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妹を呪ったと森に追放されたいばら魔女は、なぜか王太子に執着されています  作者: 深水えいな
第ニ章 追放の森のいばら姫

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10.第二の人生

 魔女の城に感激しているレゼフィーヌに、エマ婦人が声をかける。


「あんたの部屋はこっちだよ」


 レゼフィーヌは案内された部屋を見た。


 少し狭いけど、ベッドと机、本棚があるこざっぱりとした部屋だ。


 レゼフィーヌは城から持ってきた魔法書をずらりと本棚に並べた。


 (ふふふ、完璧だわ。これで私も立派な魔女の仲間入りね)


「ず……随分と勉強熱心なようだね」


 レゼフィーヌの持ってきた魔法書に目を丸くするエマ婦人。


 レゼフィーヌは荷物の整理を終えると何の気なしに尋ねた。


「そういえば、エマ婦人はここで一人暮らしされてるのですか? 使用人は?」


 エマ婦人は肩をすくめた。


「こんな森の中に付いてきてくれる使用人がいると思うかい」


 (そうなの?)


 レゼフィーヌは目を丸くする。


 レゼフィーヌの母方の親戚ということは貴族だろうし、こんなに広いお城なんだから使用人の一人や二人いてもおかしくないのに。


「じゃあ、ここの掃除や料理は誰がするんですか?」


 レゼフィーヌの言葉に、エマ婦人はニヤリと笑った。


「決まってるじゃないか。あんたがするんだよ」


 脅すような言葉に、レゼフィーヌは身をすくませる。


 もしかして、自分はエマ婦人の使用人替わりなのだろうか。


 借りにも侯爵令嬢なのに、そんなことってあるのだろうか。


 (で、でも、魔女の弟子になるのならそれくらいのことはしないと。掃除でも洗濯でも、なんでもやってやるわ!)


「が、頑張ります!」


 レゼフィーヌが頭を下げ元気よく返事をすると、エマ婦人は口の端を小さく上げて笑い、上機嫌で台所へと向かった。


「さてと、そろそろ夕ご飯にしようかね」


 エマ婦人はユジに貰ったパンを薄く切り、鍋に入った野菜のシチューと一緒に出してくれた。


 一口食べてみると、ゴロゴロ入った野菜が甘くて、温かさが体に染み渡るようだ。


「わあ、美味しい」


 レゼフィーヌが声を漏らすと、エマ婦人ははじめて嬉しそうに微笑んだ。


「庭で採れたての野菜だからね」


 その笑顔を見て、レゼフィーヌは胸が締め付けられるような気持になった。


 父親と母親と自分。三人で楽しい食卓を囲んでいた時のことを思い出したからだ。


「どうかしたかい?」


 エマ婦人が黙り込んでしまったレゼフィーヌを見て尋ねる。


「いえ、笑顔が亡くなったお母さまに似ているなあって」


 レゼフィーヌが何気なくそう言うと、エマ婦人は少し複雑そうな顔をして下を向いた。


「そりゃそうさ。私たちは双子だからね」


「えっ」


 レゼフィーヌはびっくりしてエマ婦人の顔を見た。


 エマ婦人はゆっくりと話し始める。


「何、昔ながらの古いしきたりさ。古来より双子は不吉の象徴と言われていてね」


 エマ婦人の話によると、昔からこの国では双子は不吉だと言われており、双子が生まれた場合、片方は殺したり里子に出すと言うのが普通であったらしい。


 しかし殺すのは忍びないということで、妹のエマ婦人はこんな辺鄙な森の城に追いやられたということらしい。


 (ということは、エマ婦人はお母様の妹……つまり叔母さんってことなの!?)


 遠縁とは聞いてたけど、まさかそんなに近い親戚だったなんて。


 レゼフィーヌはなんだか急にエマ婦人に親近感が湧いてきた。


 レゼフィーヌはこの森の中のお城でエマ婦人と本当の家族になろうと心に決めた。


 ――こうして、レゼフィーヌの魔女としての、エマ婦人の娘としての第二の人生が始まったのだった。


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