802.自律型人工ゴーレム、試作品完成!
俺は、小型魔法AI 『知性の箱タイプクワトロ』を使って、歩く盾を作ってみることにしたのだが、その素体は完成した。
盾の部分が透明になっていて、ネズミの部分と盾の両サイドの腕の部分は、グレーになっている。
『魔盾 千手盾』の簡易量産型とも言えるもので、『シールドラット シックスアームズ』という名前にした。
あとは、実際に小型魔法AIをセットして、起動のテストと稼働のテストをするだけなのだ。
早速、小型魔法AIをセットしてみることにする。
背負っている小型盾を収納するための後付けユニットのちょうど下にあたるところに、開閉口を作って、そこに小型魔法AIがセットできるようにしてある。
後付けユニットが、カバーの役目を果たしているのだ。
俺はそこに、小型魔法AI 『知性の箱タイプクワトロ』を差し込んだ。
そして、起動の為の発動真言を唱える。
「起動!」
俺は同時に、魔法AIがあるネズミの背中の部分に手を当て、魔力を流し込んだ。
すると、魔法AIが発動真言によって稼働したようで、魔力が流れ出した。
この『シールドラット シックスアームズ』全体に、魔力が伝わっている感覚がわかった。
おそらく魔法AIの魔法神経のようなものも、一緒に全体に行き渡ったような感じだ。
ごく弱い光が全体に広がったような感じがした。
これでおそらく、魔法AIがこの素体を掌握したのだろう。
『ゴーレム起動!」
俺は、更に発動真言を唱えた。
これは、魔法AIではなく、この魔法AIを搭載した自律型人工ゴーレム自体を起動させるための発動真言なのだ。
更に魔力が吸い上げられた。
だが特に光るとか……そんな変化はなかった。
ただなんとなく……俺を使用者として認識して、この自律型人工ゴーレムが起動したのが直感的にわかる。
『波動鑑定』をしてみると……『名称』が『自律型人工ゴーレム シールドラット シックスアームズ』となっていた。
『シールドラット シックスアームズ』は俺がつけた名前だが、それがそのまま採用されたようだ。
名称に『魔機』とつかないのは、素体に機械的な部分がないからだろうか……?
でもよく考えたら……機械でできている『操縦型人工ゴーレム 紅II刃二十八号』にも『魔機』とはついていなかったんだよね。
まぁこの名前についても、仕組みはよくわからないんだよね。
考えても無駄だな……。
ちなみに『階級』は、『究極級』になっていた。
結構すごいものになってしまったようだ。
試しに、指示を出してみる。
「向こうに移動しろ!」
俺は、以前『魔盾 千手盾』に命じたときのように、指示を出してみた。
すると、ネズミ部分が動いて移動を始めた。
うまく稼働できたようだ。
「俺を守れ!」
更に別の指示を出してみた。
『シールドラット』は、すぐに俺のほうに戻ってきて、俺の手前に位置した。
ネズミ魔物の骨を使っているが、中型犬くらいの大きさがあって、そこには人間一人がカバーできるサイズの盾が乗っているので、俺は完全に守られる状態になっている。
盾部分の両サイドにある三本づつの腕も起動して、小型盾を取って展開しているので、保護できる範囲がさらにワイドに広く展開している。
後はどれぐらいの衝撃に耐えられるかということだが、素材自体がかなり強固なので、相当強い攻撃でも耐えられると思う。
ただ、押される力……圧力が強くかかったときに、踏ん張りきれるかが問題になるだろう。
盾の上の部分に強い押される力がかかると、バランス的に踏ん張り切れない可能性はある。
どこまで耐えられるかは、テストしてみないとわからない。
今後検証してみることにしよう。
次に、もう一つの魔法AI 『知性球』も、使ってみることにした。
これは、大型のもので単純な行動をするものが適していると思うので、自走する馬車を作ってみようと思う。
自走するといっても、車輪で動くわけではなく足で歩いて動くという感じにする予定だ。
俺の知っている国民的人気アニメの猫型のバスのようなイメージのものを作ってみようと思う。
ただあまり車体が長いと、曲がる時に取り回しが大変なので、大きさは普段から使っている『家馬車』より少し長い程度にしようと思っている。
『家馬車』は、マイクロバスくらいの大きさがあるので、それでもかなり大きいのだが、それにプラスして、荷引き動物の分のスペースが追加されるので、だいぶ長さを取るかたちになっている。
今回作るものは、荷引き動物が必要ないので、その分長くしてもコーナリングの取り回しは変わらないのだ。
せっかくなので、可愛い動物型のゴーレム馬車にしようと考えている。
ダックスフンドのデザインの犬馬車にするつもりだ。
バスみたいな感じで、窓をいっぱいつけてみんなが乗れるようにしようと思っている。
パレードとかで使っても、いいかもしれない。
俺は木製の馬車の長めのものを作り、一応車輪を前後に四つ付けた。
そして、それとは別に足になるパーツを片側四本合計八本つけた。
車輪の前後に、一つずつ足があるというかたちになっている。
今回は魔物の骨は使わずに、あくまで木で作った。
硬くて軽い素材である『ワイルド樫』で作ってみた。
『ワイルド樫』は、木剣の材料にした木なのだ。
馬車の座席部分には窓を多くし、その窓も巨大クラゲ魔物の外皮を使った。
この馬車の座席部分は、四角い別ユニットにして、ダックスフンドの背中に乗っている形になっている。
この馬車の座席ユニットと、犬型ユニットの接地面には、巨大クラゲ魔物のゼリー物質を使った衝撃吸収用のパーツを取り付けた。
これによって、衝撃を吸収し、乗り心地を高めてくれるはずだ。
こういうものがないと、結構揺れると思うので、乗り物酔いしちゃうと思うんだよね。
そして馬車の座席ユニットと犬型ユニットの顔と体と四肢と尻尾の部分には、バッファロー魔物の皮を貼り付け、その上からさらに巨大クラゲ魔物の外皮を貼り付けるかたちにした。
『ワイルド樫』で作った馬車の基本ボディに、強化装甲を付けたような状態になっている。
バッファロー魔物の皮を使うことによって、動物っぽい質感を作り出した。
色は全体的に、茶色っぽくなっている。
ただ、四角い座席ユニットは、側面が黄色で上部が茶色という色使いになっている。
一番難しかったのは、足のパーツだが、なんとかうまく動くように作った。
それから犬の顔を可愛くて仕上げるのが結構大変だったが、まあまあ可愛い感じになったと思う。
出来上がったゴーレム馬車にするための素体は、『犬馬車』という名前にした。
あとは、『知性球』を組み込んで、起動と稼働のテストをするだけだ。
もちろん組み込むのは、多足生物用の『知性球』だ。
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次話の投稿は、30日の予定です。
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