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妹を呪ったと森に追放されたいばら魔女は、なぜか王太子に執着されています  作者: 深水えいな
第四章 王都への旅立ち

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38.晩餐会

「さてと」


 レゼフィーヌはベッドに腰かけて考えた。


 (誰かがお父様に呪いをかけている? いったい誰が?)


 よくよく考えると、城へ来る途中にユジも誰かに操られていた様子だった。ポーラにも何か呪いがかかっているのだとすると、その犯人は誰なのだろう。


 (今のところ怪しいのは――継母のアビゲイルとその娘のリリア、お抱え魔導士のゼンと、あとは祝福の魔女たちってところかしら)


 アビゲイルとリリアはここに住んでいるし、ゼンも敷地内に工房があり、三日に一度は城を訪れているから、この城に滞在している間彼らのことを調べてみる必要がありそうだ。


 (あとは――問題は祝福の魔女たちね。彼女たちがどこの誰なのかさっぱり分からない)


 レゼフィーヌが思考を巡らせていると、部屋のドアがノックされた。


「はい」


 レゼフィーヌが返事をすると、少し間が空いてシルムの声がした。


「レゼ、着替えはできたかい。晩餐会が始まるよ」


「ええ、今行くわ」


 レゼフィーヌは慌てて立ち上がった。


 鏡に自分の姿を映して一回転する。


 今日身に纏っているのは、女王が用意してくれた、レゼフィーヌの瞳と同じ深い青のドレスだ。


 夜空を切り取って仕立てたかのような濃紺の生地は、歩くたびに星明りのように光を反射し、まるで星空が揺れているよう。


 肩から腕にかけては薄いチュールが覆っており、そこに金糸や銀糸で秋の星座の刺繍が施されており、動くたびにかすかな輝きを放っている。


 そこに上品なパールのイヤリングとネックレス、パールと濃紺のリボンをあしらった髪飾りをつけると、鏡の中に美しい姫君が映し出された。


「よし……と」


 鏡で自分の姿を確認すると、レゼフィーヌは部屋を出た。


「お待たせしてごめんなさい」


「……っ!」


 レゼフィーヌが部屋を出るなり、シルムは感激のあまり声をなくす。


 ドレスを着たレゼフィーヌが想像よりずっと美しかったからだ。


「どうかしら?」


 レゼフィーヌが上目づかいにシルムを見る。あまりにもシルムの反応が無くて不安になったからだ。


 シルムは口元を抑えると、真っ赤な顔をして言った。


「ごめん、あまりにも綺麗で声もでなかったよ」


「全く、大袈裟ね」


 そこへ二人を呼びにハンナがやって来た。


「まあ、お嬢様、お美しゅうございます!」


「ありがとう、ハンナ」


「まるで亡き奥様の生き写しですわ。旦那様もさぞ喜ばれることでしょう。シルム殿下ともお似合いですし」


 ハンナは二人を見比べた。


 シルムの衣装は濃紺で、華美ではないがシルムの高貴さを引き立てるすっきりとしたデザインのディナージャケットを着こなしている。


 とりわけ目を引いたのは、ポケットに入ったレゼフィーヌのドレスと同じ色のハンカチだ。


 金の縁取りに星座の装飾の入ったそのハンカチは、二人の仲を如実に表しているように感じられた。


 なんて素敵なお二人なんだろうと、ハンナはメイドながら感激してしまったのであった。


「さ、こちらへ」


 ハンナに案内され、二人は晩餐会の会場にやって来た。


 部屋に着くなり、アレスタ侯爵が立ち上がり、レゼフィーヌとシルムを席に案内する。


「シルム殿下とレゼはこちらへ」


 客人であるシルムが一番の上座に通される。


 レゼフィーヌはその隣に通された。完全にシルムの婚約者という扱いだ。


 それを見るや否や、リリアがあからさまに嫌な顔をする。


 リリアは幼いころから王子様と結婚し、王妃として絶対な金と権力を手にするのが夢だった。


 それなのにもうレゼフィーヌが王妃にでもなったかのように親密に寄り添っているのを見て、(はらわた)が煮えくり返るようだった。





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