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【完結】もしものチャーリー 〜最強捜査官の隣で、今日も俺だけ人類側です〜  作者: 久茉莉himari


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28/33

【28】悪夢の中で最強捜査官の椅子に座った男、モノマネに逃げる。〜部下になってもチーフはチーフでした〜

ピクニックと言う名の行軍で、疲れ果てたチャールズにやって来る悪夢。


チャールズがデスクから顔を上げると、開け放たれたドアをノックするベックがいた――


ベックが、いつもの調子で勢い良く言う。


「よう! チャーリー! 今、いいか?」


チャールズもいつもの調子で「なに?」と言って気づく。


(って、待って! 待って! 待って!

ここ、俺のオフィスじゃない!!


このシンプルで無駄のなさ過ぎるオフィス……!!

チーフのオフィスだ!


嘘! 嘘! 嘘!

俺、チーフのデスクについてる!!)


ベックがチャールズのデスクの前に、ドカッと座って言った。


「このプロファイルなんだかな……。


プロファイルでは、コイツが犯人で間違いはない!

だが、証拠は目撃者。

しかも、たった一人だ!


起訴に持ち込めるか?」


チャールズが心の中で叫ぶ。


(だからーーー!!

待ってよ、ベック!

俺はチャーリー!

チーフじゃないの!


そして!

俺はテクニカルアナリスト!!


プロファイルの訓練も受けてないし、起訴に持ち込めるなんて、そんなこととは無縁に生きて来てたんだ!

知らないよ!!)


その時、再びノックの音が――


「失礼」


その低音ボイスを聞いて、希望を見出すチャールズ。


(やったー!!

チーフが戻ってきたー!!

さては! これはベックのジョークだな!?)


ところが、イーサンはスタスタとチャールズの前に来ると、ピタッと止まり、立ったまま淡々と話し出す。


「ベックからも話があったかと思いますが、是非、チーフの判断を仰ぎたいと思いまして。


この容疑者は確かにプロファイル通り。

犯人で、確定でしょう。

目撃者もいる。


だが、これだけでは起訴には持ち込めない可能性が高い。


そこで――


チーフは、我々が次にどう動くべきだとお考えですか?」


チャールズは心の中で絶叫。


(ギャーー!!

チーフに俺が指示するの!?

プロファイルも知らない俺が!?


……あ!

パソコン……パソコンはあるッ!!)


チャールズは何とか口を開いた。


「わ……分かりました!

少々お待ちを!……」


無邪気な巨人ベックは、感心した面持ちで言った。


「流石、チャーリーだな!」


イーサンは立ったまま、低音ボイスで一言。


「ああ」


とだけ。


チャールズは心の中で叫び続ける。


(もー、チーフ!

俺の部下になったなら、座って下さいよ!!

圧が凄くて検索が出来ない!!


……あ!

これかな?


よっしゃー!!

パソコンで掘るぞ!!


……え!?

掘れない!?

進めない!!

どうして!?


『権限がありません』!?

なんで!?


ギャーー!!

そうか!

俺は今、テクニカルアナリストじゃない!

権限が変わってる……!


どうすればいいのーーー!?)


その瞬間――


イーサンのアイスブルーの瞳がギラリと光った。


そして、鋭い声が響く。


「チーフ、何か?」


チャールズは、頭を抱えたいのを必死で堪える。


(俺はね!!

事件の概要もまだ理解してないんですよ!!

チーフ!!


チーフは部下になっても「何か?」って言うんですネ……!!


って……そこじゃない!!

この「何か?」に答えないと……!!)


その時、ベックがスマホを見て言った。


「お!

カリスタが何か掴んだらしい!

俺は現場に行く!

イーサンはどうする!?」


チャールズはベックに、心から感謝する。


(……ベック……!!

ありがとう……ベック!!)


ところが――


イーサンが静かに言った。


「俺はチーフの意見を聞いてから向かう」


現場一筋のやさしい巨人は、アッサリ立ち上がる。


「おう!

じゃあまた後で!」


イーサンが、チャールズを見たまま一言答える。


「では、後ほど」


ベックが消えたチーフ・チャールズのオフィスに、静寂が落ちる。


その刹那――


チャールズは閃いた。


そう、イーサンのモノマネだ。


チャールズは心の中でホッとして呟く。


(俺ってモノマネは得意なんですよ!

チーフ♪)


そして一拍置くと、チャールズは言った。


「クロフォード、この案件は深く考える必要があると思わないか?」


イーサンが小さく頷く。


「確かに」


チャールズはモノマネが通じた嬉しさを隠しながら、またイーサンになり切って答える。


「では、少しだけ時間をくれ」


チャールズが心の中で、歓喜の雄叫びを上げる。


(決まったーーー!!

これでチーフは現場に……っと♪)


だが、イーサンは部下になっても、イーサンだった。


「チーフなら5分も掛からないでしょう。

このまま待ちます」


チャールズが心の中で絶叫する。


(終わった……。

俺は終わったよ!!

みんなー!!)




チャールズが目覚めると――


まだピクニック中。


ベックがビールとフライドチキンを両手に持ち、チャールズの顔を覗き込むと、ワハハと笑う。


「良く寝てたな!

分かるぞ!

空気が違うもんな!」


チャールズはベックをキッと睨むと、心の中で思わず毒づいた。


(……俺は違った空気を味わったけどね……!!)


カリスタは、優雅に読書中だ。


ダージリンティーの香りが、芳しく漂っている。


ヴィヴィアンは、散歩しながら撮影に夢中。


そして、イーサンは――


双眼鏡で周囲を監視中だった。


チャールズは、そんなみんなとイーサンを見ながら、安堵の息を吐いた。


(チーフがチーフだ……!!

俺は、テクニカルアナリストのチャーリーに戻れたんだ……!!


ベック!

いっぱい食べて飲んで!


カリスタ、好きなだけ読書しなよ!

紅茶淹れようか!?


ヴィヴィアン!

君は止まると死んじゃうサメなの!?

でも、ヴィヴィアンらしいね!

素敵だよ!)


ニヤニヤしながら周囲を見回しているチャールズを、イーサンが横目で見ていることに、チャールズは気づかない。



〜fin〜

こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

次回も読んで下さると嬉しいです!


毎日17時更新☆


Xはこちら→ https://x.com/himari61290


自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪


「【完結】最強捜査官イーサン

――完全犯罪を暴く行動分析チーム《オラクル》」はこちらから→ https://ncode.syosetu.com/n9827me/

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