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ほんの二日しか経っていないというのに、レミィには森の中がいつもと違う風景に見えた。この二日で生きてきた十数年分の知らないを吸収した気にもなっている。
朝露がキラキラと瞳を刺激し、澄んだ空気が肺に飛び込んでくる。すべてがいつも通りで、すべてがいつもと違う特別さがあった。爽やかな風と共に飛び立てそうにも感じ足が踊る。
レミィがきらめきにときめく中、ルビーがレミィを地上に舞い戻らせるよう声をかける。
「レミィ? 今回はなんとかなりましたけど、もうあまり無茶なことはしないでくださいね」
「えー? そんな無茶してないよ。なんだかすごい魔法が使える気分!」
そう言うとレミィは自身の杖を振り回す。先端に付いた絵の具がリオに飛び散りそうになる。
「こら! 振り回すな!」
「えへへ、ごめんなさーい!」
すべてが楽しくなっているレミィはカラカラと笑う。ルビーは「困った子だ」と言わんばかり眉をひそめ、リオはやれやれと肩をすくめた。
もうあと少しで自宅だというところで、木の陰に人影を見つけた。
「あ、お前!」
「よお。お前、じゃなくてキルな?」
リオが指を差すといつもの調子でキルは答えた。
「遅いよ皆さん。お城で感動の別れでもしてた?」
「キル! どこに行ってたの? すぐいなくなっちゃったから、探したんだよ」
「んー、ありがとレミィ。ちょっと野暮用でね。でもこれからどうするのか、そちらの先生に聞かなきゃだし」
キルはニヤッと口角を上げて、ルビーを見やる。ルビーの表情は先ほどまでと違い緊張感を帯びている。臨戦態勢と言ってもいいどことなく嫌な空気が流れるのをレミィの声が突き破る。
「もー! 険悪、だめ!」
「はあい」
「……キルはどうしてそんな俺たちに構うんだ?」
「キミたち……っていうか、オレ自身はリオくんのその呪いとやらに興味があるだけだよ」
「はあ?」
意味も分からず声が漏れるリオ。キルの言葉をルビーが攫う。
「キルくん、君は何か知っていて私たちについてきているんだろう? 正直、私は君を信用していない。あまり付きまとわれるのは迷惑だ」
「あは、酷いね。あまり対立したって意味はないよ」
おもむろにキルは自身の腰につけたポーチから何かを取り出して、レミィたちの前にずいっと出した。青い光を淡く放つそれは、レミィやリオには見知ったものだった。




