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近くでがさっと何かが動く気配がして、ルビーがその方を見るとそこには小さく留まるファルの姿があった。
ファルは申し訳なさそうに、ただすべてわかっているかのようにそろそろとルビーに近づく。
「……聞いていたの、ファル?」
『ああ、わかっていただろ』
「どうかな……もう、自分がどうしたらいいのかもわからなくなってしま……っ⁉︎」
言いかけたルビーにファルの小さい足が飛んできた。その言わば飛び蹴りはルビーの右頬へと見事に当たり、少しルビーを傾かせる。
「な、なに……!」
『まどわされるな』
困惑しながら右頬を押さえるルビーにつんとした態度のままファルは応えた。
「! はは、そうだね。キミは来てくれるかい? ファル」
ルビーの問いかけに今度は小さく頷く素振りをファルは見せた。
少しの沈黙の後、ファルをちょこんと肩に乗せてルビーはみんなの待つ大広間へと進んでいった。
ルビーとファルが廊下を後にしたことを、柱の陰からキルは静かに見送っていた。
見上げるとそこには綺麗な月が浮かんでいて淡い光が地面を照らしている。
キルは用心深くその場に誰もいないことを確認してから、腕を空に伸ばし大きく息を吸った。さらに大きく息を吐き、出し切った息は夜風と共に交わっていく。
「さて……どうするかな」
自身の手の中に収まる『ハトレアのしずく』を見つめ、ひとり呟きまた息を吐いた。




