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メリーさん家の三姉妹  作者: 玉名 くじら


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83/98

83 もっと積極的に


 そしてその後、エレナからモンブラン巡りを要求された。

 どこでもらってきたのか、この辺でモンブランを販売している店が紹介されたチラシらしい。


 「こことこことここは休みだから、それ以外は行けるわね」

 何を言っているのか分からない。


 「おっきめのクーラーボックスも持ってきてるから大丈夫よね」

 なんかトランクに積んでるなとは思ったんだよ。


 「そ、それならあちきも、行きたい神社が最低でも三つありまして」

 巡まで乗っかってきた。


 「電車で降りて、歩いてお参りして、また待ってから乗っては大変なんですよ」

 知らんがな。好きでやっているんだろう?

 アンジュと顔を見合わせてため息をついてしまった。


 まぁ、まだ時間はあるし、せっかく来たんだしな。

 要望は叶えてやろう。

 だが──


 「エレナ、さすがに全部は回れないぞ」

 少し離れたところもある。今の笠間市はおっきいからな。


 「むぅ……。分かったわ。じゃあモンブラン全部は諦めるわ。代わりに……」

 それからエレナは指折り要望を言った。プリン、シュークリーム、おだんご、おまんじゅうとキリがないので途中で止めた。


 確かに裏表にわたって店が紹介されている。

 だが、それを成し遂げられるのはエレナだけだ。

 それにこういうのは、少しずつコンプリートするからこそ楽しいのだ。巡の御朱印のようにな。


 しかし、アンジュが全く反応がないのは、先に十分に堪能したからなんだろうな。

 なんなら、食べ物に目を向けようともしない。一体どれだけ食べたんだろうか。


 「おにーさん、おにーさん」

 巡が俺の袖を引っ張った。


 「どうした?」

 「いつもこうなんですか?」

 「いつもこうだぞ」

 「あちき、ここまでとは思いませんでした」

 「だよな。俺も思う」


 結局、モンブラン巡りはせずに、何ヶ所かのケーキ屋さんでモンブランを買い、焼き栗を買い、稲荷寿司を買い、それ以外のお菓子を買った。


 そして、せっかくなので、巡が行きたいと言った神社へ向かう。

 そこから西へ向かった。


 そこの神社は階段がすごかった。

 流石に危ないからアンジュは抱っこして登った。

 階段のところから眺めると結構高い。エレナは登りきるなり荒い息を吐いていたが巡はピンピンしている。

 そして、降りた先の民家で御朱印を書いてもらう巡。


 その次の神社も駐車場から坂、階段と登る。結構いい運動になるのではないだろうか。

 大きなしめ縄が壮観だった。

 アンジュが飛び跳ねて、しめ縄にお金を入れようとしているが、あれは俺でも無理だなぁ。


 巡が御朱印を書いてもらう間に展示物を見て回った。

 「これ、昔どっかで似たようなの見たことあるのよね。どこだったかしら」

 エレナも小さい時は色々転移していたからな。いろんなところを見ているのだろう。

 ただ、アンジュにはなるべく忘れないでほしいなと思ってしまった。


 今日最後の神社では、留守にしていたらしく、巡がキャラに似合わない丁寧な電話をしていた。

 しばらくすると、社務所に来てくれたので、三枚もお願いしていた。

 ここは春に来ると桜が綺麗なんだろうな。

 たくさんの桜の木が植えられている。

 ……来年は花見の計画をしないといけないな。


 しかし、こうして見ると、御朱印も結構いろいろあるなと思った。

 俺ももらったし、とても参考になる。


 ただ、なぜか神社を出る時に、アンジュは毎回後ろを向いて、大きく手を振っていた。

 そしてエレナも何かあったようだ。


 「なぜかわたしがお祈りすると、『がんばれ』とか『もっと積極的に』とか言われるのよね」

 「へー」

 「あ、信じてないでしょ」

 「いや、信じるよ」

 「ホントにぃ?」

 俺も『この鈍感!』『なんで気づかないの!?』『あの子かわいそう……』『お前いい加減にしろよ』って幻聴が聞こえたからな。

 きっと近くで誰かがそんな話をしていたんだろう。

 どこもそれなりに人がいたからな。


 「じゃあ、結構見て回ったし、帰るか」

 「お昼は?」

 「…………」

 階段登ったりしてお腹が空いたらしい。

 もうとっくにお昼の時間は過ぎているのだが……。


 ということで、通り道にあったセイコーマートへ寄る。

 「うちの横にこれがあったらいいのに」

 それは今まで一番悲しそうな顔をしていた。

 まぁ、セイコマのホットシェフは魅力的だもんな。


 でも、エレナは地方のコンビニ行くと毎回似たようなことを言う。

 ポプラでもおんなじこと言ってたし、なんならミニストップでも毎回似たようなことを言う。


 しかし、よくカツ丼や豚丼の大盛りをペロリと平らげるよ。

 一体どこに入るんだろうな。まさか胃袋がブラックホールだなんてことはないよな?


 最後にお菓子とアイスまで買って……。

 アンジュは喜んでいるが、巡は呆れていた。

 友達の前でよくそこまで自分をさらけ出せると感心したのだった。


 そうして、帰路についたのだが、後日、巡から「遠方へ乗せて行ってほしい」とせがむメッセージがよく届くようになるのだが、それはまた別のお話。


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