【32】番外編:イーサン過去物語 「ここはロケットランチャーOKですか?」〜新人捜査官の確認が怖すぎる〜
S.A.G.E.に転職した新人捜査官、イーサン・クロフォードは日々、判断する。
必要な装備か
使用権限はあるか
標的に対して有効か
被害を最小化できるか
その確認を。
そして、真顔で、低音で、静かに上司に訊くのだ。
「捜査官。ここはロケットランチャーOKですか?」
その瞬間――
上司の心臓が止まりかける。
そして、声なき声を心の中で叫ぶのだ。
(止めて止めて止めて!! 権限はある!! あるにはある!!
でも、まずね、ここは軍じゃない!! 警察機関!!
ロケットランチャーを撃ったら、その後が地獄!!
報告書!! 聴取!! 説明責任!! 市民への発表!! 保険!! 議会!! メディア!!
全部来る!!)
だが、イーサン本人は報告書300枚でも普通に書けてしまうので、返答は――
「必要なら書きます」
一択。
上司は、またも心の中で絶叫する。
(君は書けるだろうね!! でも、僕は人類側!! しかも三人の子持ち!!
今夜は家族と夕食なんだよ!!)
だから、上司は必死になるしかない。
「クロフォード、まずは通常火器で行こう」
「もっと穏やかな選択肢がある」
「ロケットランチャーは最終手段だ」
そして、イーサンは静かに答える。
「成る程。最終手段として保持します」
上司の心の中で、絶叫が止まらない。
(保持しないで!! その言い方だと、まだ候補に残ってる!!)
新人捜査官イーサンは、軍の合理性をそのままS.A.G.E.に持ち込む。
だから上司が毎回、「権限はある。でも撃たないでほしい」という人類側のお願いをする羽目になるのだ。
そして、その話を聞いたチャールズもまた――
(S.A.G.E.でロケットランチャー!? 怖すぎますよ、チーフ!!
でも、チーフなら普通に撃てそうだし、チーフの想定する敵に命中させて、被害は最小限だろうなー……)
そこで、ハッと閃くチャールズ。
(備えあれば憂いなし……!! チーフはこの精神で動いてるんだ……!!
なーるなる❤️
つ・ま・り!
やっぱりチーフ専用の隠し部屋は、存在するんですよね! チーフ!
分かりますよ〜!
チーフは捜査が邪魔されるくらいなら、隠し部屋から指示を出す! チーフにはそれくらい朝飯前!
もう、最強捜査官イーサン・クロフォードに向かってくる美女たちを避けながら、捜査を続けているんですよネ❤️
これぞ最強ゆえのロマン……❤️
そして、チーフは合理の男!!
これは……ただの部屋じゃないかもしれない! 排気口にも、何なら非常用通路の影にも存在するかもしれない!
……待てよ?
新人捜査官の権限で入れる場所に作った筈だ! 当時のチーフは新人!
よーし! 待っててくださいよ、チーフ!!
チーフのプライベートのアレヤコレヤは、俺が守りますから❤️)
そして、チャールズは無意識に歌っていた。
「一人の同じ男として〜♪」
そうして、その一人の男は人類側で、イーサンは人類の向こう側にいることを簡単に忘れてしまう、残念イケメンの恋愛脳がフル回転するのだった。
S.A.G.E.どころか、地球のどこにもない部屋を探すために――
〜fin〜
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