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CODE-D  作者: ryu8
3章 帝都動乱
35/67

3-3.爆発事故

 午後2時。帝都東京には都市のシンボルにあたる時計塔がある。

 周囲には帝国民が住む住宅街が建てられており、時計塔前の広場にはバスケットゴールやジャングルジムなどの遊具が設置されている。そこに一台の黒いワゴン車が到着した。

「爆発があったのはここらへん?」

 車のドアが開き、帝国軍特殊部隊に所属するアイラ・シュー軍曹が顔を出す。

 彼女は周囲の様子を見ながら車を降り、その後に特殊部隊に所属する他の隊員が車から外に出て行った。

 青々とした晴れ空から照らされる太陽によって作られるジャングルジムの影。中心にそびえ立つ時計塔。礼二はこの光景に見覚えがあった。

「久しぶりだな、ここに来るのは…」

 多くの建物に囲まれているこの広場には、建物同士の隙間風が多い。

 ブォン、ブォンと強い風を受けるのがとても懐かしい。

 礼二は以前にここで友達と遊んだことがある。そのせいか目の前にある光景や風に当たる感触はとても懐かしく感じた。

 昔は勉強とか考えずに遊べたなぁ……

 小学生であった頃を思い出す。当時、礼二の親は彼に勉強を強要したりはしなかった。そのおかげか、その頃の彼は近所の子供たちと遊びに行くことが多かったのだ。

 遊び場としてよく使われたのが時計塔前の広場。ここにあるジャングルジムは少し複雑な構築がされており、アトラクションを楽しんでいるような雰囲気を味わえるというものだ。

 礼二はその遊具を使ってよく遊んでいた。これのお陰で体を動かすこと自体は苦にならないし、むしろ楽しいと思える時があったりする。

 そう思うと、この場所は礼二にとって思い出の場所だった。


「そういえば、神原は帝都出身だっけ。どこらへんに住んでたんよ?」

 唐突にミハエルから出身地について尋ねられる。礼二は現在地を確認し、時計塔を正面から見て右手の方角に目を向けて指を指し示した。示した方向には住宅街があり、人の住む家が壮大に広がっていた。

「あそこらへんですよ」

 答えを聞いたミハエルは指差した方向へと顔を向ける。すると、彼は小難しい顔をしながら呆然と口を開けた。そして、呆れるように薄ら目で礼二を見つめ始める。

「おい、どこに君の家があるんだ?」

「見つかるわけないでしょう……この周辺一帯は住宅街だし、ここから見て見分けられるわけないじゃないですか」

 不満そうな顔で見つめるミハエルに対して礼二は答えた。

 それは仕方の無い話だ。多くの建物があり、道の奥にはオフィス街や商店街もあったりする。ましてや礼二が住んでいた家はそれらよりももっと奥の住宅街にあるため、ここからは見えないのだ。

 家の位置はともかくとして、今の礼二にとってはもう、どうでもいい事になっていた。


「ほら2人とも、遊びにきたんじゃないんですよ」

 後ろから聞こえる真面目な子供のような声。振り向くと、そこには少し苛立ちの含んだ顔をしているチェインがいた。

 彼は住宅街へ体を向けながら話をしていた2人のことを遊んでいるように見えていたらしい。

「いえいえー、遊びに来たわけじゃないのは分かっているんですよ? ただ、ミハエルさんと周辺について話をしていただけですよ」

「私はそれについて言っているのですが?」

 チェインは間髪を入れずに反論をする。こうも攻めの姿勢で言われると、反論するタイミングを失ってしまう。

 彼の顔は眉間にしわが寄っていて、片方の奥歯を少し噛み締めるように口の形を変えていた。

「チェイン、爆発が起きたのってどこか分かるかい?」

 彼の後ろからアイラの声が聞こえた。チェインがピクッと1度反応した瞬間、彼女はチェインの背中越しから礼二を見て微笑む。

 あえて呼んだのかな…

 チェインに怒られている様子を見て助け舟を出したのかは分からないが、アイラの気遣いに礼二は感謝した。アイラに呼ばれた彼は一瞬苛立ちの含んだ顔をしたが、深呼吸をして感情を抑えた。


「今日のところは仕方ないですが、次は気を付けて下さいね」

 チェインは後ろを振り向いて彼女の元へと向かっていく。彼の後姿を見届けると、2人はほっと一息ついた。

「あいつおっかないなぁ……」

 ミハエルは目の前を去った坊主頭について小さな声で愚痴り始める。

 彼が離れ始めて数メートルにも満たないのに、よくもまぁ愚痴を言えるものだ。

 礼二はミハエルの度胸強さに驚いていた。あまりにも命知らずな行動でマネはできない。

 するとチェインは急に2人に顔を振り向いた後、しばらく口も開かずにミハエルを見続ける。

「ミハエルさん、聞こえてますよ」

 何故かチェインの声が脳内で鮮明に響いた。

 いつ話したのかと彼の口元を見てみるが何も動かない。

 どうやって話したのだろうか……

 礼二はそう思い、ミハエルはぞっと背筋が凍るような気分に浸って両腕を抱えるように両手で触れた。

「こ、こわっ!」

「そんなこと言うから…」

 彼のやったことは擁護できるものではないが、あれほど小さな声がチェインに聞こえていた点で、礼二も同じような気持ちを抱いていた。

 小さな声で愚痴っていたミハエルに注意をしたチェインは、アイラのいる方向へ体を向け、再び向かっていく。

 彼が遠くに行ったことを確認した礼二は一息ついた。

「もっと遠くに行ってから言えば良かったですね」

 遠い位置にいても、彼なら関係なく聞こえていそうな予感はするが……

 そう思いながら礼二はミハエルに言った。彼は悪びれた様子もなく、後ろ姿のチェインに向けて舌を出し、悪いことをして注意された子供のように振る舞った。

「さて、他の人たちも現場に向かっているみたいですから、私たちも行きますか」

 礼二はミハエルに現場にへ向かうことを促し、チェインやアイラの向かった先へ足を歩め始めた。


 ◇ ◇


 青空に舞う煙が複数。

 煙の発生地点を見てみると、そこにはあちこちに穴の開いた建物があった。

「へぇ…こんなところで爆発が起きたのねぇ…」

 アイラを始めとした特殊部隊の面々は、帝都西部のオフィス街にある4階建てのビルの1つを一望できる位置に辿り着いていた。建物の前には、爆発が起きた現場を物珍しそうに見る野次馬でいっぱいになっている。

「人ってなぜ、こういう事故とかに興味を示すのかしら」

「珍しいからだろう」

 目の前に広がる人混みに対してレイチェルが呟くと、遠藤が後ろから声を掛けた。

 日本帝国はあまり内乱の無い国であり、国民は皆平和ボケしていると周囲の他国民から言われている。

 この事実を礼二は軍隊に入って初めて知った。

 国内で多少の事故は確認しているが、今起きたような爆発事故なんて始めてである。

 外国の国民から平和ボケしていると言われる理由を知った瞬間だった。

「警察は…来ているようだな。とっとと話しつけて現場を見に行こう」

「だからなぜ君が指揮をしているのだ」

 アイラは遠藤が持っていたはずの指揮権を大いに振る舞い、特殊部隊員の行動を指揮していた。

 彼女と遠藤はビルの前に立っている警官の前へと歩き始める。

 他の隊員は彼女が話を付けるまで、人混みの前から分かる事故の状況を確認した。

 ビルの3階あたりの壁の色が黒味を帯びており、コンクリートの焦げた匂いが周囲に漂っている。

 一室に取り付けられた窓には跡形も無く、上あたりにも黒味が増されている様子から見て爆発の大きさが分かるほどの悲惨さだ。建物の状態を外見から確認していると、アイラと遠藤が人混みを掻き分けて戻ってきた。

「おい、警察との話は付けた。中に入るぞ」

 遠藤にそう言われ、隊員達はそのままビルの入り口へと歩いていった。


 ビルの中は爆発によって物が破壊され、周囲にはコンクリートの破片が散らばっている。

 ぱらぱらと音を立てるコンクリートの破片が転がる音。礼二は目の前で粉々になった破片が下から落ちる様を見て、1階の天井に穴が開いていることに気が付いた。

「破壊力が凄かったのかな」

「そのようですね」

 礼二が呟くと、チェインも同じ気持ちであるかのように呟いた。

 呆然と目の前に広がる光景を見つめていると、新たな指示が下り始める。

「このビルは4階のようだ。1階は全員で見て周り、他の階層は2人1組で見てもらう。チームの振り分けは、私とリリス(Lilith)(レイチェル)は4階、フォース3(Force3)(アイラ)とダーク(Dark)(礼二)は3階、フォース2(Force2)(ミハエル)とフォース4(Force4)(チェイン)は2階の調査を頼みたい」

 遠藤が部隊全体に指示を出すと、隊員達は各自自分の相棒(バディー)に対して反応をしていた。

「よろしく、ダーク」

「こちらこそ」

 礼二の相棒(バディー)になったアイラは、朗らかな笑顔で挨拶をする。

 レイチェルと遠藤は互いに冷め切った感じで軽い挨拶をしていて、チェインとミハエルは犬猿の仲を表すようにバチバチと互いの視線の間に火花を散らしている。

 大丈夫なのかな……

 他の面子の仲の良くない状況を見ていると、幸先が不安になってくる。これが俗に言う仕事だけの関係というものなのだろうか。

 礼二はその様を見ていて、相棒がアイラで良かったと感じる瞬間だった。


 隊員全員で1階を捜索後、礼二とアイラは遠藤の指示通りにビルの3階を捜索していた。

 3階は中心だけ穴が開いていて跡形も無くなっている。壁に面する位置には机らしきものがあり、壁には破片が刺さっていた。

「うーん、ここらへんも中々酷いことになってるな」

「跡形も無いですね……」

 2人の言う通り目の前に広がる光景は、あったと思われるデスクの存在が跡形も無く、それら全てが壁に破片として刺さっているように見える。

「そもそもどこから爆発が起きたんですかね」

 礼二はそう言いながら、爆発後の惨状を首に下げていたカメラで写真に収めた。アイラは彼の言葉を聞きながら状況を推測し始める。

「そうだね……」

 迷いながら考えていると、彼女は思いついたように大きく空いた穴の元へと向かっていった。

「ちょっとフォース3!」

 礼二は彼女の行動を止めようと、コードネームを呼びながらアイラの元へと向かう。

 彼女は穴の前で立ち止まっており、下の階層にあたる1、2階を見下ろしていた。礼二は彼女が何を見ているかが気になり、体を屈ませて下を見てみる。

 今居る位置から下を見下ろす距離、目視できるだけでも8メートル近くあるように感じる。高いところから見下ろすと、今にでも下に落ちてしまう感覚に陥ってしまう。

「ダーク、間違って落ちるなよ? まぁ、落ちたにしても魔術でどうにかすれば良い話だけど」

「ここ、結構人に見られてますけど、魔術を普通に使って平気なんですか?」

 危なかったら魔術を使う。

 この発言に対して礼二は不思議に思った。

 公衆の面前で魔術は使って良いものなのか。レイチェルにはできるだけ隠すべき技術であることを教えられているが、それを簡単に見せてしまって良いものだろうか。

 礼二はアイラの言葉に少し戸惑いを感じていた。

「何言ってんだよ。魔術は出来るだけ見せびらかすな。私が言っているのは、魔術を使っていないように見せかけて使えと言っているんだ」

 使っていないように見せかけて使え? どういうこと?

 彼女の言葉に一瞬疑問を抱いたが、少し考えてみると意味が理解できた。


 魔術を使っていないように見せかけて使え。


 例えるなら奇術(マジック)だ。

 大体の奇術師は最初の一言で「タネも仕掛けもございません」と言っている。だがしかし、奇術にはタネがある訳で、奇術師はそれを見破られないように様々な動作に織り交ぜてタネを仕込んでいるのだ。

 アイラの話したことは、例え落ちたとしても魔術を周囲に気付かれないように行使して自分で対処しろ、というところだろう。


「なるほど……」

 礼二は1人納得するように彼女の言葉に頷く。

 アイラはそんな彼を気にしない素振りで下の状況を確認する。ずっと下を見ていて怖くないのだろうかと思うところではあるが、彼女はそんなことを気にはしていないだろう。

「フォース3、何か見つかりました?」

「そうね……何となく状況は掴めたわ。後は上の階層次第だけどね」

 アイラはそう言いながら上に空いた穴を眺めた。

 彼女はどうするべきかを考えていると、ハッとしたようにビルの階段へと向かっていった。

「ちょっと、どこ行くんですか!?」

「上を見に行くだけよ」

 礼二は階段で上の階に上がるアイラを追いかけようとして足を伸ばすと、足の筋肉に違和感を感じて体のバランスが崩れそうになる。

「やべっ!」

 体勢を立て直そうと片足を後ろへと退かせる。崩れたバランスは何とか整い、転ぶ危機は回避された。

 首だけ後ろを振り向かせると、下にはビルの真下にある1階の様子が見えた。

 危なかった…危うく落ちるところだった……

 礼二はホッと一息、自身の安全を確認したところでアイラの元へと向かっていった。


 ビルの3階。

 目の前に広がっていたのは2階と同じようにフロアの中央は木っ端微塵に破壊され、中央にあったと思われる机の破片が壁のあちこちに飛び散っていた。

「ここも酷いな……」

 爆発後の惨状を見て礼二は再び呟く。

 アイラはどこにいるだろうと辺りを見渡していると、チェインとミハエルが2人して佇んでいるところに気付いた。礼二は2人に尋ねてみることにした

「あのすいません、フォース3は見かけませんでしたか?」

「あぁ…あっちにいるよ。何か勝手にこっち来てどっか眺めてる」

「そうなんですか…ありがとうございます!」

「あ、ダーク待て!」

 礼二は自身の行動を制止しようとするミハエルの声を聞かずに3階の中央まで進んでいく。すると、そこにはアイラの後ろ姿があった。彼女の近くへと歩み寄り、何をしているかの見てみると、ただビルの1階を見つめているだけのように見える。

「フォース3、何やってるんですか?」

「ん、あぁ…事故の状況を考察してるんだよ」

「考察? どういうことですか?」

「起爆地点がどこなのかを探っているんだよ。それによって少しは事件の状況も見えてくるだろ?」

「なるほど」

 これは事故の状況把握をするための手段らしい。

 礼二も彼女に付き添って辺りを見渡す。3階から見下ろす1階の風景は照明が無いせいか、辺りが暗い。それも含めて視界が良好という訳でも無かった。

 こんな視界の悪いところを見て何が分かるんだろう……

 礼二は疑問に思いながら、アイラが納得のいくまで1階を見下ろすのに付き合うことになった。


 ◇ ◇


 午後15時30分。

 特殊部隊の面々は事故現場から離れ、軍の基地にあるミーティングルームにて各自の捜査結果を確認していた。ミーティング室にあるホワイトボードの前にはクロード、彼を中心として周囲には部隊の他の隊員全員が囲んでいる。

「急な出動で捜査結果を確認することは出来なかったが、ようやく出来るようになった。まずはリディ・マッケンジーの家宅捜索から確認する。何が見つかった?」

 クロードは部隊の面々に任せた捜査の結果を確認すべく全員に尋ねる。各個人で報告をしようとしていたところ、遠藤が率先して前に出始める。

「大佐殿、お疲れ様です。これより、リディ・マッケンジーの家宅捜索から始めさせていただきたいと思います。神原、あの手記を頼む」

「了解です」

 他の隊員の反応は「これから何をするつもりか」と怪しく思っていたところであったが、礼二に言った命令で彼自身が状況報告の中心になることを察した。

 各個人で報告すると意味が分からなくなるからなぁ……

 礼二はそう思いながら遠藤が指示している手記を渡す。

「何だこれは…? 何かの手記のように見えるが…」

 クロードは礼二が遠藤に手渡しした手記の存在に気付きいて彼に尋ねる。礼二は答えようとしたが、遠藤が彼の顔の前に腕を置き、代わりに答え始める。

「これはリディ・マッケンジーが使用していたと思われる手記となります。中を見てみると、彼の後ろに居たと思われる組織の存在をイメージさせる内容が書かれておりました」

「そうなのか。では見せてくれるか?」

 クロードにそう言われた遠藤は、彼に手記を差し出す。彼はいつの間にか用意していた手袋を手にはめ、手記を受け取って開き始めた。

「無能復讐者…? 無能たちの復讐という意味か?」

 クロードは手記に書かれた内容を周囲に見せるように倒して広げると、何かの予定表と一緒に『無能復讐者』と書かれている単語が目に入った。


 無能。

 それは能力や才能が無いこと。またはそのような人のことを示している。

 『無能復讐者』と名乗るならば、能力の無い者達が何らかの復讐をするということなのだろうか。

 能力の無いものによる復讐。傍から聞けば嫉妬のように聞こえて、復讐を行っている者たちに馬鹿馬鹿しさを感じる。

 何のためにこのメッセージがあるのか、隊員たちは理解に苦しんだ。クロードは広げた手記を閉じる。

「家宅捜査の報告は一旦終了だ。詳細は証拠品を細かく確認しよう。次は爆発事故について報告を行ってくれ」

「了解いたしました」

 遠藤は最初に、目撃者達から確認した情報を元にした事件概要から話し始めた。その後に爆発の起きたビルで行っていた各階層の捜査結果を報告することになった。

 各階層を捜査していた2人の内の1人が報告をし始める。


■各階層別の捜査結果

①1階の捜査結果(報告者:遠藤俊介)

・フロア中央には小さなクレーターがある点、辺りに散らばるベンチの破片の存在から、爆弾は中央に仕掛けられた可能性がある

・フロア中央の天井が空いている点から見て、何らかの大きい力が上の階層で起きていた。


②2階の捜査結果(報告者:遠藤俊介)

・フロア中心に穴が開いている点、壁に机らしきものの破片が刺さっている様子から、爆弾は中央に仕掛けられた可能性がある。

・フロア中央の天井が空いている点から見て、何らかの大きい力が上の階層で起きていた。


③3階の捜査結果(報告者:アイラ・シュー)

・フロア中心に穴が開いている点、壁に机らしきものの破片が刺さっている様子から、爆弾は中央に仕掛けられた可能性がある。

・フロア中央の天井が空いている点から見て、何らかの大きい力が上の階層で起きていた。


④4階の捜査結果(報告者:チェイン・ハン)

・フロア中心に穴が開いている点、壁に机らしきものの破片が刺さっている様子から、爆弾は中央に仕掛けられた可能性がある。


 以上が各階層の捜査結果となった。

 礼二とアイラが調べて分かったところは他の隊員でも共通らしく、他の要素は見当たらなかったらしい。「見つからなかったのか」と事故の原因をあまり探ることができない状態に礼二は苛立ちを感じた。

「うーん…爆弾が各階層に1個ずつしか取り付けられなかったって見て良いのかな…」

 アイラは推測を立てて他の隊員達に向けて話し始める。

 何のために爆発をさせたのか。

 礼二は爆弾を仕掛けた犯人の意図が全く分からなかった。爆弾を楽しむ為にやったのか見せつけのためにやったのか全く想像がつかない。

「そう見てもいいかも知れないな……」

 彼女の言葉に対してクロードは同意見の様子。彼からしても情報が足りずで、この考えしか思いつかなかったのだろう。

 今得ている情報だけで何らかの可能性があるかを考えたが、あまりの情報の少なさに想像ができない。

「今分かる情報はこれだけか…今日のところはこれまでにして、明日以降の動きについて話し合おう」

 これ以上考えても仕方ないと判断したクロードは、今後の捜査方針についての話をし始める。

 現在捜査している『裏切り事件』の背後にいる存在と『爆発事故』。

 この2つが何らかの繋がりがあることを、礼二たち特殊部隊の面々は未だ分からないでいた。

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