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 ◆とあるクラスの生徒



 今日も天気がいい。


 気持ちいい気温のせいか、少し眠くなってきた。


 私は、そんなことをのんびり考えながら授業を受けていた。


 すると、突然ヘリが大量に現れ、強烈な音が授業を妨害した。


 だけど、私ののんびりペースは保持されたまま。


 ――まあ、この学校だったら、そういうこともあるだろう。


 そう思った。


 なんせ、ここは煌爛学園。


 お金持ちの家が通う学校と言っても通じるくらいには、資産家の家庭が数多く在籍している。


 きっと、どこかの家族が急用で訪れたのだろう。


 そう考えていたら、違った。


 なんと、武装集団が教室になだれ込んできたのだ。


 こちらに銃を向け、大人しくしろと言う。


 これには、ぼんやりしていた私も一気に眠気が吹き飛んだ。


 皆、襲撃者の指示に大人しく従い、机を寄せ、教室の中心に集まる。


 そして、携帯端末を回収された。


 完全な人質状態だ。


 まさか、こんなことになるなんて。


 数分前には考えもしなかったことだ。


 そして、私たちが恐怖で緊張する中、襲撃者が何かを言おうと口を開こうとする。


 しかし、次の瞬間、外で異変が起きた。


 窓から外を見ると、黒い何かが大量に現れ、学校を囲い始めたのだ。


 黒い壁のようなものが突如現れ、敷地外へ出ることができなくなってしまったのだ。


 これも、この人たちの仕業なの……。


 そう思っていたのだけど、襲撃者の反応は意外なものだった。


「な、なんだあれは!?」

「どうなっている」

「防犯機能なのか?」


 と言った感じで、大騒ぎしている。


 襲撃者たちは、外を見て固まっていた。


 そんな中、外の黒いものが現れた瞬間、急に動き出した人たちがいた。


 雲上院派の生徒たちだ。


 彼らは、果敢にも襲撃者たちに飛びかかっていった。


 外の黒いものに気を取られていた襲撃者たちは、雲上院派の生徒たちに気づくのが遅れた。


 それでも、彼らに銃を向け、発砲しようとする。


 銃を向けられた雲上院派の生徒は華麗な動きで銃を奪い取り、銃床で襲撃者を殴って昏倒させた。


 それとほぼ同じタイミングで、他の雲上院派の生徒たちが残った襲撃者を襲う。


 皆、凄まじい身のこなしで、襲撃者の攻撃をかわし、痛烈な一撃を確実に入れていく。


 襲撃者は手も足も出ないままに、一人また一人と倒されていく。


 ほんの数秒で、襲撃者たちは全員気絶。


 雲上院派の生徒たちは、手慣れた動きで拘束作業に移行する。


 あっという間に襲撃者たちを縛り上げて、行動不能にしてしまった。


 ――完全な制圧返しである。


 そんな中、縛り上げられた際に襲撃者の一人が覚醒した。


 そして自分たちの状況を見て、混乱しだす。


「な、なんだ。どうなっている」


 すると、雲上院派の生徒が微笑を浮かべて言った。


「狙う施設を間違えましたね。ここには、貴方たちのような者に屈しない者が多数います。今頃、同じことが起きているんじゃないですかね」


「そ、それはどういう意味だ」


 雲上院派の生徒が言った言葉の意味が分からず、襲撃者が聞き返す。


 だけど、その質問に答える必要はなかった。


 丁度その時、隣の教室で大きな物音が聞こえたからだ。


 まるで、この教室で起きたことと同じことを再現したかのような音が、壁越しに聞こえてくる。


「な、なんの音だ」


 きっと、気づいているはずなのに、襲撃犯が動揺して声を上げる。


「当然、他の教室でも、ここと同じことが起きているだけです。さ、皆さん、後片付けをして授業を再開しましょう」


 という言葉に、雲上院派の生徒たちが頷き返し、粛々と襲撃者たちを端にまとめて、携帯端末で連絡を取り始める。


「こんなはずでは……」


 隅に寄せられた襲撃者は、うなだれたまま悔しそうに言葉を紡いでいた。


 という事が起き、大半のクラスメイトが呆然とする中、学校を占拠しようとした人たちは一瞬で拘束されてしまったのだった。



 ◆日高千夏



 授業中、急に大きな音が外から聞こえた。


 次いで、窓際の生徒がざわつき始める。


 なにやら、ヘリがどうと言っているけど、騒がしくて聞き取れない。


 だけど、先生の注意により、私語はなくなる。


 そして、授業が再開された。


 だけど、十分と経たないうちに中断されてしまう。


 なぜそうなったかといえば、武装した人たちが教室に押し入ってきたからだ。


 慌てた先生が、武装した人たちに詰め寄るも、あっさり拘束されてしまう。


 武装した人の中でリーダー格の人が、銃を天井に向けて発砲した。


 それまで、突然の展開に呆然としていた皆は、現実に引き戻されパニックとなる。


 悲鳴を上げる人、身を寄せ合う人、逃げ出そうとする人、さまざまだ。


 だけど、武装した人たちが武器で威嚇し、全員の行動の自由を奪った。


 そして、机を後方に寄せるよう指示を出す。


 教室に空間が出来ると、中心に集まるように言われた。


 私たちは、恐る恐るといった動きで、ゆっくりと教室の真ん中に集合する。


 次に全員が身体検査を受け、携帯端末を没収された。


 それらを終えると、リーダー格の人が私たちに今後についての説明を始めた。


 この人たちは、自分たちの組織の代表者の解放を交渉するために、学校の占拠を行ったらしい。


 この学校には政財界有力者の子供が通っている。悪いが、君たちを交渉材料とさせて貰う、と。


 交渉が成立し解放が確認されれば、自分たちの脱出に合わせて、私たちも解放してくれるとのこと。


 手荒な真似は極力しないので、指示に従うようにと言われた。


 ここまでの行動を見ていると、とても手慣れた印象を受けた。


 ここで私にできることはなんだろう。


 携帯端末を取り返して、外部と連絡を取るべきだろうか。


 あの人たちが相手では、それは難しいだろう。


 それに自分のクラスだけが占拠されたとは考えにくい。


 きっと他のクラスも同じ状態になっているはずだ。


 となると、この人たちは一体何人で乗り込んできたのだろう。


 合計人数を考えるだけで、恐ろしい気持ちになる。


 ここで、リーダー格の人が追加で説明を行った。


 自分たちの目的は交渉だ。つまり、自ら外部と連絡を取る。


 だから、君たちが隠れて警察などに連絡する意味はない。


 何度も言うが、くれぐれも不審な動きをしないように、と念を押された。


 確かにその通りだ。


 もし、占拠されているのがこの教室だけなら、室内の情報を提供する意味があったかもしれない。


 だけど、全ての教室が占拠されているのであれば、その情報の価値は低い。


 知らせられる情報量が少なすぎる。


 それでは、自らを危険にさらした分と天秤が釣り合わない。


 何より、そのことでクラス全体が連帯責任を負わせられる可能性もある。


 ここは襲撃者たちを刺激しないように、やり過ごすのが一番だろう。


 ふと綾小路君の方を見れば、苦虫をかみ潰したような顔をしていた。


 きっと私と同じで、抵抗方法を考えたけど危険すぎるという結論に至ったためだろう。


 周囲を見渡せば、皆同じような顔をしていた。


 どうやら、考えつく結論は全員同じようだ。


 しかしその時、思わぬ行動に出る人が居た。


 ――瀬荷城さんだ。


 なんと彼女は、リーダー格の人に詰め寄り、自分を解放しろと言い出したのだ。


「わ、私は関係ないわ! 父は会社経営者だけど、政治家との繋がりは薄いもの。とにかく、他の生徒は好きなだけ人質にすればいいけど、私は御免だわ。残念だけど貴方たちの力にはなれないから、これで失礼させていただくわ」


 と、一方的に言い放つと、教室から出ようとする。


 その光景を見て、盛大に舌打ちをする人がいた。暮舞さんを筆頭とする雲上院派の人たちだ。


 普段は上品な振る舞いを徹底しているのに珍しい。


 それだけ、他のクラスメイトを見捨てて逃げようとする瀬荷城さんが許せなかったのだろうか。


 と思ったら違った。


 何やら小声で、動き回ると邪魔だと言っている。


 どういう意味だろう……。


 私がそんなことを考えていると、四谷さんと因幡さんまで教室から出ようとする。


「ま、待ってください!」


「わ、私も!」


 二人は慌てて瀬荷城さんの後を追いかけた。


 そして、瀬荷城さんたちが私の横を通り過ぎようとしたとき、リーダー格の人が口を開く。


「撃て」


 短い指示に反応し、部下の人が銃を抜いて、瀬荷城さんに照準を合わせる。


 その時、リーダー格の人の言葉に反応したのは部下だけではなく、瀬荷城さんも同様だった。


 彼女は、普段は見せないような動きで振り返り、危険を察知。


 四谷さんと因幡さんの陰に隠れようとする。


 しかし、その二人は左右に分かれて走って逃げた。


 結果、瀬荷城さんの姿があらわとなる。


 その時、走って逃げ出した因幡さんが私にぶつかった。


 私は衝撃でつまずいてしまい、瀬荷城さんの前に出る形となってしまう。


「あ」


 目の前には銃を持った人がいた。


 ――当たってしまう。そう思った。


 そして、銃声が鳴る。


 私は、恐怖で固く目を閉じていた。


 しかし、いくら待っても痛くならない。


 その時になって両肩を誰かに掴まれていることに気づく。


 私は恐る恐る目を開けた。


 すると、目の前になぜか九白さんがいた。




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