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CODE-D  作者: ryu8
2章 現実を知る者
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2-0.プロローグ ~現実を知る者~

遅くなってしまいましたが、第2章開幕です。

もし、続きが気になっていた方が居たら申し訳ないです。


 2003年某月。

 アメリカ・ニューヨーク某所の大型ショッピングモール。

 ここは毎日人通りが多く、親子連れから老人まで人々は今日も買い物にいそしんでいた。

 買い物のためにここへと久しぶりに訪れた一組の親子連れ。 男女の親1組に子供1人の3人家族で綺麗な金髪をした親子である。

 いつも仕事で忙しい父親が久しぶりに家族サービスとして連れて来たショッピングモールでの買い物は、家族水入らずで幸せな時間を送ることができた。

 幸せな時間を今も送っている中で、夕焼けに染まりゆく空の下で事件は起きた。


 ショッピングモール内から突然聞こえてきた大きな爆発音。それと共に敷地内に大きな揺れが発生する。

 買い物をしていた人々は音と揺れに戸惑い、地面に手をつけて体勢を整えていた。

 金髪の親子も周りと同じように、親2人は間にいる子供を守るように互いの腕を交えて、子供が転ばないように体を抑えている。

 爆発音は次第に近づいていき、揺れも大きくなっていく。周りを見渡すと、建物を支える柱が次々と爆砕していき崩れていった。

 やがて柱が全て爆砕し、支えを失った建物の屋根は、買い物をしていた人々の上に落ちてきた。


 ◇ ◇


 大型ショッピングモールの外には、大きな爆発音を聞いて駆けつけた人々でいっぱいになっていた。

 爆発音に続いて建物が崩れた瞬間、周りの人々は騒ぎ始める。

 目の前の出来事を、興味本位で携帯のカメラで撮影する者。どうにかしようと助けを呼び、瓦礫をどかそうとする者。悲惨な状況を目の当たりにして動揺する者。騒ぎは3種類に分けられた。

 爆発、または崩れた瓦礫の餌食になっているだろうと思っていた人間は多かったが、一部の人は諦めず瓦礫の前に詰め寄った。

 野次馬をしている暇があれば、生きている人を探そうとはしないのか?

 瓦礫の元に駆け寄った男の1人は思う。

 助けようとして助けられなかった時の保険だろう。周囲でじっとしている人たちの行動をそう捉え、彼と数名の大人たちは瓦礫の山を少しずつ慎重に崩していった。

 すると、瓦礫の中から一筋の青白い光が差し込まれた。

「な、なんだよ…あれ……」

 唐突な出来事に驚きを隠せない野次馬たちは一斉に身構え、数メートルほど距離を取った。

 次第に光を中心にして瓦礫は崩れていき、1つ1つ自然に離れていく。

 上に乗せられていた瓦礫は全て除かれ、光源があらわになった。

 見えたのは金髪の小さな少年が2人の男女を守っている様に手を空に掲げている姿。

 「おお!」と周囲から歓声が一瞬沸き、声の勢いは時間が経つにつれて不穏な感じになっていた。

 少年は自分の上にある瓦礫が無くなったのを確認すると、力が抜けたようにうな垂れる。

「おい君! 大丈夫か!」

 彼の目の前にいた男性は心配そうに駆け寄った。

 少年の目は虚ろとしていて、着ていた半袖のTシャツも瓦礫の粉塵で汚れ、汗で湿っているようだ。

「僕は何をしていたんだろう……」

 少年の口から薄らと呟きが漏れた。

 先ほどまでの記憶を全く何も覚えていない様子だった。

「君は酷い夢を見たんだ。だから後は大人に任せなさい」


 優しく微笑む大人の男性は、瓦礫の山の中から少年を救い出す。

「おい、誰か救急車を呼んでくれ!」

 彼は周りの人に対して呼びかけるも、誰も答えない。

「おい、どうした!? この子を助けないのか!?」

 周りに叫ぶも誰も答えようとはしない。

 彼に抱きかかえられた少年は薄らと目を開け、周囲の人間がどんな目を向けているのかが見えた。

 恐れと畏怖を抱いた目。これを知った時、少年は皆から恐れられているのだと悟った。

「ジェイク…今すぐこの化け物から離れろ!」

 1人の男が、少年を抱きかかえた男性に言った。

「どういうことだ!? この子が化け物だと?」

「お前だって見ただろ! こいつは得体の知れない力を使いやがった。助ける必要は無い!」

 ジェイクと呼ばれた男性が抱きかかえる少年に指を刺しながら男性が言う。

 他の人が言う得体の知れない力とは、あの青白い光のことだろうか。

 例えこの子がそんな力を使うにしても、傷だらけでボロボロな状態を見過ごしておくわけにはいかない。

 なぜ彼らはこんなにも恐れているのだろうか。

「得体の知れない力だぁ? 今目の前にいるこの子は人間で死にかけていただろうが! もういい、俺が助ける!」

 無茶苦茶な理論をかざされたジェイクは苛立つように否定し、携帯電話に手を掛けた。

 電話を掛けて数分後、救急車が到着して隊員が状況を把握しようと周りの人に声をかける。

 ジェイクは状況をざっくりと説明し、負傷した子供と近くにいた男女2人を隊員に託した。


 ◇ ◇


 1週間後、事故に遭った少年と男女2人は病院から退院して自宅に戻った。

 不幸な事故から生還し、奇跡的な社会復帰を果たす家族。周囲から賞賛を浴びるかと思っていたが、現実は違っていた。


 病院から退院して2週間が経過。

 社会復帰を遂げた家族は、いつも通り朝起きて会社や学校に行ったりなどの普通の生活を送っていた。

 少年は母親が作る朝食を食べ、学校に向かおうと玄関に手を掛けた。

「痛っ!?」

 玄関を開けた途端、ズキッと何か尖ったものが当たったような痛みを感じる。

 痛みを感じた部位を手で触れてみると、微かに傷が出来ていることに気付いた。

 少年は、なんだろうと思いながら傷口に触れた手を見るように視線を下に向けた。

「……」

 手についていたのは血。そして、それより下にあったのは小さく尖った灰色の小石だ。

 なぜ小石が飛んできたのか?

 少年は疑問に思いながら顔を前に向けると―――

「化け物は外に出てくんじゃねーよ!」

「死ねよ!」

 自分と年が同じくらいの子供たちが、心無き容赦の無い言葉を飛ばしていた。言葉と同時に小石も次々に飛んでくる。

 その様を見ている大人たちは見て見ぬ振りをして、非情な子供たちの行動を無かったことにしている。

 少年は驚き、少し放心状態に陥っていた。

 なぜ僕はこんな目にあっているのだろう……

 理由も何も知らない少年からすればどういうことなのか、全く分からなかった。


 ぼーっと突っ立っている少年を見かけた母親は、彼を家の中に勢いよく引き入れ、玄関の扉を閉じた。

 何が起きているのだろうか……

 なぜ僕は無理矢理家に戻されたのだろうか。

 そう考えている内に、耳元から母親のすすり泣くような声が聞こえてくる。

「母さん、どうしたの?」

「何でもないわ……」

 心配に思った少年は母親を気遣うも、彼女は何も答えようとはしない。

 本当に訳が分からなかった。

 なぜ僕はこんな目にあって、母はこんなにも悲しんでいるのだろう。

 少年は1人、得体の知れない現実というものに恐れを抱き始めた。


 その日を境に、毎日周囲の住民からパッシングを大きく受けた。

 あんな地獄から生還したのに、なぜこんなにも存在を否定されてしまうのか。

 非情な現実に少年は悲観する。

 僕が何をしたって言うんだ……

 少年は、本当に自分に何らかの問題があるのか、と原因を考え始めると、大体言われている言葉に共通点があることに気付いた。


 お前は化け物だ。そんな力を持って私達のことを見下している。


 力ってなんだろう。

 周りから放たれる言葉の内容から考えられることは、少年の持っている力に原因があるらしい。

 最初聞いた時は何のことか良く分からなかったのだが、1つだけ見に覚えはある。

 地獄から生還する時に使ったあの青白い力。

 生還する瞬間を見ていた人たちが口コミで人から人へと情報を伝えていき、周囲の住民には一通り伝わっているようだ。

 こんな力があるから僕は普通に生きることもできない……

 ようやく手に入れたと思われる普通の生活。皮肉にも生還した時に使った力が原因で、普通に生きることができないジレンマ。

 その(さま)に少年は嫌気が差した。周りの人たちに罵られる日々に苛立つ少年は決意する。

 非力な人間どもに復讐することを。

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