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CODE-D  作者: ryu8
3章 帝都動乱
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3-11.エピローグ ~帝都動乱~

 目を開けると見覚えのあるような天井があった。

 体中に痛みは走っていないが、だる気は感じ取られた。

 あれ…俺は傭兵達と戦っていたはず……

 礼二は先程までの自分の行動を思い返し、今の状況との違いに戸惑っていた。

「ようやく起きたのね」

 凛とした女性の声が聞こえる。

 彼は声の聞こえる方向へ首を向けると、そこにはレイチェルがいた。彼女の周りには薬の入れられた棚が周囲にあった。


「レイチェル…ここは…」

「軍の医務室よ。覚えてる? あなたは傭兵の首領らしき奴と戦って魔力不足で倒れたのよ」

 医務室…傭兵の首領…魔力不足…

 礼二は何故自分がこのような状況に陥っているのかの状況整理を行っていた。


 思い出した……

 あの時の俺は真紅の猟団(クリムゾン・ジャガー)のアインと呼ばれる剣の使い手と戦い、ボロボロに負けたんだった。


 礼二は現状までに至る状況を大体思い出すことが出来た。

 しかし何故、魔力不足によって倒れてしまったのだろうか……

「俺は何日寝てた…?」

「2日。病院に運び込まれた時、医者が驚いていたわ…まるで虫食いが葉っぱを食べるように跡形も魔力の量が少ないって。それにしても…あなたがまた、あの黒い魔力を使ってしまうことになるとはね……」

 レイチェルは「使うはずの無かった力を使ってしまったな」と言わんばかりに、礼二に言った。

 何のことだろうと考えていると、あの戦闘において力を使用してしまっていたことを思い出す。

黒い魔力(・ ・ ・ ・)…アレは一体何なんだ?」

「あなたの前世、ダークが最後まで利用していた力よ」

「え…?」

 想像もしなかった事実に礼二は困惑した。

 何故そんな大昔に使用されていたらしい力が自分の手元にあるのかと。

 しかし、これまでの状況を思い返してみると、自分がこの力を持っている理由について3点を思い出した。


 脳裏に浮かんだ青年が扱っていた黒い魔力。

 悪魔神・バモンが話していた「魂の繋がり」。

 自分がダークと呼ばれた魔術師の現世にあたること。


 それらの要素を鑑みて、なんとなく合点がいった。

 あの黒い魔力は、前の使用者であるダークと礼二の前世と現世の繋がりで同じ魂であることが継承されている要因であるように思えた。

 しんと静まり返る病室の中で、2人は数秒ほどの沈黙にさらされた。

 礼二は思い出したように口を開く。

「そういえば、あの傭兵達はどうなった!? 俺が倒れてから何かあったじゃないの?」

 彼の言葉を聞いたレイチェルは、表情を曇らせる。

 彼女は少し言いづらそうに口を動かす。

「奴らは、あなたが倒されてから逃げて行ったわ。何か目的を果たして戦線離脱したような感じだった」

 礼二を見ないように目を閉じ、顔を斜め下に向けながら言った。

 「逃がしたのは自分である」と彼自身に思わせたくなかったのか、彼女は傭兵達の動きについて話した後、溜め息を漏らす。


「そうだったんだ……」

 現状を大体理解した礼二は、自身が上手く働けていなかったことを悲観する。

 自分の力不足に苛立つように、体を被せていた布団を強く握りしめていた。

「いや、あなたのせいじゃないわ…今回は相手が悪かった」

 レイチェルは礼二が思ったことを察していたのか、「あなたは悪くない」となだめようとした。

 しかし、礼二の目からは少し元気が無いように感じられた。


「そうだ、テレビでも付けるか! 今の外はどうなっているのかを知りたい」

 傭兵達の襲撃から2日。

 ということは、外では何かが起きているはず。

 そう考えた礼二は辺りをキョロキョロと見渡してテレビのリモコンを手に取る。

 リモコンの電波送信の部分からテレビに向けて電源ボタンを押した。


「こちら、帝都東区の高層ビル密集地の前。異能の力を使う者同士の騒動が発生して2日が経過しておりますが、復旧はまだ掛かる模様です。騒動に巻き込まれたと思われる帝都民は2000人程であると確認されております」

 テレビの画面が映る前に流れてきた音声は、報道番組で中継のレポーターが説明をしているような感じに思えた。

 数秒すると画面が移りだす。表示されたのは、建物の一部が切断されたビルの姿だった。

「あそこって…あの時戦った場所だよね?」

「そうよ」

 あの戦闘の傷跡。戦闘に巻き込まれた人は2000人。

 帝都東京の人口は1億ぐらいあるからか、2000人という人数は少ないように感じるが、それでも人1人の命は尊い。

 巻き込まれた1人1人にも家族や大切に思っていた人も居て、今はその人たちが悲しんでいるかもしれない。

 自分が同じ立ち居地に立っていれば、戦闘に巻き込まれたこと、関わっていた者に恨みを抱くだろう。

 礼二は帝都民のことを気遣って戦うべきであったと後悔していた。


「この騒動によって明らかにされた異能者たちへの反感は、各地域の帝都民に広がっている模様です」

 レポーターの現場と帝都民の声を元にした熱弁が病室内に響き渡る。

 礼二は「現実を見たくない」と言わんばかりに声を右から左へと受け流し、ぼーっと目の前にある白い壁を見つめた。


 魔獣の再来に爆発事故、人間を敵対視する魔術師の存在。

 この1月内で多くの出来事が起きて帝都は動乱する。

 相手は目的を果たして去ったかのように思えたが、これで終わりとは思えない。

 人間達に復習をすることを誓った彼らは、どのようにして復讐を達成させるつもりだろうか。

 礼二は彼らの動きが気になって仕方が無かった。


 残暑は無くなり、肌寒さが少し感じるようになった9月の終わり頃。

 帝都東京は、人間を敵視する魔術師たちの動きによって混乱の渦に巻き込まれたままだった。

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