801.巨大クラゲ魔物素材の、凄い性能。
俺は、小型魔法AI 『知性の箱タイプクワトロ』を使って、歩く盾を作ってみることにした。
イメージは、『魔盾 千手盾』の簡易量産型だ。
盾が歩くようにするために、足をつける必要があるのだが、どうせなら安定した歩行ができるように、そしてデザイン性も面白いように、動物が盾を乗せている形にすることにした。
中型の犬くらいのサイズの動物に、人の体がカバーできるくらいのサイズの盾を乗せて、人工ゴーレムを作る構想である。
サイズ的にネズミの魔物の骨にちょうどいいものがあったので、それを使うことにした。
生物の骨を使うことによって、リアルな動きが簡単に再現できると思ったのだ。
もちろん木や他の素材で、形を作っても動くようにはできると思うが、魔物の骨を利用することを閃いたので、それで作ってみることにする。
ネズミ魔物の骨をもとに、ぬいぐるみを作るイメージで、ネズミの形状になるような外皮パーツを作った。
それに使った素材は、天災級の魔物である巨大クラゲ……『イビル・アーマークラゲ』 の外皮だ。
強固な外皮で、物理攻撃にも魔法攻撃にも強い。
それでいて柔らかさもあるので、加工がしやすいのだ。
背中に設置する盾のパーツも、一繋がりの外皮で作ってしまった。
分割して作ることも考えたが、一繋がりにした方が強固になると判断したのだ。
ネズミの背中に、大きな盾が立っているという形になっているのだ。
そしてその盾の左右の側面には、三本づつ計六本の腕を取り付けた。
盾自体を二十センチくらいの厚みにして、側面のその厚みの部分に、上中下と三箇所腕がついているのだ。
この腕の部分は、猿魔物の腕の骨を使った。
この六本の腕は小型の盾を使って、より防御範囲を広くすることができる。
そのための小型の盾は、ネズミの背中部分につき立てるように収納することにした。
背中に、盾の受けとなる収納用のボックスユニットを装備するかたちである。
この小型の盾は五角形になっていて、下が鋭角になっているので、殴りつける攻撃にも使える。
六本の腕は、使わない時は盾の側面に下に向けて下がって、重なるように張り付くかたちになっている。
骨格と外皮の間を埋める体組織に当たる部分には、同じく『イビル・アーマークラゲ』の体内組織のゼリー状の物質を使った。
衝撃吸収能力が抜群なのだ。
外皮も体内組織も、クラゲ魔物の素材を使ったので、透明なスケルトンねずみになってしまった。
盾の部分も、透明な盾になった。
奇しくも、前に作りたいと思っていた透明な盾が、完成してしまった感じだ。
視界を奪わない透明な盾を作りたいと思っていたが、盾に使えるほどの強固さがある透明な素材がなかったのだ。
それが巨大クラゲ魔物の素材を手に入れたことによって、簡単に解決してしまった。
巨大クラゲ魔物の外皮は、盾にするにも十分な強度があるし、外皮と外皮の間にクラゲ魔物のゼリー状物質を入れると、衝撃吸収能力までついて凄い盾になってしまったのだ。
クラゲ魔物の外皮は十分な透明度があるし、何といっても強度が高い。
盾を作るにはもってこいの素材であるのはもちろん、強化ガラスとしても使えるのだ。
実際、『メガロドンシップ』の乗船スペースであるユニットボックスの窓としても使っているが、多方面で非常に役立ちそうだ。
『魚使い』ジョージが、これから作ろうとしている水族館の水槽の素材にも最適なのだ。
クラゲ魔物の中のゼリー状の物質は、衝撃吸収性能が高いので、これも防具作りや鎧作りにかなり使えそうだ。
それから、このゼリー状物質は、魔力を流すと軽くなることもわかった。
軽量でかつ強固な鎧作りなどに、使えそうである。
このゼリー状物質もほぼ透明なので、外皮と合わせて、新たなシースルー装備も作れそうだ。
まぁ無理にスケスケの装備を作る必要は、ないんだけどね。
もう一つわかったことは、巨大クラゲ魔物の素材は、魔力を通して浮くように念じると、浮遊できることだ。
なんとなく直感的にやってみて、偶然発見した機能だが驚きの機能である。
巨大クラゲが空を飛べるのは、この体組織の性質の為だろう。
外皮もゼリー状物質も、飛行船を作る素材としてもすごい可能性を秘めているのだ。
それから今後改めて、一般販売用の透明な盾を作って、『フェアリー武具』で販売しようと思っている。
仲間たちの装備としても、特別なものを作ろうと思っているのだ。
完成品を改めて見ると……巨大クラゲ魔物の素材は、自律型人工ゴーレムの素材としては、少し微妙だ。
盾の部分の透明は特に問題無いのだが、盾の側面についている六本の腕と盾の台座にもなっていて、移動用のパーツでもあるネズミの部分の骨格が丸見えなのだ。
少し見た目がグロいというか……可愛くないんだよね。
そこで、このネズミの部分と盾の横の腕の部分だけは、骨格が見えないように工夫することにした。
ピタッとフィットするスーツのようなものを、被せることにしたのだ。
その素材として選んだのは、巨大ザメ魔物『イビル・メガロドン』の皮である。
これもかなり強固なので、そうそう破壊される事はないだろう。
仮に破壊されても、下にはさらに強い巨大クラゲ魔物の外皮があるので、実は防御の主体である透明な盾の部分よりも、そこに生えている腕と台座代わりのネズミの体部分の方が、強度が上がってしまったのだ。
少し皮肉な結果になってしまったが、まぁいいだろう。
これで、自律型人工ゴーレムの素体がようやく完成した。
かなり防御力が高くなっていると思うので、本当に『魔盾 千手盾』の簡易量産型みたいな移動盾になった。
後は実際に小型魔法AIをセットして、起動と稼働のテストをするだけだ。
一応、この人工ゴーレムの素体に名前をつけた。
『シールドラット シックスアームズ』とした。
場合によっては、もっと腕を増やしたバージョンも作るかもしれないので、敢えてシックスアームズという表示を追加したのだ。
さてと……起動テストを始めますか!
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