3-2.家宅捜索
家宅捜索が始まって約10分が経過。
証拠品らしき物の大半が本部の調査員たちに取られているせいか、使えそうな証拠は見当たらなかった。
「見つかんねーなー……」
「なんか探すの飽きてきたわ……」
ミハエルとレイチェルは飽きたように呟く。
もう9月に入り初めだというのに、夏のしつこい暑さは未だ残っている。兵舎内の空調が未だ壊れているせいで部屋の中は蒸し暑い。この暑さが地道な捜索に対して堪える力を削いでいた。
「捜索して10分しか経っていないだろ…もう少し探して見せろ」
アイラは気だるそうにするミハエルとレイチェルに対して言った。彼女から見れば2人がだらしなく見えたのだろう。
しかし、そう言われるにしても一度調査したところを自分達が再調査など、砂漠に落とした宝石を探せと言わんばかりの命令である。
「ふぅ…」
息の詰まる思いで探していたが、礼二の集中力もさすがに途切れてきた。
10分とはいえ、蒸し暑い4畳半の小さい部屋の中で大人が4人と子供1人ではむさ苦しい。軍に入り初めの頃に体力トレーニングを受けている気分を思い出す。
思い出した後から蒸し暑さをより感じるようになり、体から汗が出てきた。
「神原、お前もか?」
天井に顔を向けてぼんやりとしていると、アイラから声をかけられる。礼二を見る彼女の視線は、いかにも「お前もたるんでいるぞ」と語っている様子だった。
「いえ、だるいって訳では無いんですけど、ここ暑いなーって思っただけです」
ミハエルとレイチェルと同じように思われては困る。
2人と同じような疑いを持っているアイラに対して軽く答えると、彼女は服の襟元を摘み、ばさばさと服を仰ぎ始めた。
アイラがばさばさと服を仰いでいると、襟元からちょこちょこ胸元が見えて視線に困る。恥ずかしそうに視線をずらす礼二に対し、ミハエルは見えるたびに「むひょおおっ!」と小さく声を上げながら細かく反応していた。
「そうね。確かに暑いわ…ほんとに今は秋なの? ここは南国なの?」
「これから秋の季節になるし、ここは南国ではなく帝都東京だ。君は秋頃の南国に行ったことはあるのか?」
「いや、無いね」
誰かに問うようにアイラは暑さを訴え始めると、遠藤は冷静に彼女に現実を伝える。
彼女がそう言うのも仕方の無いことだ。そろそろ秋へと季節が変わるはずなのに、未だ暑さが残っている。万年暑い気候になっている南国にいる気分に陥ってしまうのは無理もない。南国が万年暑いと形容しているのは個人的なイメージだろうが。
礼二はそのやりとりを見て笑いそうになったが、アイラに何か言われそうな気がしたので笑いを堪えた。
「大方、夏の残暑が残っているだけだろう」
「そういうもんですかね」
アイラは遠藤の答えに対して納得したのか、右手の親指を顎に添えて頷いた。
先程まで顔を合わせて話していた2人は、体の向きに合わせて顔の向きを変え、再び手を動かした。
「あの…『ザンショ』ってどういう意味ですかね…? お2人さんの話を聞いてもしっくり来なくてさ…」
アイラと遠藤が話し終えて数秒ほどすると、ミハエルが2人に対して唐突に尋ねていた。今の彼はまるで初めて聞いた言葉に興味を抱いている子供のようだった。
「ザンショ…? あー…暑さが残ると書いて『残暑』だ。立秋後の暑さ、つまり秋になっても残っている暑さのことを意味している」
「残…暑…ほぉ…初めて聞いた。そもそも暑さって残るものなんですか?」
ミハエルから確信めいた一言を聞き、遠藤は困ったように視線を彼の目からずらした。
暑さが残る。夏の暑さが未だ続いているという意味かもしれないが、「残る」というのはあくまで言葉のあやなのだろうか。
礼二も彼の質問に対しての答えを推測づけていると、遠藤は思いついたように口を開く。
「仮に夏をサラリーマンと例えよう。夏は私たちに暑さを与える仕事を受け持っていて、本来であれば秋の終わり頃には仕事を終えているはずだ。しかし、十分な仕事をした訳でも無かったから引き続き仕事を続けている、そういう風に捉えるといい」
ん、何故にサラリーマン?
遠藤の例えが最初は分からなかった礼二であったが、少し考えてみると、なんとなく理解することができた。
ノルマを達成させられなかったサラリーマンが、必死に残業して達成まで頑張る社蓄。
サービス残業当たり前、プライベートは全て仕事に回す。想像してみたら太陽はとても頑張っていることに気付かされる。
暑さよ。お前はもう夏の時期で十分働いただろ? そろそろ長期休暇を取っても良い頃合いでは無いのかな?
入隊初期の訓練を初めとした各訓練で受けた日差しのことを思い出す。
あのギラギラと照らし続ける太陽と蒸し暑さによって苦しんだあの日々。私達を苦しめた暑さを提供し続けてもまだ足りないというのか。
礼二は勤勉な暑さに対して怨念を抱いた。
「そうなんですねぇ…暑さって働き者なんですねぇ……」
ミハエルは彼の例えに納得すると、暑さにうんざりするようにだらけた声で言った。
本当に暑い。蒸し風呂に入っている気分だ。
「無駄口はいいから、ちゃんと証拠になりそうな物を探せ!」
アイラは苛立ったのか、顔は振り向かず遠藤と話すミハエルに呆れながら言った。彼女にそう言われたミハエルはダルそうにしながら再び動き始めた。
◇ ◇
「うっがー! 見つかんねー!!」
リディー・マッケンジーの部屋からミハエルの声が響き渡る。証拠品らしきものは何も見つからないまま捜索をし続けて1時間が経過した。
靴箱、流し台、洗面台、風呂場、押入れなどを隅々まで探しても見つからない。本当に本部の人間達が全ての証拠品を掻っ攫っていったのだろうか。
「もう駄目。何も見つからない…」
レイチェルは諦めるように近くにあったベッドに座り込む。2人の行動に対し、アイラは証拠品探しを続けた。礼二も彼女同様に探し続ける。
「姉さん、よく続けられるね~。こんな窮屈な作業は俺に向いていないわ」
ミハエルは彼女の仕事に対する勤勉な態度に対して言った。
1度本部の人間達が全て見ているはずなのに再調査ともなると、「もう証拠品は無い」と早めに断定するものかと思うのだが、それを感じさせないぐらい彼女は捜索に集中している。
「私だって、あんたみたいに窮屈な作業は向いちゃいないよ」
数秒の間を置いて、アイラは捜索を続けながら背中越しにミハエルに対して言った。一瞬沈黙が走ったものだから無視されているものかと思ったらしく、彼女が答えてくれたことに驚く。
「じゃあ何で続ける必要があるんだよ?」
「本部の人間達で見つけられなかった決定的な証拠を、魔術師である私達が見つけるためだよ」
彼女の答えを疑問に思ったミハエルが理由について尋ねると、アイラは振り向きながら間髪を入れずに答える。続けて彼女は息を吸い、再び口を開いた。
「まずミハエル、あんたは魔力には魔術師にしか分からない気配があるっていうのは知っているよな?」
「はい」
「それが肝だ。1度調査にやってきた本部の人間達は魔力の気配なんて全く分かりやしない。調査対象は魔術師であることは確定しているから、証拠は魔術を織り交ぜて隠しているように見えるんだよ。それが無いか確認するために私達がこうしてあちこち見ているのさ」
1度確認したことをもう1度確認する。
それは二度手間を意味しており、裏切り事件について主に調査を行っていた特殊部隊の面々の時間を無駄にするような行為だ。
そう感じ取ったミハエルは、少し苛立ちながら口を開いた。
「じゃあ、何で最初の段階に―――」
「ミーティングの時に話を聞いていなかったのか? それは遠藤曹長が神原に対して話していた通りだ。二度手間とはあまり思わないけど、魔術と関係があるのに、なぜ私達を最初に家宅捜索させてくれなかったのやら…」
アイラは苛立ちを少し表に出しながら、本部に対して抱いている感情をあらわにする。先ほどまで捜索に集中していた彼女の行動とは正反対の彼女の行動に対して、周囲にいた人達の動きが止まった。
少しの間だけ沈黙が走る。
「すまない、捜索を続けましょう」
彼女は自分以外の人の手が止まっていることに気付き、そわそわとしながら手を動かし始める。それに合わせてミハエルは再び手を動かし始め、周囲の人たちも捜索を再開していた。
ふぅ…さすがに疲れてきたな。
礼二は2人のやり取りを聞きながら流し台付近を捜していた。
排水溝、水道の蛇口、周囲の壁。
周辺から見て証拠品を隠しそうなところを片っ端から魔力を辿らせながら捜してきた。最後に隠し物があり得そうな場所は流し台下にある戸棚だけとなった。
礼二は流し台の前で屈んで扉を開けた。中には様々な栄養が詰まったブロック状の固形物を初めとしたレーション箱が入っている。それらは綺麗に何箱かに詰められており、戸棚の中を調べるには邪魔で仕方がなかった。
これを全部外に出すのか……
1時間に渡っての捜索となると物の移動はとてもだるい。だるい気持ちを抑えながら、レーション箱を外へ移動させることにした。
数分後、中に入っていたレーション箱を6箱、外に出し終えた。
非常食として残すにしても多すぎる。異常に入っていた箱の存在に戸棚の中を疑った。
この中に証拠品の鍵があるかもしれない。
そう思った礼二は消えかけていたやる気を出し、懐中電灯を手に持って戸棚の中へと上半身を潜り込ませた。
中は少しだけカビ臭く、真っ暗で何も見えない。視野を確保するべく手に持っていた懐中電灯で辺りを照らす。
見えた先には、もう何も入っていなかった。
「空っぽだな…」
中にはあの6箱のレーション箱しか無かったということになる。
いや、目に見えていないだけであって、何か見えない鍵があるのかもしれない。
アイラが言ったように、本部の人間達もここを見てこれ以上の物は見つからないと言っていたが、魔術師である自分ならば何か見つかるかもしれない。
礼二はそう思いながら周辺に魔力の反応があるかを精神を研ぎ澄ませて確認し始めた。
「ん、ここは……」
戸棚の右奥に一ヶ所だけ、微かな魔力反応を感じ取る。礼二は反応を感じ取った場所へと上半身を近づけた。
やはり魔力の気配を感じる。
自身の感覚が正しいことを確信づけた。
触れてみるべきか、触れないべきか。ある一点に対してどうするべきかを考えたが、礼二は気にせず触れてみる。触れたところから青白い魔方陣らしき図形が浮き上がり、押入れのある方向から何かの仕掛けが動く音が聞こえた。
「うぉわ!!」
同じ方向からミハエルの驚く声が聞こえた。気になった礼二は彼の元へと向かう。
「どうしたんですか?」
「い、いや…急に押入れの奥で何か動いた音がしたぞ!」
ミハエルがそう言うと、周囲の隊員たちは押入れに注目した。中は1度調べてから戸は閉まりきっている。
「あの中で何が起きたのだろう」と思いながら礼二は戸を開けようとした。
「おい神原、慎重に開けろよ?」
「は、はい……」
アイラに用心深くするようにアドバイスを受けて慎重に戸を開ける。開いてみると押入れ奥の地面が開いて、地下へと続く階段が姿を現していた。
「誰か、怪しいところを見つけたのか?」
「いや、こっちが聞きたいです」
「私も知らないわね」
「私も」
遠藤は隊員に対して尋ねると、礼二以外の全員が何も知らないと瞬時に答えた。
本当に怪しいものは無かったのだろうか。
少しだけ疑ってかかったが、疑いを掛けるほどのような物さえも見つからなかったように思える。
「神原、君はまだ答えていないようだが、何か見つけたのか?」
遠藤に未だ返事を答えていないことを指摘され、全員が礼二の口元に集中した。この視線を釘付けにする感覚はあまり慣れない。そう思いながらも重い口を開く。
「はい…流し台下の戸棚の中で魔方陣らしきものを見つけて、それに触れたのが原因だと思います」
礼二はたどたどしい口ぶりで話した。すると、隊員達は彼が成し遂げた所業に驚きの表情を浮かべる。
「すげぇじゃん神原! 君の手柄だよ!」
「うむ、よく見つけてくれた」
アイラは礼二の両手を掴んで上下に揺さぶり、遠藤は彼に賞賛の言葉を送った。
ただ遺跡の変な仕掛けを偶然見つけて嬉しい気分であったが、周囲から賞賛の言葉を貰って嬉しさが増してくる。
「いえ、偶然ですよ。新しく怪しいところが見つかったのでこっち行ってみますね」
礼二は2人に対して軽い会釈をしながら、そうでもないと一言告げる。彼は部屋の中で新たに出来上がった道を進み始めようとした。
「お、おい! 先に行くんじゃない!」
遠藤は突然出現した階段の奥へと先導しようとする礼二を止めにかかる。彼の声に制止した礼二は「なぜ?」と言わんばかりの顔をしながら振り向いた。
「どうしたんですか? 一番怪しいところ見つけて行ってみたら証拠品はあるかもしれませんよ」
「確かにそうだが、拠点の隠し通路なのだがら少しぐらいは罠とかの警戒をしていてもバチは当たらんぞ」
「うーむ、確かに」
遠藤は礼二に罠の存在を知らしめて進行を抑えるように言った。それに対し礼二は彼の言葉に納得するように隠し通路への道を歩むのを辞めた。
どうした方がいいかと少し考えると答えはすぐに出た。
「それじゃあ曹長、先に進んでもらえますか?」
「うむ」
礼二は遠藤へ先に行って欲しいと促すと、彼は先導して階段を下りていく。続けて礼二も地下の階層へと降りていく。
「全員下に降りるんですか?」
「いや、私とお前は残ろう。フラッド、お前は下に行ってこい」
「了解」
レイチェルは遠藤から指示を受けて階段を下りていった。
アイラとミハエルは部屋の中に残り、遠藤と礼二、レイチェルは下の階層の調査を行うことになった。
◇ ◇
地下階段の壁は地面を穴掘ったように土で囲まれており、洞窟の入り口を歩いている気分になっていた。定期的に小さな明かりが設置されているおかげか、予想外にも明るい。
「軍の兵舎なのによく作れましたよね…」
「気付かれないように作ったんだろうな」
礼二は部屋から繋がる階段があったことに感心していると、遠藤は推測したように話す。
「どうやって?」と一瞬考えはしたが、リディの部屋は1階にあることから見て、魔力の気配を遮断する結界の中で階段を作ったと礼二は想像した。
「それにしてもよく出来てるわね」
レイチェルは階段の出来具合に感心した。
彼女の言う通り一つ一つの段差に乱れは無く、周囲の壁などに至れば、紙やすりなどで磨いたように綺麗な出来栄えとなっていた。
「あ、何か扉ありますよ」
階段を進んでいった先には何も模様が無い質素な扉があった。
「辿り着いたか…さっさと入るぞ」
3人が扉の前に辿り着くと、遠藤が扉に手をかける。少し開いた瞬間、何か薬品のような匂いが鼻についた。薬品と聞くと彼が戦いの最後辺りに悪あがきで使っていた薬の存在を思い出す。
あれと同種の薬の匂いかな……
そう思いながら扉を開けて部屋の中に入り込むと、そこには4畳半の部屋があった。部屋の中心にはちゃぶ台、側面には棚が並べられている。
「何かの研究専用の部屋のように見えるな」
「ここで裏切りの計画をしていたのね」
レイチェルと遠藤はそう言いながら、ちゃぶ台の上にあった資料を手に取った。紙には①や②などの番号が振られており、各項目には一文ずつ記されていた。
「これは何かしら」
「あの裏切りの計画概要に見えるな」
礼二も紙に記されている内容を確認してみると、遠藤の言った通り裏切り事件の計画の詳細を記したものに思えた。この紙の存在により、リディ・マッケンジーが裏切りにどれだけの時間を掛けていたかが分かってきた。
「リディさん、ここまで計画していたのか……」
「神原、フラッド、棚に収納されているものを一通り確認するぞ」
遠藤に言われ、礼二とレイチェルは側面の棚に収納されているものを一通り外に出す作業を行い始める。遠藤は正面、礼二は左、レイチェルは右の棚を確認し始める。
「これは……」
礼二が見ていた棚の中には、何らかの地図と設計図が散らばっていた。
細々と見るのは面倒になったので、一通りの資料をちゃぶ台の上に置いていく。
「神原、これは何だ?」
偶然彼の行動を目にした遠藤は、ちゃぶ台の上に置かれた地図と設計図について礼二に尋ねた。
彼はバラバラと散らばった1枚1枚を見ながら口を開く。
「何かの地図と設計図みたいですね。これから詳細を確認するんですよ」
確認して見ると、修練の島全体の地図、訓練生寮の設計図や軍に関係のある施設や敷地に関する資料であることが分かった。
「これは…計画的な犯行ですね……」
修練の島全体の地図には赤ペンで丸を書かれた区域があった。印を付けられた理由について考えていると、実行する際に重要なポジションであることに気付いた。
リディさん、こんな綿密に事件の準備をしていたんだな……
「何か分かったのか?」
礼二の呟きに対し、遠藤は彼が確認した結果について問いかける。
「えぇ…これは軍に関係する施設の地図と設計図ですね。それを元に計画を練っていたように見えます。曹長とレイチェルは何か分かったんですか?」
「あぁ…こっちも分かったよ。彼が使っていた調教支配の仕様書だ」
「こっちは面白そうなものが見つかったわ。彼が書いていたと思われる手記よ」
「お、これはこれは……」
滞っていた捜査もようやく進展の兆しを見せ始めたところに礼二は喜んだ。
彼に同意するように遠藤は頬を緩めながら、持ち合わせていたバッグの中にビニールの中に入れた証拠品をバッグの中に放り込んだ。
「よし、これで証拠品の回収は終了だ。地上に戻ろう。2人が待っている」
「「了解」」
礼二とレイチェルは遠藤の後ろを付いていく。3人が部屋へ出ようとすると大きな揺れを感じた。
「何だ今の?」
異変に気付いた遠藤は声を上げた。礼二とレイチェルも同様に気付き、3人して上を見上げた。すると、少しずつ崩れているのか、ぱらぱらと天井から土が落ちてくる。
「何か起きたのかな…?」
「地上に出れば分かるでしょ」
戸惑う2人に対してレイチェルは平然としている。彼女の言う通り、地上に出なければ分からない。
地上の心配は一旦置いといて、3人は部屋を出て階段を上ることにした。
数分後、長い階段を上り終えて地上に辿り着く。下の照明が暗かったせいか、部屋に照らされている陽光をとても眩しく感じる。
ついで言えば、地下部屋の風通しが無くて蒸し暑かったせいか、この部屋の方がとても涼しいようにも感じた。まるで浴場のサウナから出たような気分に陥った。
「お、戻ってきたか」
3人の帰還を出迎えたのアイラだった。地上で何かが起きたはずなのに、彼女の陽気な振る舞いは変わらなかった。しかし、外の騒がしさ具合では大きな違いがあった。
「外が何か騒がしいようだが、何かあったのか?」
まさかとは思った遠藤はアイラに状況確認を行う。途端に彼女の表情が険しくなった。
「えぇ…帝都で爆発事故が起きたと連絡が来たわ。3人が戻ってきたら急行するように言われてる」
「そうか…」
遠藤は嫌な予感が当たって気分が悪くなっていた。顔を歪ませながら、部屋の中にいる隊員全員に告げる。
「待たせたな2人共。証拠品を拠点に置き次第、現場に向かおう」
手に入れた証拠品を失くさない様に、帝都内で起きている事故がどのような状態になっているかを不安に感じながら、特殊部隊隊員5人は調査を切り上げてリディ・マッケンジーの部屋を出て行った。




