7 レベルアップ
スライムを倒し、緊張が解れたのもありスライムがドロップした2つの小さな石を拾い上げる。
両方とも硬く石のような感触。薄い緋色と薄紫色。周囲は真っ暗だがやや光を放っている。素直に綺麗だと思った。
『火色スライムの涙』
『火魔石(零)』
文字が表示された。表示されたのは名称のみで価値や使い道などは表示されないらしい。
初めてのドロップ素材のため丁寧にポーチしまう。
この調子でモンスターを狩っていこう。
「行こうかカレン。」
”はい。”
「これで4体目っと。」
”蓮さまもだんだんと慣れてきましたね。”
初戦のスライム戦から1時間ほど川の下流に向かって歩いた。道中、初戦のスライムとは色違いのスライムと交戦した。計3回ほど戦ったがカレンの魔法【スキャン】で奇襲ができたこともあり攻撃を受けることなく倒すことができた。
今のでスライムを合計4体倒した。ドロップ品も
『フレムスライムの涙×1』
『ウィンドスライムの涙×1』
『ルミナススライムの涙×2』
『火魔石(零)×1』
『風魔石(零)×1』
『光魔石(零)×2』
とこれだけでも現在の腰掛ポーチの容量がそろそろ埋まってしまいそうだ。
これまでのドロップ品やモンスターの名前からも推測するにモンスターには属性がある。今のところカレンの【ロックアイス】が効かなかったことはないが、きっと属性同士の相性なんかも存在するのだろう。そのあたりも含めて戦闘時は相手を観察してから、できるだけ奇襲で仕留めるようにしている。
今現在、目印にしている川の幅が徐々に広くなってきている。そろそろ森を抜けられそうな感じだ。
「カレン、スキャンをお願い。」
”承知しました。【スキャン】”
毎回カレンが【スキャン】と唱えてからおおよそ3秒ほどで周囲の敵の把握が完了する。
”8メートルほど前方にウルフ型のモンスター1対。どうなさいますか。”
「OK。おそらくスライムと同様にはいかないと思う。奇襲はするが察知される前提で挑もう。【ロックアイス】準備」
”分かりました。【ロックアイス】
カレンが【ロックアイス】を浮遊させた状態で慎重に歩を進める。
初戦のような緊張感。モンスターの姿を捉える。木に隠れながら様子を伺う。
前方に約4メートル。オオカミのような見た目。全長は約70センチくらいだろうか。後ろ足で立てば俺よりも少し小さいくらいだ…………大きい。おそらく俺は120センチほど。ゲームだから死んでもいい。だがモンスターに噛みつかれたりするのはやはり怖い。それにカレンが壊される可能性がある。
…………。守ればいい。
「カレン、顔を狙え。特に目のあたり。その後は、MPを使い切るまで連続で【ロックアイス】を放ってくれ。2発目からは当たる面積が広いところに頼む。3.2.1のカウントダウンで奇襲をかける。まかせたぞ。」
小声でカレンに指示を出す。カレンは雰囲気を察したのか音声を出さずに無言のまま。オオカミからは目を離さない。観察する。
毛並みの色は灰色。四足歩行。周囲に仲間の気配はない。目や耳、鼻、口。観察する。牙がある。爪は長く痛そうだ。毛並みなどから属性の参考になりそうな事柄は発見できない。
次、こっちに顔を向けた瞬間いこう。
心臓が鳴る。呼吸の回数が早くなっている。だがあるところで急に落ち着き、視界が広がる感覚。今ならいける。顔がやや斜めだがこっちを向いた。
「3.2.1、放て。」
合図とともに全速力でオオカミに迫る。【ロックアイス】の氷の粒が横を通り過ぎる。距離約2メートルのところまで近づいたところでオオカミの顔が完全にこっちに向く。【ロックアイス】がオオカミの眉間あたりにヒット。オオカミが後方に少し怯み、顔を下に向ける。
怯んだ隙にナイフを勢いよく首に突き刺す。刃先はすべて食い込む。オオカミは倒れることなく、首と後ろ足を激しく上下左右に動かしながら暴れる。激しく動かした後ろ足の爪が太ももを抉る。痛みはない。
しかし右下にあるHPバーが半分ほどまで減少。HPバー横の数字が[140/310]と表示されている。
一端距離をとるためナイフを抜き、オオカミの胴体を蹴って離れる。その間にもカレンがナイフの刺した傷口に【ロックアイス】を命中させる。
オオカミが怯み倒れる。傷口が破壊部位のような扱いになったってことか?わからないが倒れている間にとどめを刺したい。再び首元の傷めがけてナイフを向け、突き刺す。突き刺したナイフを両手で持ち、頭と胴体を切断するように勢いよく喉に向かって力を籠める。オオカミが鳴いたような気がした。
パッとスライム同様、オオカミも一瞬にして消える。
瞬間、体力が回復し、力が漲る感覚に襲われた。
「レベルが上がったのか!?」
レベルアップの感覚に襲われ一瞬気が緩んだが、すぐに周囲を警戒する。
「カレン、【スキャン】」
数秒の後、”周囲10メートルに敵は確認できません。”とカレンが答えてくれる。
「ありがと。」
カレンの頭部を撫でながら感謝を伝える。
”…………。”
初戦以降、なんとなくカレンの視線が撫でて欲しそうにしている気がするため毎回こうしている。減るもんでもない。
カレンの言葉で気を緩め、さっそくステータスを確認してみる。
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