↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メリーさん家の三姉妹  作者: 玉名 くじら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/100

29 スイカのめーさんち


 今日は朝からアンジュがいなかった。

 アイリさんもいない。

 まぁ、アイリさんはいつも通り、競馬か競輪かオートかボートのどれかだろう。

 開催日なんて把握していないが、たぶんそのどれかだ。


 というより、昨日夜遅くまでみんなに問い詰められていて、寝不足で起きるのが遅くなってしまったんだ。

 エレナは当然、まだいびきをかいたまま寝ている。


 環と操は、確かアイリさんが送って行ったんだよな。

 あの人、そういうところはしっかりしてるんだよな。


 なぜか、スマホの目覚ましは切れていた。スヌーズにすらなっていなかった。

 いや、そんなことよりも、アンジュからなんか連絡は入っていないだろうか。


 そんなアンジュからはなぞなぞのようなメッセージが来ていた。

 『スイカのめーさんちにいます』


 スイカの……名産地……?


 …………………………。

 待て待て、スイカの名産地ってどこだよ。

 ほぼヒントゼロだぞ?


 ネットで調べる。

 熊本、山形、鳥取…………。

 千葉、北海道、新潟…………。

 津々浦々網羅しすぎだろう。

 そもそも歌でもどことは言ってない。


 こういう時は、過去に何かあったかを聞くんだ。

 ということで、保育園で何かしていなかったかを確認するために、萌歌さんへ電話した。

 『亨さんから電話かけてくれるなんて嬉しいです』

 「あ、はい」

 本題に行くまでが長かった。


 「それでですね、最近保育園で『スイカの名産地』とか歌ってませんか?」

 『歌ってないですねー』

 「保育園でも話題にはなってないですか?」

 『大地くんも言ってなかったですね』

 また出たよ『大地くん』。謎の人物だわ。

 多分だけど、アンジュの気があるんだろうな。それは阻止しないと……って、今はそれどころじゃないな。

 「分かりました。ありがとうございます」

 『あっ……ちょ……』


 ふむ、なんにもヒントを得られなかった。

 アンジュからも何も連絡がないのが、心配だ。

 ……………………あ。そういえば、操の変な画像フォルダ。

 あれにスイカのオブジェあったよな。

 ということで、操に電話するが、繋がらない。

 仕方ない。ここは、再度ネットで検索だ。


 …………嘘だろ。長井に富里にオーストラリア。

 海外の可能性もあるってか!? 前にパスポート作らされたけど、マジで?


 そんな時、アンジュからメッセージが届いた。

 画像の添付があった。

 早速見ると、アンジュと、なぜかアイリさんが写っていた。

 …………分かった。

 今日は転移してない。

 多分アイリさんとどこかに出かけているのだろう。

 しかし、これはどこだろうか。屋内だ。倉庫のような背景が写っている。

 卸市にでも行っているんだろうか?

 まぁ、ある意味名産地ではあるか……。


 とりあえず、アイリさんといるなら安心だ。けど、どこに行ったのかは知っておく必要があるので電話をした。全然繋がらない。

 メッセージを送るが、既読スルーされている。

 これ、あれだ。分かっててやってるな。

 試されているなこれは。


 ということは、自力で解いてこいってことか。

 道理でアンジュからの連絡がないわけだ。

 アンジュ自身も面白がってるな。


 では、このヒントをもとに調べてやろう。

 画像を拡大して背景を見る。

 これ……、近くにあるホームセンターじゃないかな。

 少しだけ写っているこの案内板は見たことがある。


 であれば、俺も内緒で出かけることにしよう。

 エレナも当分起きそうにないしな。


 「あ、おにーちゃ」

 どうやら当たったようだ。

 浮き輪とかのコーナーの前にいた。


 スイカと言っていたのに、シャチを持っていた。

 それを膨らませる空気入れも買わないと……。

 あ、いや、プールだと持ち込み禁止なんだよな。


 違う違う。そうじゃない。

 なぜ、スイカの名産地の答えが、ホームセンターなんだ?


 そこはプールで遊ぶ浮き輪などが並んでいた。

 なるほど。スイカのビーチボールか。

 それが、わざわざ膨らませて積まれていた。

 確かに、『スイカの名産地』だな。

 言い得て妙だ。


 さて、わざわざ事態をここまでややこしくしたアイリさんはどこだろうか。

 辺りを見渡すと、さっと隠れる金髪がいた。

 すかさず追いかける。


 「あ、亨ちゃん……」

 「…………」

 「ごめんて。ほんの出来心だったの。だから、そんな笑顔で黙ってないで何か言って欲しいわ」

 この人は、もう……。

 「じゃあ、そうですね……」


 「ちょっと、どこ行ってたのよ!」

 帰ったら、エレナが勢いよく出てきた。

 「買い物行ってきた」

 別に嘘は言ってない。


 「お菓子は?」

 「ないけど」

 「なんでよ」 

 なんでと言われてもなぁ……。

 アンジュは間を通り抜けて、中へと入っていった。

 ちゃんと、手洗いうがいするんだぞ?


 「で、お姉ちゃんはどうしたの?」

 「荷物持ちしてもらった」

 「そ、そう……」

 エレナはアイリさんを見て、顔を顰めた。

 ちょうど、足りなかったから買いたかったんだよな。


 シャンプー、リンス、ボディソープ、台所用洗剤、柔軟剤、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ラップ、ゴミ袋──


 まさか、全部持ってくれるとは思わなかった。

 「何があったか聞かない方がいい感じ?」

 「んー、今後エレナもやらかす可能性あるから、聞いた方がいいかも」

 「……」

 なぜか、後ずさるエレナ。

 「あ、塾。塾あったんだわ。今から行ってくるわ」

 逃げたな。

 「ねぇ、亨ちゃん、あたしもそろそろ中に入りたいんだけど」

 「もうしませんか?」

 「…………」

 なんで、そこで目をそらすんですかね。

 これはまたやりそうだなと思ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。