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聞き覚えのある名前が出てきたことに、リオはあからさまに嫌な顔をしていた。
レミィが「いい人」だといったその人物が、なぜ登場するのかと。
「アイツがどうして関係するんだ!」
「ははは、よくわからんガキが。……いいだろう!」
――ガチン!
と、なにかが嵌まる音と共に、そこには先ほどまでなかった魔法陣とそこに繋がれるサンティトルの姿が現れた。サンティトルは意識がないのか、目を閉じており、周りに光を纏っている。
「愚民どもが、俺の国でのうのうと。まぁ、いい。時期にお前らもろとも吹き飛ぶ運命、教えてやろう! 愚息、サンティトルは光の魔力に長けた女との子どもだ。それはそれは、俺に力を与えるだろうと思っていた! にもかかわらず! あいつはこれっぽっちも魔力を有さない! 出来損ないの役立たず! 今回も、指示とは違う動きをして俺をイラつかせた……だが、これを見よ! この『交わりの光』は闇と光の魔力が介さなければ生まれない! これはすなわちサンティトルとこの闇を纏う子どもの魔力が介したからこその! 最後の最後にサンティトルはやっと役に立ったというわけだ!」
「……話が長いと嫌われるぞ、おっさん」
長々と独白するミゲルの背後に、いつの間にか移動していたキルが立っていた。
「な……⁉︎」
「ま、オレが用のあるのは……こっち!」
勢いよくキルが蹴り上げると、ミゲルが纏っていた魔道服の装飾である魔石が吹っ飛ぶ。吹っ飛んだそれをまたキルが勢いよくリオに向けて蹴り上げた。
「それを掴め! そんであとは……心意気だ!」
「なっ! もっとわかりやすく言え!」
「鼓動を高めろ!」
キルが蹴り上げた装飾。ミゲルの魔道服の装飾である、その魔石は魔力を増幅させた。つまり、ミゲルはその魔石で自身の魔力を底上げしていた。
リオは蹴り上げられたそれをうまく掴み取り、数刻前のキルとの特訓を思い出す。小脇に抱えていた魔道具を持ち直し、魔石と魔道具の柄を包み込むように握る。呼吸を整え、耳を澄ますと自分の鼓動が早くなるのを感じた。辺りが静寂に感じ、一際鼓動が波打った。
「俺は、俺のやりたいことをやる……!」
――ドッ。
耳に心音がこだましたとき、ケモノ耳を携えたリオの手には火柱の剣が存在していた。




