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メリーさん家の三姉妹  作者: 玉名 くじら


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52/104

52 ほんもののきゅあきゅあ


 そんなアイリさんは、もう一人の人がどこからか出した酒瓶を見て、ハイタッチした。


 「ちょ、こんなとこで飲んじゃダメですよ」

 「大丈夫よ。これは水だから。ねぇ?」

 「そうよぉ。水分補給は大事でしょ?」

 なんで初めて会ったはずなのに、こんなに意気投合しているんだ?


 というか、出したのはそっちの紫さんで、アイリさんは中身分かるはずないだろうに。

 というか、わざわざ一升瓶じゃなくても、ペットボトルでいいじゃないですかね。

 疑われたくなければね。


 「それにしても亨ちゃん似合ってるわ。普段からそういう格好したらいいのよ」

 「いや、遠慮します」

 俺だって、不本意なんだから。


 「男の霊夢もいいわね」

 そう言って舌舐めずりしながら見てくる。俺このまま連れ去られちゃうんじゃないだろうか。


 「あ、そうそう。ちゃんと役になりきるのよ? 『俺』なんて言っちゃダメよー」

 「そうそう。『わたし』って言わないとねー」

 このキャラのコスプレすると、みんなこうなんだろうか?


 アンジュがとてとてと、大勢のカメラマン達の中から出て来た。

 いけない。アンジュを守らなくては。


 アンジュを抱きかかえると、辺りから歓声が沸き起こった。

 流石のアンジュもびっくりしている。


 だが、何か見つけたのか、指をさしてせがんだ。

 「あ、あっち。ほんもののきゅあきゅあ」


 そう言うので、アンジュと一緒にそこへ向かうと、ちゃんとお年を召したレイヤーさんがいた。

 美魔女って言うんかな。ぱっと見シワはない。


 まぁ、原作でもアラサーとかアラフォーのキャラ設定だから別にいいんだけどさ。

 それに、実際美人だし。


 ただ、黄色いのは男だと思うんだよな。断定はできないけど、筋肉のつき方とかさ。

 やたらとスカート短いし、カレー持ってるし。なんで黄色はカレー担当なんだろうな。


 「ぷい! きゅあ! しゅごい! かっこいい!」

 「あらぁ、ありがとう」

 「ふふ。子供に認められるとは、鼻が高いですね」

 「初めてのお子さんですねー。みんな大人の人ばっかりだったので嬉しいですー」

 この人は子供好きなんだな。

 なんというか、雰囲気が萌歌さんに似ている。


 「そんなことより、カレー食べに行きましょう」

 「わたしもお腹すきましたね。レイチェル様も行きましょう」

 「ちょっと、ここではキュアアントシアニンでしょ、間違えないでよメアリー」

 「あ、すいません」

 すごいなぁ。本当にその作品が好きなんだな。役になりきってるし。

 変身前の名前は知らないけどさ。


 まぁ、若干二名がイベントよりご飯ってのがなんとも。

 その後、アンジュも一緒になってポーズを取っていた。

 許可をもらって、写真を撮ったり握手したりした。なんなら抱っこして、高い高いまでしてもらった。アンジュも嬉しそうで何よりだが、あの人たち、本当に飛んで戦えそうなんだよな。


 ただ最後に、「ここは一体どこなのかしら」って言ってたのだけが気になった。

 そんな歳でもないだろうに。


 そのまま、本物っぽい天使の羽や悪魔の羽っぽいのをつけた子をアンジュと見ながら歩いていた。

 「本物かなー」

 「あれは、ほんもの。あっちもほんもの。あれはにせもの」

 アンジュが言うなら間違いない。

 だが、最後の『にせもの』って言われたのが一番本物っぽいんだが、どうしてなんだろうか。


 「どうして、あれがニセモノなの?」

 「だてんし!」

 「そっかー。なるほどなー」

 アンジュは見る目があるなぁ。

 なぜかこっちをじーっと見られている。

 そんなにこのコスプレ完成度高いのだろうか。


 そんな時、建物の方から白いワンピースを着て帽子を被った女性が近づいて来た。

 手を振っている。

 だんだんと近づいてくると、でかい。いろんなところがでかい。


 「こんにちはー」

 「あ、美晴さんですか。こんにちは」

 「もう。手伝ってってティナちゃんに送ってもらったのに拒否するなんて酷いわ」

 「いや、ちょっと用事がありまして」

 徹夜でも早朝からでも並びたくないし、そこまで興味なかったからな。


 しかし、美晴さんのこれはすごいな。

 本当に八尺様じゃないか。

 周りの人も足を止めて見入ってしまう。まぁ、美人だしな。


 「それは勝負服な感じですか?」

 「そうよー。こういうイベントに参加する時だけね」

 八尺様のイメージ通りなのにな。


 そして、ガラガラと引いていたスーツケースのようなものはとても重そうだ。

 一体どれだけの『おねショタ本』が入っているのだろうか。

 これは興味があっても、決して聞いてはいけない。

 沼に引きずり込まれてしまうからな。


 「亨くんはこれから?」

 「いや、特には。ただ、アンジュが見て回りたそうなので」

 「そうなのね。まぁ、一般向けもあるからいいんじゃないかしら?」

 「いや、そっちがおまけみたいな言い方しなくても」

 「そうね。ふふ。で、アイリと天嶺はどう? はしゃいでる?」

 「まぁ、天嶺さんはそうですね。アイリさんはちょっとよく分かんないですけど、もしかしたら係員の人に連行されそうではありますね」

 「? はだけてるの?」

 「そっちの方が、まだマシでしょうね」

 「?」

 美人の首をかしげる動作ってそそるよな。


 「あら、エレナちゃんもコスプレしてるのね」

 「成り行きで」

 いつの間にか、エレナもこっちに来たようだ。

 なぜか俺のスカートを摘んでいる。


 「せ、折角来たんだから、見て回りたいじゃない?」

 「そうだな」

 「アンジュ、いきたいとこ、ある」

 「あらあらー。じゃあ、わたくしは少し休憩してきますわね」

 そう言って、天嶺さんたちがいるであろう方向へ歩いて行った。


 しかし、流石に目立つのか、結構注目を集めている。

 コスプレじゃないのに、「完成度高い」とか言われている。


 「じゃあ、見て回るか」

 「うん」「あい」

 三人で室内の方へと向かったのだが、まさか、中も気温と湿度が変わらないとは思わなかった。


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