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Magical★Spirits-マジカル★スピリッツ-  作者: 晴埜あこ
3.ミューハの城下町

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23/56

3-5

 サンティトルは珍しく城壁の上にいた。

 

「ううう、風が強い! 早く城に帰るぞ!」

「ですが坊ちゃん。キュービ様のご伝言によれば、城壁で待てと……」

「ええい、うるさいな! だいたい、そのキュービって奴はなぜボクの前にも姿を現さない! 一国の王子に対して失礼にも程がある!」

「国王様や第一、第二王子様共にお知り合いとのことですからね。なにか訳があるのかもしれません」

「訳など知らぬ!」

 

 数刻前に、またも一人の番兵がキュービと名乗る人物から言伝を預かったと、サンティトルに話しかけてきた。

 一国の王子に容易く話しかけてくる番兵たちを、サンティトルは快くなど思っていなかったが、相手が自分自身に直接言ってこないので仕方がない。

 

 話を聞くと、『城下町に黒髪と金髪の少女が降り立つ』と言われただけだった。

 いよいよ番兵たちを頼りないと思い始めていたサンティトルは、ヒージと共に城壁へ向かったのだが。

 

「待てど暮らせど、全然来ないではないか!」

「落ち着いてください、坊ちゃん」

「ボクのどこが、落ち着いていないと言うのだ!」

 

 なかなかそれらしきものが現れないので、サンティトルの苛立ちは頂点に達しそうになっていた。その時、

 

「ん?」

 

 裏門から入ってくる人影をサンティトルは捉えた。慌てて双眼鏡を取り出し、どのような人物かを確認する。

 あまり見かけない風貌。一人はおさげ髪の金髪で、おそらく魔法使いだろう。杖を持ち、微かに魔力を感じる。もう一人は、深々と帽子を被り表情はよく見えない。

 

「こんな時期に、裏門から訪問者? しかもあちらは『魔の森』ではないか……」

 

 気になって見ていたサンティトルはしばらくその二人を観察し、にやりと確信的な笑みを浮かべた。

 

「ヒージ、あの娘だ」

「はい、坊ちゃん」

 

 突風に吹かれ、勢いよく帽子が飛んだ。その様子を金髪の少女は笑いながら見ている。笑顔の先にいる相手は、黒髪の少年だ。

 

「行け!」

「はっ」

 

 サンティトルはヒージに命令すると、そのまま城壁を降りた。

 

「やっと、会えるな。ボクの姫よ」


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