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「たくさんあるー!」
コロンに教えられた魔道具の店、『ココリリ』は魔法道具と剣の専門店だ。魔力を施した杖や盾、剣などが揃い、他にも衣類や装飾品など品揃えは様々。
国別に展開している『ココリリ』は、そこの暮らしを表しているようで、旅人や商人たちが初めて訪れた地では、そこに行くのが常だった。
初めての買い物に浮かれるレミィだったが、リオはどこか不安げな様子だ。
「リオ?」
「ん? あ、悪い」
一点を見つめるリオに、レミィは声をかけた。
「どうしたの?」
「いや、この世界……魔物とかいるだろ? ルビーにもらった短剣だけじゃ、心もとないかなって。少しお金も用意してくれたし、なにか他に武器になるものを」
「リオ、本当に適応能力が高いね」
「え……」
それは出発前に、ルビーがリオへ向けた言葉だった。
「リオくんは、剣の筋もいいし。元の世界で何かやっていたのですか? 魔法もないという世界から来て、何もしていないのであれば、余程適応能力が高い」
そう言われたリオは複雑だった。元から何にでも俯瞰して見る癖があり、自分自身のそんな性格も嫌いだった。味方は自分しかおらず、そこに適するためにひたすら行動していく。そうやって、リオは生きてきた。
「いや、それ意味わかって言ってるのか」
絞り出したリオの声は、少し震えている。
「んー、あまりよくわからないけど。リオはすごいなって純粋に思えるから、ルビー先生もそう言ったのかなって! わたしが知らないところに一人だったら、どうしたらいいかわからなくて慌てちゃうもん」
本心から伝わるレミィの言葉に、リオの心は溶かされていく。そこに若干の安心を覚え、それが怖くもあり、その気持ちをリオは封じ込めた。
「ま、だからさ。自分の身も、レミィも……守れる武器がほしいと思って。……あ」
「あ?」
話しながら周りを見渡していたリオに、はたとひとつの剣が目に留まった。それは剣の柄の部分だけのようで、中心部に赤く光る石とスイッチのような装飾が付いている。
「これ、値段も二百グルトで手頃だし、使い方さえわかれば良さそうな……」
「おう、兄ちゃん!」
「ひっ」
悩んでいるリオを見かけた店主が声をかけてきた。
反射的にビクつくリオ。
「御目が高いね、兄ちゃん。それは今日入荷してきたばかりでな。なんでも、偉大な魔術師が魔力を込めたとかで。ま、オレもよくわかってないんだけどな!」
胡散臭い言い回しの店主は、引き気味のリオに構わず話し続ける。
「ここいらに住んでりゃ、ある程度の魔力はあんだろ? それをその柄に込めるらしいんだよ。そして、スイッチを押すと発動するって仕組みらしくてな」
「そんなものなのか、魔法って……」
魔法への感じ方の相違を感じつつ、リオは手に取った剣を購入することにした。魔力を持ち合わせていないリオだが、買わないといけないような使命感にかられた。




