではないのでしたら、良いかと思います」
「すごいですね! そのドレスのような服に上級魔術の完全無効とかあるのですか?」
「最上級魔術は完全には防げませんので、その受けきれなかった分だけはダメージとして受けてしまいますが、死ぬのだけは回避が可能でした。うちには1日に一回だけ使える範囲蘇生が可能でしたから、うちが生き残れば何とかなったのです!」
「範囲蘇生? それは複数の死者を生き返らせる事が出来るのですか? ステラさんって、その辺の神様よりすごいのではないですか?」
「うちの聖魔術の昇華魔法です! 魔術の範囲内の人達を蘇生出来るのです。認識する範囲を広げると普段の蘇生魔法なのですが、範囲を絞れば体が欠けていても治る完全蘇生が可能です」
「完全蘇生というのは、体の一部が欠損していても治るとか、すごいですね。それに沢山の人を一度に生き返らせるだけでも十分にすご過ぎると思いますが、その場合は直ぐに回復魔法を使えば問題無いかと思いますが?」
「実は、もう1つ欠点が有るのですが……その魔法を使うと、うちの全てのマナを消費してしまって、しばらくは聖魔術の系統が全て使えなくなってしまうのです。だから使う時はいつもサテラちゃんの指示がある時しか使っていませんでした」
効果はすごいのですが地味にデメリットも大きい魔法ですね。
戦場で、どのくらいか分かりませんが、魔術主体のステラさんが魔術が使えないのは、守ってくれる味方がいなかったら致命的になりそうです。
ましてやそんな状況になるのですから、相手もかなり強敵なはずで、相手が待っててくれるわけがありません。当然ですが、追撃して来るに決まっています。
しかし、そんな魔法を使う状況になるという事は、今でも十分に強いサテラ達が当時の強さで苦戦するのですから、どれだけ強者がいたのでしょうね。
「なので、うちは基本的には英霊を呼び出して、自分の防御を固めて、戦場の人達の支援と回復に徹するように指示されていました」
「それが聖魔術の昇華魔法でしたら、サテラを倒した魔法は何なのですか? 確かサテラの日記に結界とか書いてあったと思いますが?」
「それは『ソウル・プリズン』の事ですね。あれはうちだけが使えた特殊魔法なのです。複数の鏡を召喚して挟み込んでしまえば魂だけを閉じ込める事が出来るのですが、相手の動きを封じた状態じゃないと簡単に阻止されてしまうのです。魔法の名前が嫌だったので、カエデさんに相談したら、鏡を合わせて魂を閉じ込めるから、鏡面結界という名称はどうかとアイデアをもらったので、それに決めました!」
「サテラのような戦闘に特化した相手をよく封印出来ましたね?」
「サテラちゃんはうちにだけは本気で攻撃して来なかったので、うちが自分から攻撃を受けに行って抱き着いている内に閉じ込めました。サテラちゃんも特殊能力を使っていたので、あの時はうちを殺してしまったと思ってすごく動揺していたから……」
「特殊能力ですか……それは天魔族の力なのですか?」
「うちが魂を閉じ込める特殊魔法が使えたように、サテラちゃんは必中攻撃と相手に決して癒せないダメージを与える攻撃が出来たのです。なのでサテラちゃんの攻撃をまともに受けたうちは絶対に死んでしまうと思ったと思います。すぐにエリクサーを飲んだのですが、痛みが和らぐだけで、お腹を貫かれた傷はまったく癒えませんでした」
「サテラお姉ちゃんの攻撃には必中などという能力があったからなのですね。私が泉で戦った時に感じた違和感がようやくわかりました。手加減されているのは知っていましたが、躱したと思ったのに絶対に当たるので不思議に思っていたのです」
「シズクちゃんはサテラちゃんと戦ったのですか? サテラちゃんが能力を発動させて、相手を殺す気で攻撃してきたら必ず急所に当たるし、武器で傷を付けられると絶対に治らなくなってしまいます。シズクちゃんは孤児院に居た子達ぐらいでしたから、手加減していたと思います」
「必ず当たるとか、ずるい能力ですね」
「そうなのですよ! サテラちゃんがナイフ投げとかすると必ず的に当たるので、ゲームとかしても誰も勝てなかったのです! うちも最初の頃は知らなかったので、散々負けて酷い目に遭いました!」
「必中攻撃とかそんな能力が存在するとは、こちらの世界は怖いですね。まるでゲームの世界みたいです」
シズクから見たら、この世界の人達をゲームのキャラクターと思うのでしょうね。
「うちの知る限りサテラちゃん以外にはいないと思いますがシズクちゃんの世界には特殊な能力を持つ人はいないのですか?」
「私の世界では、こんなにはっきりとした能力や魔法なんて存在はしません。代わりに科学が発達していますので、生活が便利です」
「科学が何か知りませんが、戦う事より身近な事が便利な方がいいですよ! うちはもう戦争なんて参加したくもありません」
「しかし……近代兵器が強力過ぎるので、戦争になったら個人の力なんて意味が無い世界です。下手をしたら、世界があっという間に滅びてしまうかもしれませんよ?」
「それは恐ろしい世界ですね……」
シズクの世界は一応は平和な世界なので、そんな事になることは無いと思います。
ある意味で強力な切り札を持っていて相手を牽制しているので、お互いに使ったらお終いと分っているから平和が維持されているみたいですが、この世界とどちらが良いのでしょうね?
「ステラさんは昇華魔法がどうやって決まるのか知っていますか? サテラは自分が望む形になるみたいな事を言っていましたのですが?」
「概ね正しいと思います。うちは目の前で沢山死んでしまった人を助けたいとずっと思っていたのです。蘇生魔法は使えますが、時間が経ち過ぎると魂が離れてしまうので、生き返らせる事が出来ないのです。村の住民の人達が一度に殺されたりすると助けられる人が限られてしまいましたから……サテラちゃんは武術で戦う事を主としていましたので、魔術師などの範囲魔法とかうざいとか考えていたら、相手の魔術を完全に封じる魔法になったみたいです」
「ふむふむ……私が唯一最上級なのは誓約魔術なのですが、もしも昇華魔法になったらどうなるのでしょうね?」
「うちの知る限りでは、誓約魔術を昇華させた者は存在しません。そもそも誓約魔術をそこまで高めた人は長い歴史でも数える程度しかいないと思いますよ?」
カミラが以前に教えてくれた時は、上級魔術まで高めれば私達は詠唱を足す事で最上級魔術が使えると言っていましたが、昇華魔法は私の知識にはそれらしい魔法が無いのですよね。
私には使えなくてもどんな魔法が有るかだけは、初級で良いので習得すれば、全て把握出来るはずなのですが……私が望む誓約魔術とは何になるのでしょうね?
軽く雑談しながら、お茶でも飲んでから出発しました。サテラと違って、ステラさんなら知っている事は気軽に話してくれるので、サテラにばれないように色々と聞き出してしまいましょう!
久しぶりに入り口の施設に来ました。昼間なのに結構な人がいますね。
いつもは転移して直接移動しているので、セリスがこまめにギルドの受付に通っているぐらいです。
さっさと行こうとしたら、見た事がある人がいます。無視して行こうとしたら、こっちに気付いたみたいです。
「おい、シノアよ。無視するなんて酷いじゃないか?」
「無視だなんて、私はクロード先輩のナンパの邪魔をしてはいけないと思っただけですよ?」
「ちょっと話しかけていただけで、ナンパなんてしていないぞ? それよりもお前に頼みが有るんだが」
「頼みとは何なのでしょうか?」
「俺にもユリウス達みたいな剣をくれないか?」
突然、剣を要求して来るとか、何を言っているのでしょうか?
「意味がわかりません?」
「実は最近まで愛用してた大剣が折られてしまって、中々良いのが無くて探していたら、あいつらに置いて行かれて、俺は留守番なんだよ」
「だったら、新しいのを買えば良いのでは?」
「ユリウス達の剣を見てたら、その辺の武器屋のよりすごくいいだろ? 特にオリビアの剣なんて、威力がおかしすぎるから聞いたら、シノアの愛が籠めてあるとか言い出しやがったが……」
愛なんて籠めていません!
確かに追加で色々と強化はしましたが勘弁して下さいよ……。
そんな事を周りに言っているとか、戻ったら止めるように言わないと私の変な噂がまた増えてしまいます!
「だから、俺にも愛の籠った剣をくれ」
「どうして私がクロード先輩の為に愛を籠めなければいけないのですか!」
「その方が威力が増すんだろ?」
そんな事で威力が上がったら苦労しません!
そんな愛とかの感情で強くなれるのでしたら、エルナの異常な愛に応えますよ!
オリビアには、帰ったらお仕置きでもしないと気分が晴れませんが……絶対に喜ぶだけだから、どうすれば良いのか誰か教えて下さい!
「取り敢えずそんな物はありませんので、武器屋さんに行く事をお勧めします」
「おいおい、俺にもくれたっていいじゃないか? 愛とか冗談として、お前が作った奴が欲しいんだよ」
「ユリウス達はすごく努力しているので、ちょっとお手伝いしたいと思ったのです。先輩は自立してそれなりにやっているのですから、自力で頑張って下さい」
「そんな冷たい事は言うなよ。まじであいつらの武器を見たら欲しいと思うのは当然だと思うぞ? 特に自分の命が掛かっている相棒なんだしな」
どうしましょうかね……私が作った武器を褒めてくれているので、悪い気はしないのです。仕方ありませんね。
「そこまでゆうのでしたら、これをあげます。確かドラゴン・バスターとか言う名前ですが」
エルナの剣の調整前に試作品で作った氷龍のおっちゃんの牙で作った大剣です。
「おっ! すごく力強い剣だな! 少し重いが俺にはぴったしだぜ!」
「ちなみにクロード先輩は魔術とか使えますか?」
「そんな物は使えん! 何か関係でもあるのか?」
脳筋でしたか……力押しのエルナでも使えるのに。
「一応、マナを籠めると冷気を纏わせる事が出来たのですが、普通に使っても竜種に与えるダメージが増加する効力もあります」
「そいつはすげぇが、俺にマナの制御とか出来ないから無理だな」
「それでは、代金を頂きますのでクロード先輩は、知り合いですから、サービスで金貨300枚で良いですよ」
「おい! 俺だけ金を取るのかよ! ユリウス達には無償で渡したんじゃなかったのか?」
「だって、自立した生活をしているし、海でしっかりと儲けていたのは知っていますよ? それにその剣の素材ですが氷龍の素材で作っていますから、普通でしたら金貨300枚では買えませんよ?」
「そんな金はとっくに使い切ってないぞ? それにそんな金額は手持ちにないからな……そうだ! 体で払うとかダメか?」
「あんなに稼いでいたのにもうないとか計画性がありませんね。それで体って、何をするつもりなのですか? 戦力とかでしたら間に合っていますので却下ですよ?」
「例えば、お前を満足させるとかどうだ? これでもそっちの事に関しては自信があるから……」
クロード先輩が何かを言い終える前に、セリスが先輩の首筋に刃を当ててというかちょっと入ってますよ!
「シノア様にそのような汚らしい事を言う者は、ここで始末した方が良いと思います」
「済まん! 冗談だから勘弁してくれ!」
「セリス、ダメですよ? いまいち意味がわからなかったのです。武器を収めて切れている所は治してあげて下さい」
「わかりました……今回は見逃しますが、次にシノア様に下品な事を言ったら、その自信がある物を斬り落としますので覚えていて下さい」
「大丈夫でしたか? 一体何を言おうとしていたのか知りませんが?」
「動きがまったく見えなかった。恐ろしい姉ちゃんだな……男として、死にたくないのでさっきのは忘れてくれ。しかし、まじでそんなに持ってないんだがな……」
「仕方ないので、置いて行かれて暇しているのでしたら、キャロの護衛として連れて行きます。しっかりと働いてくれたら、お代は無しでいいです」
「そいつは助かるがお前らの行く先って、かなり下の階層だよな?」
「61階層です。何でもアンデットの都市とかです」
「そんな所で俺が戦えるのか不安だが、行ってみたいのもあるので、それで頼むわ」
「まあ、死んでもすぐに蘇生出来るから、ガンガン死んでも良いですよ?」
「俺は、死ぬのが前提なのか……」
「まあ、とにかく行ってみましょう!」
クロード先輩を入れて、61階層に来ました。地下なのに荒廃した町がありますよ。
どうゆう仕組みなのか知りませんが、赤い月があります……いつも見ていた月に比べるとあまり良い感じがしませんね。
早くもゾンビみたいな屍が徘徊しまくっているのですが、汚いですね。
「イグニス・フレア!」
「おい! いきなり炎で焼き払うのかよ! てか、なんだその魔法は!」
「つい汚かったので、使ってしまいました」
あんまり沢山いるし、うーうーとうるさいから自然に焼いてしまおうと思ってしまいました。
「シノアちゃん、雑魚はうちが消しますので任せて下さい! 『ターン・アンデット!』」
ステラさんが唱えると、見える範囲のアンデットが全て崩れて地に還りましたよ!
ちょっとすご過ぎる魔法です!
「次は寄せ付けないようにします。『ホーリー・フィールド!』そして、シズクちゃんの為に『マインド・レジスト!』これで、うちを中心に弱いアンデットは近づく事は出来ません」
「私達の周りだけ雰囲気が良くなりましたね」
「私を中心に20メートル以内は聖域になっています。これを越えられるのは、うちよりレベルが高いアンデットだけです! もしもこの結界に低レベルのアンデットが触れると消滅しますので、すごく便利ですよ!」
えらく範囲の広い魔法ですね。
ステラさんのレベルって、私と同じだから……レベル169になるので、ここの魔物が近づく事は不可能なのではないでしょうか?
その説明だと、私達が移動するだけで魔物が消滅していきますよね?
これは……ボスのレベルよりも私達が上だった場合はどうなるのでしょうね?
何となく、歩いて通過するだけの階層になるような気がしてきました。
「こんな魔法があるとかすげぇなー……しかも、こんなロリ巨乳のお嬢ちゃんがやっているとか、お前ら異常過ぎるわ……」
「ロリ巨乳って、うちの事ですよね? ロリって、どんな意味なのでしょうか?」
「えっとだな……幼い可愛い子と言う意味だったと思うぞ」
「うちが可愛いですか!? 素晴らしい褒め言葉なのですね! 嬉しいです!」
「えっとだな……まあいいか」
「殿下、ステラちゃんは世間知らずな所があるので、変な事を教えると素直に信じてしまいますからね?」
「済まん……次からは気を付けるよ……」
エルナに言われてクロード先輩が何か反省していますが、上機嫌のステラさんにいまはちょっと言えませんからね。
「ステラさんに聞きたいのですが、この魔法の聖域に触れて魔物が消滅した場合はステラさんが倒した扱いになるのでしょうか?」
「なりますよ! ちょっと通常よりも得られる経験値が減少してしまうのですが、昔はこの魔法を使って死霊の谷にレベルの低い子供達を連れて行って強化して上げていたのです。途中からみんな嫌がってしまうのですがど、うしてなのか分からないのです? うちと滞在しているだけでいいのに不思議です?」
「死霊の谷とかあるんですね……私にはその子達の気持ちが何となくわかる気がします……」
「シズクちゃんには、わかるのですか? 良かったら教えて下さい! サテラちゃんは笑っているだけだし、誰も教えてくれなかったのです」
「それは……私がお姉ちゃんに夜にホラー映画を見せられているのと同じですから、大丈夫と分っていても子供達には恐怖以外何でもないと思います。それをずっと続けるとかトラウマになってしまいますので、私なら遠慮します」
「精神状態の魔法も使っていたのに駄目だったのですか……サテラちゃんの案だったから信じていたのに……だから、戻って来ると笑っていたのですね……サテラちゃん、酷い!」
「サテラお姉ちゃんは、子供達には肝試しとかの理由で実行していたと思います」
「ちなみに聞きたいのですがその死霊の谷とか言う所は、どんな所なのですか?」
「隣の大陸にある場所で、あらゆる種族のアンデットが徘徊している所です。エレーンさんのガーディンさんに送り迎えしてもらっていたので、詳しい場所はわかりません」
そんな場所があるのですか。
もしかして、そこを真似て作った階層じゃないですよね?
まあ、しばらくはこのまま散歩でもするつもりで進めるとしますが、こんな方法で突破とか良いのかな?




