【8】最強捜査官、チャーリーの女子力を戦略認定する〜理由はヘアアドバイス〜
ある日のお昼前。
チャールズはエレノアのオフィスに、直接データを届けた。
なぜなら、PCで送るには危うい機密データだったからだ。
だが、エレノアはというと――
鏡を前にして、ヘアアクセサリーをズラッとデスクに並べていた。
チャールズが軽く訊く。
「どうしたの?」
エレノアは困ったように答えた。
「実は……15時からの記者会見、かなり荒れそうなんです。 髪型一つでも、印象が変わるので」
その瞬間――
チャールズがバサバサの睫毛で、パチンとウィンクした。
そして、楽しそうに話し出す。
「じゃあさ〜! エレノアっていつも巻き髪だから、サイドだけ後ろで纏めるのはどうかな? ほんの少し耳を見せて! 柔らかい印象の方がイケるかもよ♪」
それは、物凄く軽い気持ちのアドバイス。
だが、エレノアはヘーゼルグリーンの瞳をキラキラと輝かせ、感動した面持ちで答えた。
「ありがとうございます! チャーリー!」
そして、エレノアの記者会見が無事に終わった。
チャールズも自分のオフィスで仕事に勤しんでいると、ノックの音と共に入って来た存在が、低く告げた。
「……ハーパー……」
そう、イーサンだ。
チャーリーは条件反射のように、椅子の上からピョンと跳ねて言った。
「ハイッ!」
イーサンはアイスブルーの瞳でチャーリーを真っ直ぐに見て、静かに話し出す。
「エレノアに、記者会見についてアドバイスしてくれたんだって? 俺からも礼を言うよ」
チャーリーは即座に笑顔で答える。
「いえいえ! とんでもないです!」
だが、チャーリーの心の中は、今日も悲鳴を上げていた。
(エレノアーーー!! お礼はまず俺にして! チーフに報告しないで!)
イーサンはじっとチャールズを見つめたまま、瞬きすらせず、静かに宣告する。
「君は……色々と才能があるな。 潜入捜査の訓練を受けてみないか?」
チャールズの心が、絶望の悲鳴に包まれる。
(だからーーー!! 俺はテクニカルアナリストですッ!! この俺のオフィスの、空調の効いた部屋から何なら一歩も出たくないし、パソコンが親友なんです!!)
イーサンは一言、「頑張れ」と言い残し、スッと消え去った。
チャールズは頭を抱えそうになる。
(頑張れ……!? 頑張れって、今の仕事ですよね!? まさか、潜入捜査の訓練を勝手に決めたんじゃないですよね!? チーフ!!
……もう……カワウソの赤ちゃん動画で良いから観よう……)
そして、キーボードを叩くチャールズ。
チャールズは分かっていない。
チャールズの中では「ただのヘアアドバイス」であっても、イーサンの中では「印象操作と対人戦略に長けている」となることを――
〜fin〜
こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)
次回も読んで下さると嬉しいです!
毎日17時更新☆
Xはこちら→ https://x.com/himari61290
自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪
「【完結】最強捜査官イーサン
――完全犯罪を暴く行動分析チーム《オラクル》」はこちらから→ https://ncode.syosetu.com/n9827me/




