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AIデバイスオンライン〜俺は人型デバイスと恋をする〜  作者: TAKAーnome


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9 テイム

 テイマーの60%は動物や昆虫といった現実でも飼育しているものがテイムされていることが多い。現実の記憶が失われているこのゲーム内でもそれらも生物が多いのはやはりプレイヤーが無意識に選んでいるのかもしれない。残り30%はゴーストやレイスなどのアンデット系やゴーレム、パペットといった傀儡系、10%が地竜や水竜、空竜などのドラゴン種、片手で数えられるプレイヤーが妖精や精霊、幻獣などの原種をテイムしているといわれている。テイムの条件はランダムなためほとんど運であるが卵から孵化するテイムイベントを引き当てると珍しいものがテイムできるとNPCから情報を得られるのだという。そしてゲーム内にはテイマーギルドというものが各街に存在しているが、そのテイマーギルド掲示板では『精霊達の湖』なんていう超貴重な情報は未だ共有されたことはなかった。



精霊達の湖にて


「んー。いろんな精霊ががいるんだな。」

”そうですね。ここまで多くの精霊が見られるのは珍しいのかもしれません。”

「そうなの?綺麗な光景だから確かにたくさん見られる訳じゃなさそうだよねぇ。」

”はい。私たちが扱う属性魔法のもとと言われているくらいですから。”

「それは期待できる。強そうだから運がいいのかもね…。」


カレンのそんな説明に内心メチャクチャわくわくしている。テイムしたらどれだけ強いんだろうか。

カレンと相性がよさそうな精霊を選べればいいんだが。

テイムするにはテイマーの血を1滴テイムするモンスターに垂らし、テイムに必要な詠唱をする。やり方はやらずとも自然と身についている感覚だ。腰に携えているナイフは本来、血を垂らすために使用するナイフであるのだが俺は戦闘に使用していた。刃こぼれが半端ない……。

テイム可能なモンスターと敵対し、衰弱してからテイムする方法や今回のように敵対心のないモンスター、精霊等に対しては衰弱させずとも近づいて互いの意識を共有し、互いの相性を選別し合ってテイムする方法など様々ある。

どんな精霊がいるのか湖を1周しながら見ていく。色合いを見つつほとんど直感的に良さそうな精霊を探していく。俺の場合は『樹の精霊』だから綺麗な翡翠の色をしている精霊を選び互いに意思を共有し、選別すればよい。

15分かかってようやく湖の3分の1程度のところまで来た。遠くからでも俺の意識がそこにいる精霊に引き寄せられた。そこには強い翡翠色の光を放つ精霊がいた。絶対こいつだと遠くからでも直感的に思った。


「カレン、こいつにs……。」


振り返りながら後ろからついてくるカレンに伝えようとしたとき、強い光に照らされた森の一部、真っ黒な物体が動いたような気がした。吸い込まれそうなほど真っ黒なもの。いうなれば深淵を覗いたような異様な色。だが周囲は暗く、テイマーの直感が無ければ気づかないほど自然にそこにある。

一度気づいても意識しなければ忘れてしまうほどに存在感や光が薄く、意識すると濃く暗い。

目の前に漂っている綺麗な翡翠色をした精霊の存在はもう頭になかった。それほどテイマーとして、いや俺自身がこいつだと言っているような気がする。

カレンに伝えずともカレンもこの精霊の異様さや自身との相性の良さを認識しているようだった。

そこにいる暗闇に意識を共有しようとする。途端、意識を持っていかれそうになる。


(ハハッ…。面白い。)


最初にログインしたときと同じような感覚。自分を思い出せそうで思い出せなくなりそうな……そんな感覚。ふとゲームではない本来の自分の意識が一瞬流れ込む。自我が強かった過去の自分。流れ込むがまた手放してしまう。


(俺に似てるのかこの精霊…………。)


意識・意識・思考が精霊と重なる…………。

意識がぼんやりと戻ってきた。目の前の地面がぼんやりと見える。


『テイム可能になりました』


そんな表示が浮かんでいた。


(これを逃すのはもったいない。)


ぼんやりした意識の中でテイムの手順をロボットのように行っていく。思考がまだまとまらない。手は動いている。不思議な感覚。


「このゲーム再現度がえげつねぇ。」


思ったことが漏れてしまう。口も勝手に動く。

人差し指から血が垂れている。痛みはない。ポタっ…………ポタっ…………と暗闇に溶けていく。


「1…………2…………3…………‥‥」


なぜか血が垂れる様子を数えている。思考がまとまらない。自然と思ったことが口から洩れてしまう。

まだ意識の共有の影響が出ているそんな状態。膝に手を置いく。

ようやく焦点が合いだした。顔だけ使って周囲を確認する。暗闇が無邪気に俺の周りを飛んでいる。


『テイムが完了しました。名前を付けてください』


ぼんやり視界からクリアになった途端そんな表示が目の前に浮かぶ。


(ちょっと待ってくれ。休みたい…)


近くにある木を背もたれにして体を預ける。


「カレン、念のため【スキャン】を使ってくれ。何もなければ少し座りながら休もう。」

”承知しました。【スキャン】…………。大丈夫です。この湖の周囲は安全なのかもしれません。湖の中ににも森の中にも敵対モンスターらしき影は見当たりません。”

「ありがと。それはありがたいね…カレンも少し休んで。」


カレンは左隣に俺の体に密着する。湖と反対、森側。モンスターを警戒して移動してくれたようだった。

俺もカレンの頭部に頭を寄せながら休む。カレンも支えてくれているようだった。

暗闇も俺の肩あたりで浮遊している。鳥が肩にとまっているような光景にも見える。


(ふぅ~。ステータス確認しよう。)

ご一読ありがとうございます。

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