【3】軍用トラック初体験。〜荷台でチーフは気づき、チャーリーは絶望する〜
ある日の早朝――
イーサンがノックの音とともにチャールズのオフィスに入って来た。
「おはようございます!」と笑顔で応えるチャールズに、イーサンは一言言った。
「行くぞ」
そして、S.A.G.E.の地下駐車場に何故か停められていた軍用トラックの荷台に、乗り込むイーサン。
チャールズも慌てて、ノートパソコンが入った鞄を抱えて乗り込む。
チャールズが初めて乗った軍用のトラックの荷台には、驚く程、何も無い。
ただ、固い椅子が両サイドにあるだけだ。
だが、そんなチャールズの驚きを遥かに凌ぐ光景が、そこにはあった。
それは、揺れる軍用トラックの荷台でも、微動だにせず、座っているイーサンだ。
イーサンが静かに言った。
「到着まで残り22分あるな。
ハーパー、パソコンを開け。
調べて欲しいことがある」
チャールズは真っ青になって、心の中で叫ぶ。
(待って!待って!待って!チーフ!
今、俺は心を整えてるんです!!
何処に行くのかも知らない、初めて乗った軍用のトラックの、しかも荷台でね!!
もしかしてスポッター評価とか入ってるかもしれませんけど!
この前は俺がスポッターとして有能じゃなくて、チーフがスナイパーとして優秀なんです!!って……指示が飛んで来るーーー!!)
イーサンはそんなチャールズに目をやり告げる。
「現場では環境を選べない」
チャールズは再び心の中で叫ぶ。
(名言っぽく言わないでください!!
俺はテクニカルアナリストなんです!!
軍用トラックの荷台で検索する職種じゃないんです!!)
そして、トラックが走り続ける中、イーサンが言った。
「ハーパー……後は銃さえ撃てれば何でもできるな?」
それは、チームリーダーとしての、気づき。
しかし、チャールズにとっては、心底いらない気づきだった。
(だからーー!!
俺は自分のオフィスで仕事がしたいんです!!
パソコンに囲まれて、椅子に座って、空調の効いた部屋で!!
たまに、パンダとキリンとカバなんかの赤ちゃん動画とか心を癒して!!
それで良いんです!!
出世もテクニカルアナリスト方面だけでお願いします!!
銃はベックに!!
現場はヴィヴィアンに!!
交渉はエレノアに!!
優雅な無茶振りはカリスタに!!
俺はパソコン!!)
揺れる軍用トラックの荷台、チャールズの心の悲鳴は――
目の前のイーサンにすら、届かない。
〜fin〜
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