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そういうことねぇ

 マジルカの兵士達は、確かにかつてダマス城と共闘して山賊狩りを行った際には不覚を取った。

 だがそれは相手が人間であったためだ。

 相手が魔物であるならば、マジルカの兵士達は極めて優秀であった。

 炎で魔物の群れを焼き尽くし、熱を奪い凍らせ、雷雲を呼び起こし飛来する魔物を打ち落とす。

 対魔物であるならば、プロフェッショナルと言っても過言ではない。そんな戦闘集団が今、魔物相手に苦戦をしていた。

 それもそうだ。

 魔物といってもただの魔物ではない。

 夜の闇に紛れて襲来するヴァンパイア。

 兵士達の陣形に突っ込んできては、内部から切り崩してくるガジルライダー。

 動く要塞と形容されるダイヤモンドゴーレム。

 単純に力強く、素早い巨体のマウントベアー。

 更にどこから来たと言うのか、幻の存在だと言われている原始龍までいるという。

 いずれの魔物も、人間どころか魔物でさえも恐れている存在であるため、誰も近寄らない場所でひっそりと暮らしているはずであった。

 それが今、一斉にこの場所に現れているのである。

 普通であれば、いくら魔術に長けた集団であろうと、これでは相手が悪すぎる。戦線など1時間もあれば崩壊してしまうだろう。

 だが、戦線が一晩経っても維持され、マジルカの都市まで踏み込ませずに堪えられているのはこの2人の活躍が大きい。

「今度は2時の方向から2匹来ているよ!」

 ユーミルは木々を組み合わせて作られた高台の上から、魔物の動向を伺っている。

 離れている位置とはいえ、魔法都市マジルカの一番高い建物が見える程の高さである。

 一望できる範囲内に魔物の群れは見えないが、少し離れたところに魔物の集団が控えていることをユーミルは既に把握している。

「んもぉう、少しは楽をしたいものねぇ」

 その報告を受けて、サンダラ、そして動ける魔法士達が魔物を迎え撃つ。

 常に戦況を把握できるユーミルが的確に敵の位置を報告し、時にその弓で援護をする。

 この作戦が功を成したのか、現在まで戦線を維持し、マジルカの街を守り続けられている。

 だが昼夜を問わずに魔物は現れてくる。特に昨夜はヴァンパイアの襲来を2度も防いだのだ。

 サンダラにも、そして一列に並んでいる魔法士達にも流石に疲労の色が見えていた。

 だがここで堪えなければ、今までの努力も無駄になってしまう。

 重たい身体を引きずりながら、マジルカの兵士達と一緒にサンダラは肩を並べた。

 

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・


ガジルライダーAが あらわれた!

ガジルライダーBが あらわれた!


魔法士は じごくのしゃくねつを よびだした!

マグマのつなみが ガジルライダーたちに おしよせる!


しかしガジルライダーAは マグマを とびこえた!

しかしガジルライダーBは マグマを とびこえた!



「ほんとうに厄介な敵よねぇ。でもここは通さないわよぉ」



サンダラは ねらいすまし ナイフを なげた!


ガジルライダーBに 213の ダメージ!


ガジルライダーAは スクリートの じゅもんを となえた!

ガジルライダーAの しゅびりょくが 215 あがった!

ガジルライダーBの しゅびりょくが 179 あがった!

ガジルライダーBは マジックカウンターを となえた!

ガジルライダーBの 目の前に 光の壁が 展開された!


「対策してきたってわけねぇ。ユーミルぅ!」


上空から 魔がこめられた 矢が ふりそそぐ!


ガジルライダーBの 光の壁は こなごなにくだけた!


サンダラは ねらいすまし ナイフを なげた!


ガジルライダーAに 68の ダメージ!


ガジルライダーAは あくまの もんを ひらいた!

まかいの どくそが あふれだす!


サンダラに 176のダメージ!

サンダラは どくに おかされた!

魔法士に 215のダメージ!

まほうしは どくに おかされた!


ガジルライダーBは まりょくを ためている!


魔法士は キルバインを となえた!

サンダラの こうげきりょくが

2ばいになった!


―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・



「リリスぅ! おねが――」

 いつもの癖でリリスの名を呼んだが、今はそこにいないのだと気付いた。

 そんなことも忘れる程に焦っている。

 まずいと思いつつ、しかしサンダラには打開策はなかった。

 ガジルライダーの動きを封じられればまだ方法はある。

 今は確実に攻撃を当てられる『スナイプナイフ』でしかダメージを与えることはできないだろう。だがそれもスクリートを無効化しなければ意味はないだろう。

 ここにいる魔法士達は攻撃系統の魔法しか使えない。毒の治癒も体力の回復も、そして攻撃魔法も習得しているリリスは何気に天才なのである。

 身体が重たい。きっと毒素のせいだ。

「10時の方向から更に増援がくるよ! 元気な兵隊ちゃんはそっちも行って!」

 ユーミルが叫んでいるのが聞こえる。

「もぉ……こっちにも誰か寄越しなさいよぉ……」

 サンダラの愚痴はユーミルには聞こえていない。

 いくら伝説のマスターシーフと言ってもぉ、ガジルライダー2匹を相手にするのは厳しいって分からないのかしらぁ?

 そんな後ろ向きな心持でいたが、サンダラは直後に自分の耳を疑った。

「そして……今加勢に来てくれた2人はサンダラちゃんの方を手伝ってあげて!」

 高台の上からユーミルが声を張り上げている。そしてサンダラの方を指差しながら、誰かに話しかけているようだ。

 2人?

 たったのぉ?

「……あぁ。そういうことねぇ」



―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・


サンダラは 回復の袋を つかった!

袋から 光の粉が あたりにちらばった!


サンダラの キズが かいふくした!

魔法士の キズが かいふくした!


サンダラは もうどくに おかされている!

サンダラは 79の ダメージを うけた!


ガジルライダーAは 魔弾を はなった!

サンダラに 109の ダメージ!

魔法士に 189の ダメージ!


ガジルライダーBは まりょくを ときはなった!

ぼうそうした まりょくが あたりを はかいし尽くす!


「まっず!!」


サンダラに 677の ダメージ!

魔法士に 999の ダメージ!


魔法士は 死んでしまった!



「……ここまでねぇ」

 

いやしの ひかりが サンダラを つつんだ!

サンダラは かんぜんに かいふくした!


「え? な、なんなのぉ?」

「説明は後であります!」


ベズリーシアが せんとうに くわわった!


ベズリーシアは とびひざげりを はなった!

ガジルライダーBに 648の ダメージを与えた!


ガジルライダーBを たおした!


ガジルライダーAは にげだした!



ガジルライダーを やっつけた!

それぞれ 

8020ポイントの けいけんちをかくとく!

 

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・


「悪いけど。昔の仲間はそう簡単に死なせてあげないからね」

 走ってきたのか、リリスは息を切らしながらサンダラにそう告げた。

 茶化している様子はない。

 真面目な顔をして、サンダラの顔を睨みつけていた。

 どうやら生きるのを諦めた一瞬を見られていたようだ。

 だがサンダラはあの瞬間、決して諦めたわけではなかった。

 ユーミルはこの戦闘をずっと見ていただろう。

 そのユーミルが2人だけを加勢に寄越したのだ。これがただのマジルカの兵士ではないと直ぐに察しがついた。

 だから、返す言葉はお礼の言葉なんかではない。

「待ってたわよぉ、リリスぅ」


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