【16】意識高い系の巨人のシートマスクで、尋問されてます。〜「両手を上げろ」と言われた件について〜
ある日の残業終わりの夜11時。
ベックがすっくと立ち上がると、言った。
「よし! 片付いたな! 帰りになんか食ってくか!?」
流石、元軍人。
残業くらい全く問題ない。
一方、チャーリーは「目がしょぼしょぼする〜!」と言いつつ、お洒落ゆえ気づいてしまう。
「……ん? ベックってクマとか出来ないよね? お肌もベイビースキンだし! 何かしてるの?」
ベックはワハハと笑って答える。
「まあ! やってるな! 俺はお前と違って、おでこと頭が直結してるから!」
そんなジョークを余裕で返すベックに、カリスタが微笑む。
「ベックって、ハイブランドのクリーム使ってるのよ❤️ 私もクリスマスプレゼントに貰ったわ」
ヴィヴィアンもウンウンと頷いている。
「ちゃんと日焼け止めも塗ってるしね!」
すると、チャーリーが「へぇー! いいな♪ いいな♪」と言い出した。
ベックはアッサリと、チャールズに個包装の袋を渡した。
「じゃあ、これやるよ! お前のクマも一瞬で消えるぞ! 顔を洗わなくてもいいシートマスク!」
飛び上がって喜ぶチャールズ。
「やったー! じゃあ、これしてからごはん行こうよ! 10分後に駐車場ね♪」
全員が「オッケー!」と答える。
チャールズはるんるん気分で自分のオフィスに戻ると、ベックから貰ったシートマスクを顔に貼り付けた。
(あー……気持ち良い〜! 疲れがシートマスクに染み込む〜! この香りはサンダルウッドかなあ……。 今夜は夜中でも、お腹いっぱいごはん食べちゃおう❤️)
チャールズがそんな幸せな気分に浸っていると――
オフィスに響く鋭い声。
「……両手を上げろ……!」
もちろん、イーサンだ。
チャールズが慌てて答える。
「え!? 俺です!! 俺です!! ハーパーです!!」
イーサンが厳しい声で返す。
「……ハーパー……? 何をしている? そのマスクは何だ? なぜ、防犯カメラを避けるような真似をする?」
チャールズの脳が一瞬でフル回転する。
(待って! 待って! 待って! これ、美容液たっぷりのシートマスクです!! チーフは何も手入れしてなくても超イケメンかもしれませんけど、人類の男、みんながみんなそうじゃないんです!! あのベックでさえ、高級クリームにシートマスクしてるんですよ!!)
そして、即答するチャールズ。
「ベックから貰ったシートマスクです!」
イーサンの厳しい声音は変わらない。
「ベック……? 詳しく聞かせて貰おう。 俺のオフィスへ。 それと、そのマスクは証拠品だ。 証拠品袋に入れるように」
チャールズは心の中で悲鳴を上げる。
(嘘! 嘘! 嘘! 俺が防犯カメラを避ける為に、紙状のマスクをしてるテクニカルアナリストになっちゃった……!! しかも、チーフは絶対に、ベックに罪をなすり付けてる俺、判定してるよーーー!!
……さようなら……みんな……! さようなら……夕ごはん……!)
そして、中々来ないチャールズを探しに来たベックが、驚いたように声を上げた。
「おい!? チャーリー、お前、イーサンのオフィスで何してる? イーサン、チャーリーがどうかしたのか!?」
イーサンはスッと証拠品袋を差し出すと、ベックに告げた。
「これを。 お前がやった物か?」
ベックは証拠品袋に目をやると、話し出す。
「……ん? これはシートマスクか? あー! さっきやったんだよ! これがどうした!? これ、肌の乾燥に良いんだよ!」
まずは紫外線と肌の乾燥が一番肌を傷つけると知っている、意識高い系の巨人の答え。
イーサンの視線が、チャールズに戻る。
「成る程。 だが、ハーパー……」
チャーリーが椅子からピョンと跳ねる。
「ハイッ!」
イーサンは鋭い目をして言った。
「なぜ、それを先に言わなかった?」
チャールズが、またも心の中で悲鳴を上げる。
(待って待って待って!! 先に“両手を上げろ”って言ったの、チーフですよね!?
俺はシートマスクを付けた姿で、銃口……じゃないけど圧を向けられて!! 普通に説明できる人間います!?)
だが、尋問はまだ、始まったばかりだった――
(そして、ベックは先に帰った。)
〜fin〜
こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)
次回も読んで下さると嬉しいです!
毎日17時更新☆
Xはこちら→ https://x.com/himari61290
自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪
「【完結】最強捜査官イーサン
――完全犯罪を暴く行動分析チーム《オラクル》」はこちらから→ https://ncode.syosetu.com/n9827me/




