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【完結】Magical★Spirits-マジカル★スピリッツ-  作者: 晴埜あこ
7.はじまりが終わる

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59/72

7-3

「ふむ。やっぱり、月夜は安定しないな。そう思うだろ、キル?」

 

 空に向かってキュービは声をかける。

 

 柱の陰に溶け込んでいたキルは一瞬肩を震わせるが、観念したとでも言うように音もなくキュービの前に姿を現した。先の戦いでキルには疲労の色が見える。

 

 しばらくの沈黙の後、キルが口を開いた。

 

「いいのか? 大事な駒を消しちゃって」

「消してないさ。少し、移動してもらっただけ。キルもよく知っているだろ?」

「……さあな」

 

 やれやれと首を振るキュービをキルは見据える。どう動かれてもいいように、緊張の糸は張り巡らせたまま。

 

 あまりの気の張りようにキュービは吹き出した。

 

「そんなに固くならなくていいよ! 別にどうもしないからさ」

「どうだか。アンタはしなくても、中の奴はわかんねぇだろ」

 

 キルがキュービの胸元を指さした。それに対して、キュービはまたふっと笑みを見せる。月明かりに照らされ、その表情は悲しみを纏って見えた。

 

 風が何かの意味を持ってか二人の間を吹き抜ける。

 

「僕はね、キル。すべてが一緒になってしまえばいいって思ったんだ。その方が争いもなくなるはずだし、みんな一緒の方が楽しいだろうなって」

「…………」

「ミゲルはさ、そんな僕に賛同して協力するって言ってくれたんだ。結局、自分のためだったみたいだけど」

「アンタ、今()()()で話してる?」

 

 哀しそうな声色で語るキュービに向かってキルが言い放つ。その言葉を聞いてきょとんとした顔でキュービはキルを見返す。

 

「あ、ははは。僕はキュービ、そう。キュービだ。それ以外の誰でもないよ」

「…………」

 

 声を上げて笑うキュービの表情は張り付いた人形のようににっこりとしていた。キルの背中に冷たい汗が流れる。

 

「はー……。でもまぁ、キルにはずっとお世話になっているからね。そろそろ好きにしたらどう?」

「……言われなくても好きにするさ」

「うん、いいと思うよ」

 

 立ち去ろうとするキルの後姿を眺めながらキュービは小さく、それでいて聞こえるように呟いた。

 

「どうせ、今回も僕からは逃れられないから」


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