【24】全員リゾート服なのに、チーフだけ銃とスーツです。〜しかもディナーはまた水です〜
そして、夕食前に――
ヴィヴィアンが、パチンと音のするようなウィンクをして言った。
「カリスタとドレスアップしちゃうから、驚かないでよ〜♪」
サプライズを匂わせたい元FBIに、チャールズが嬉しい喜びの声を出す。
「え!? そうなの!?」
カリスタも、にっこり微笑んで言う。
「ええ。チームワーク研修よ? お洒落して、みんなで楽しみましょう」
ベックもワハハと笑って言った。
「実は俺、ビンテージのアロハシャツ持って来たんだよ!」
チャールズもウッキウキで答える。
「そうなんだ! 俺もお洒落するぞー♪」
そして、屋外のレストランへ――
ヴィヴィアンは、ホルターネックのミニスカートワンピースドレスで登場。
カリスタは、リゾート風シフォンの横スリットドレスで登場。
ベックは、ビンテージのアロハシャツに、中折れストローハット、チノパンで登場。
チャーリーは、白地にグリーンの草花や鳥が刺繍された軽いシャツに、少しショートの紺色のチノパンで登場。
チャールズが感動した声を上げる。
「カリスタ! ヴィヴィアン! 二人とも綺麗だよー!! ベックもお洒落だなー!! 今度、アロハシャツのショップ教えて❤️」
心から楽しんでいるチャールズに、無邪気な巨人ベックはワハハと笑って言った。
「お前の方がお洒落だぞ! 流石チャーリー!」
カリスタも嬉しそうに微笑む。
「まあ、どうもありがとう。 それに、チャーリーのシャツ、本当に素敵だわ! 〇〇の新作ね? とても似合ってるわ」
ヴィヴィアンも満面の笑みで言う。
「ありがとう、チャーリー!(ウインク!) でも、チャーリーって本当にお洒落ね! そのパンツのね、絶妙な長さ! 今年の流行よね!?」
チャールズは照れながらも、嬉しそうだ。
「そんなことないよ〜❤️❤️❤️」
(あー、楽しいな! 今夜は屋外レストランで、イタリアンのフルコースだし❤️ みんなにワインの差し入れしちゃおうかな❤️)
そんなことをチャールズが思っていると、「失礼」という低音ボイスと共に、イーサンが現れた。
いつもと変わらない、濃紺のスーツ。
しかも、銃まで携帯しているイーサンの登場だ。
ベックがニッコニコで片手を上げる。
「よう! 待ちかねたぞ! イーサン!」
カリスタも、美しく微笑みながら言う。
「乾杯はチーフの合図よ?」
ヴィヴィアンは指でウェイターに合図しながら言った。
「そうね! まずはシャンパンね!」
チャールズはひとり、混乱していた。
(何で!? 何で!? 何で!? みんな、どうしたの!? チーフ、仕事着だよ!? バカンス仕様の中で、一人でスーツ着てます!! しかも、銃を持ってるの!! どうして驚かないの!?)
思わずイーサンを凝視してしまうチャールズに、イーサンが短く問う。
「何だ?」
チャールズがおずおずと答える。
「……いえ……あの……チーフはスーツなんです……ね?」
思わず疑問形になるチャールズ。
イーサンは静かに言った。
「ああ。それが?」
チャールズは、頭を抱えそうになるのを必死で我慢する。
(それが? って言った……!! それが? って!!
つまり、チーフはどんな時もスーツなの!? 銃は必ず持ってるの!? サーフィンではウェットスーツ着てたじゃないですか!! チーフ!!)
そして、乾杯へ――
イーサンが静かに宣言する。
「チームオラクルに乾杯」
ベック、カリスタ、ヴィヴィアン、チャールズが一斉に「乾杯〜!」と言い、全員でシャンパンフルートを軽く重ねると、口元に運ぶ。
そっと、シャンパンフルートをテーブルに置くイーサン。
不幸にも隣の席なので、嫌でも目に入ってしまうチャールズ。
(あれ? チーフ……確かにシャンパンに口を付けたけど……飲んでない……!! 減ってないし、ゴクンもしてないよ……!!)
しかも、細かいことに気付いてしまうお洒落男子、チャールズ。
そして、イーサンは静かにウェイターを呼ぶと、小さく言った。
「ミネラルウォーターを」
その言葉を聞いて、チャールズは即座に心の中で叫んでしまった。
(嘘! 嘘! 嘘! チーフ! これから! これからね!! イタリアンのフルコース食べるんですよね!!
なのに……また水!? ちょっとくらいお酒を飲んでも、チーフなら銃で倒せますよね!? 来るか来ないか分からない敵を!! なのに水……!?)
またもや思わずイーサンを凝視してしまうチャールズに、イーサンが短く問う。
「何だ?」
「……いえ……あの……これからイタリアン食べるんですよ……ね?」
そして、またもや思わず疑問形になるチャールズ。
イーサンが静かに答える。
「いや。特には」
チャールズが心の中で絶叫する。
(だ・か・ら!! じゃあ、なぜここにいるのかって話になっちゃいますよ! チーフ!!
シャンパンも飲まない! コース料理も食べないなら、『乾杯』だけを言いに来たんですか!? それも任務だから!? もうYESかNOで答えて下さいよ!! チーフ!!)
イーサンの考えは――
チームワーク研修の夕食。
リーダーとして同席する。
乾杯の音頭を取る。
部下たちが食事を楽しむのを確認する。
自分は任務に支障が出ないよう、飲食は最小限。
以上。
そして、不幸にもイーサンの隣の席になった人類側のチャールズは、その夜、悪夢を見ることが決定したのだった――
〜fin〜
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