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メリーさん家の三姉妹  作者: 玉名 くじら


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43/100

43 どうしよう……食べ過ぎちゃった


 カフェで十分にクールダウンしたので、三階へと向かった。

 正直、スーパーの前に大量にかけてある安いやつだとばかり思っていた。


 「これ高いやつでは?」

 「変なこと言うわね。アイリに買ってあげるのに、安いのなんて選ばないわ」

 「あの、わたしたちもいいんですか?」

 「もちろんよ。あたい、そんなケチじゃないし」

 気前いいなぁ。


 「それにアイリの横に並ぶのに、質の違うのを着せるわけにいかないじゃない」

 「はぁ」

 「あんたにも買ってあげるわ。これなんてどう?」

 そう言って手に取ったのは女物だった。

 正直、甚平みたいのでいいんだけどな。


 「それ、女性用ですよね?」

 「そんな古臭いこと言って、まぁ。今の世の中流行らないわよ?」

 そう言って、俺を上から下まで見る天嶺さん。


 「な、なんです?」

 「素材はいいのよねぇ」 

 素材? 素材とは……。


 「少し、後学のために採寸させてもらってもいい? いいわよね? あたいがお金出すんだもの」

 目がマジなんだが。この人、アイリさん狙いじゃなかったんか?


 どこから取り出したのか、メジャーで事細かに測っていく。

 使い古したノートに、測っては書き、測っては書きを繰り返している。


 まさか、この時の俺はこの後とんでもない目に遭うことになるなど全く想像していなかったのだった。


 そして、採寸が終わると、両手を腰に当てて、見渡している。

 「俺は別に着なくても……」

 「ダメよ」

 「え?」

 「あ……。っ……まぁ、いいわ。ほら、これなんてどうよ。男物だし」

 それは黒と赤のよろけ縞の柄だった。派手だ。


 「派手なくらいがいいのよ。エレナちゃんの横に立つんならね」

 「なんでエレナが?」

 「…………あんた、ニブチンってよく言われない?」

 「まぁたまに」

 「自覚あって、それなの? 嘘でしょう……」

 マジで分からないんだが……。


 そんなことを話しながら、浴衣を選んでいたら、エレナが戻ってきた。

 「どうした? いいの無かったのか?」

 何も持っていないので尋ねると、予想外の答えが返ってきた。


 「わたし、振袖がいい」

 俺と天嶺さんが共にずっこけてしまった。

 この暑い日に振袖って……。


 「いや、なんかサマーコレクションってのやってて」

 それは別にセールじゃないだろう? 見てないから分からないけど。


 それに、買ってもらうのに振袖は流石にないわ。

 それに着付けはどうするんだろうか。

 そこまで考えたところで、エレナが俺の顔を見た。

 いや、流石に俺も着付けは出来ないって。


 「なに?」

 「いや、なんでもないわ」

 プイッと顔を背けて奥へ戻っていってしまった。


 「おにーちゃ、これー」

 アンジュがパタパタと音を立てながら近づいてきた。

 アンジュは既に浴衣を着ていた。白地に赤い金魚の柄が入っていて可愛かった。

 帯も金魚の尾びれみたいで、とても似合っている。


 しかし、お祭りの時間まで、まだ時間はある。

 つまり、着崩してしまったら、直さなければならないのだ。

 俺は速攻で店員さんに着付けの仕方を教わりにいった。

 なぜか、環と操とエレナから白い目で見られたが、お前たちも自分で着られないだろうに。


 アイリさんにいたっては論外だろう。

 でも、アイリさんは天嶺さんが直すだろうから、いいのかな。


 「じゃあ浴衣も買ったし、ご飯食べに行きましょ」

 数十分前まで、プリンとタマゴサンドを食べていたエレナが満面の笑みでそう言った。

 まぁ、俺たちは食べてないしな。


 「ちなみにエレナは何食べたいんだ?」

 「ライスコロッケ。あとパスタ」

 どっちもそれなりに量あるぞ?


 「ねぇエレナ」

 「なぁに操」

 「シェアすればいろいろ食べられるんじゃない?」

 「え、なに、操って天才だった!?」

 「や、それほどでも」

 誰でも思いつくだろうよ。


 だからだろうか。何種類かのパスタとピザを注文した。

 トマトとニンニク、イカスミって、攻めるなぁ。

 アンジュとエレナはライスコロッケを見て大喜びをしている。


 「これこれこれこれ。これよこれ。いつ見てもおっきいわね」

 「でかーい」

 俺も頼めばよかったわ。

 環と操はピザを多めに食べている。


 「んー。うんまぁ。おにいといるといつも美味しいの食べられるからいいわよね」

 「お姉ちゃん、それは本人の前で言わない方がいいよ。でも分かる」

 全くこいつらは……。


 「かんぱーい」「かんぱい」

 そしてアイリさんは既にワインを飲んでいる。

 天嶺さんも一緒になって乾杯している。

 この人たちナチュラルにお酒飲むよな。


 ただ、みんな忘れているんだろうな。

 それは、食べ終えて、家に帰ってからみんな気づいた。


 「どうしよう……食べ過ぎちゃった」

 そう素直に認めたのはエレナだ。

 「お腹が苦しい」

 「お祭りまであとどのくらい?」

 「二時間くらい?」

 「始まってるっちゃ始まってるけどな」

 環と操も焦っている。


 「まだ着なくてもいいわよね」

 「まぁ、あたいが着付けできるし、浴衣だから大丈夫よ」

 この人、なんだかんだで頼もしいな。


 アイリさんのお腹は絶対にお酒だと思う。

 そんなアイリさんはウトウトしている。

 アンジュは既にソファの上でお昼寝をしている。

 天嶺さんはなぜか環と操とエレナのサイズも測っていた。

 ご飯食べる前にすればよかったのに。


 しかし、ショッピングモールから歩いて帰ったのに、お腹が凹まないのはなんでなんだろうな。

 

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