【33】「ここがチーフの隠し部屋よ」思っていた隠し部屋と違います。〜恐怖のチーフ専門の部屋へ〜
イーサンの過去を知り、地球のどこにも存在しないイーサン専用の『隠し部屋』が気になって仕方ない、残念イケメンのチャールズ。
今日も今日とて、恋愛脳はスパークし、『隠し部屋』を仕事外で検索しまくっていた。
しかし、いくら掘れども『権限がありません』になってしまう現実に限界が来たチャールズは、『隠し部屋』の存在をそっとベックに聞いた。
だが、ベックから返ってきた答えは、その頃ベックはセレニス・ベイ署の刑事だったということだけ。
だが、心やさしい意識高い系の巨人は、ハイブランドのハンドクリームを塗りながら言ってくれた。
「カリスタに聞いてみたらどうだ?」
チャールズは「ありがとう! ベック!」とお礼を言うと、ウキウキとカリスタの元に向かう。
そして、「今夜、一緒に食事に行かない?」と軽くチャールズがカリスタを誘うと――
カリスタはにっこり微笑んで言った。
「まあ、ありがとう、チャーリー。 もちろん行くわ」
そうして、終業後、レストランにて――
「好きなもの、何でもオーダーしなよ!」
とニッコニコのチャールズに、カリスタはさらりと言う。
「じゃあ、この季節に食べられるものがいいわね。 白トリュフを」
チャールズが心の中で叫ぶ。
(待って待って待って! 俺のカードが一大事!
そんなにサラッと『白トリュフを』って言わないで!!)
だが、何とか気を取り直して、チャールズはカリスタに訊いた。
「カリスタ、君ってチーフの右腕じゃん? チーフ専用の隠し部屋のこと、もちろん知ってるよね?」
カリスタが美しく微笑んで頷く。
「……隠し部屋? ええ、知ってるわ」
チャールズが心の中で雄叫びを上げる。
(やったーーー!! やっぱり隠し部屋はあったんだ……!!
俺って有能過ぎる〜!! チーフ! お待たせしました〜!!)
そして、チャールズは嬉しさを隠そうともせずに言った。
「明日、案内してくれない!?」
カリスタが残念そうに答える。
「ごめんなさい。 明日は大学で講義があるの。
代わりにヴィヴィアンに案内してもらえるように、頼んでおくわ」
チャールズが顔を真っ赤にして、笑顔で言う。
「ありがとう! カリスタ!」
翌日の終業後。
チャールズのオフィスに、ヴィヴィアンがやって来た。
「話はカリスタに聴いてるわ! チーフの隠し部屋に案内するから!」
チャールズは昨夜のように、またも心の中で雄叫びを上げる。
(やったー!! チーフ!
隠し部屋さえ分かれば、後は俺にお任せを❤️ そして、ご存分に❤️)
だが――
ヴィヴィアンに連れて行かれたのは、地下5階の尋問室。
チャールズが不満そうな声を出す。
「隠し部屋だよ! ヴィヴィアン!! ここ、尋問室じゃん!!」
ヴィヴィアンはニッコリ笑って答える。
「そうよ。 ここがチーフ専用の尋問室。
チーフに“普通に”尋問されて、答えない凶悪犯……そうね……連続殺人犯やテロリスト、それに政治犯、その他諸々の犯罪者が連れて来られるの!
入ってみて!」
チャールズの心が、今度は悲鳴を上げる。
(ヤダヤダヤダ!! 俺はチーフの禁断の恋愛の隠し部屋を探してるの!! 尋問室じゃない!!
……って、ヴィヴィアン!! 腕を引っ張らないでよーーー!!
そんなに細いのに、腕力がゴリラだよ……!!)
そして、強引に連れ込まれた尋問室には――
床に固定された椅子が一個だけしかなく、なぜか椅子の下に排水溝があった。
チャールズがパニックで声を震わす。
「デ、デスクは!? あと、なんで椅子が一個しかないの!?
……なんで排水溝があるの!?」
ヴィヴィアンがキョトンとして言った。
「何でって……チーフは尋問中ずっと立ってるし、資料は頭の中には入ってるし、デスクは邪魔でしょ?
それに、チーフの尋問に排水溝が無いと不便じゃない?」
チャールズが心の中で絶叫する。
(待って待って待って! 尋問中にずっと立ってるチーフは、まだ理解できるよ! 俺でもね!!
でもね!! デスクが邪魔って、なにするの!? 排水溝が無いと不便な尋問ってなに!?)
そこに、スッと音もなく現れるイーサン。
イーサンは静かに言った。
「わざわざ尋問室を見学するとは……。
ハーパーは、やはり捜査官になりたいんだな? 研修を手配しよう」
チャールズ、またも心の中で絶叫する。
(違います!! 俺はチーフの禁断の恋愛を見守りたいんです!
テクニカルアナリストでいたいんですよ、チーフ!!
それと、この排水溝をわざわざ作った理由を教えて下さい!!)
だが、そんなことを口にすることも出来ず――
チャールズは必死に言葉を紡ぐ。
「いえ……俺はテクニカルアナリストの仕事が大好きなので!!
……それより、何で尋問室に排水溝があるのかな? なーんて♪」
イーサンが一言、低く答える。
「必要だから作った」
チャールズは心の中で叫びながら、決意を強固にする。
(その必要性を聞いてるんです!!
もう、尋問室の排水溝はどうでもいいッ!! 自力で隠し部屋を探して当ててやる……!!)
そうして、今日も『自称、情報の海を泳ぐマーメイド』は、必死にイーサン専用の『隠し部屋』を探すが――
そんな部屋は、銀河系のどこにも無い。
〜fin〜
こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)
これにて『もしものチャーリー』完結です!
最後まで読んで下さって本当にありがとうございます!!m(_ _)m
どなたかの笑いの琴線に触れることが出来たら、幸いです。
気軽に感想など頂けると嬉しいです☆
またチャーリーが帰って来たら、読んでみて下さいね♪
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