ミス
「あの。私…ーーー」
「消えてくんないかな」
好きな人に告白しようとしたところ、イエスかノーすらなく、存在を否定されました。
「歩美?」
振り向いた私は、きっと酷い顔してると思う。
鼻水だって止まらないし。
何より涙腺が崩壊してます。
「ちょ…っ、どうした?」
私を呼び止めたのは、友達の新垣 柚留ちゃん。
告白してくると宣言せずに、放課後居なくなって帰ってきたらこれだもんね。それは正しいリアクションだと思います。
「フラれました…」
「え?誰に?」
「御園くんに、です」
「あり得んでしょ!なんで?あんな仲良さそうだったのに?」
「・・・・分かりません」
が、彼を怒らせてしまったのは確かなのです。
「歩美っ!」
ーーーー息を切らせた彼の声が、教室に響いた。
「ごめん、俺」
「いえ、こちらこそすみません。視界に入ってすみません。今!今すぐここから退散しますから」
(教科書にノート、資料集は要らないから机の中に。ええと、あとはーーーー…。)
結局よく分からないものを鞄の中に詰めこんで、慌てて教室から出ていこうとした。
一秒でも早く、消えなきゃと。
そればかり考えてーーーー。
御園くんにこの酷く醜い顔を見せないようにずっとうつ向いて、彼の横をすり抜けようとした。
「待って」
ーーーーなのに私を引き留める、御園くんの腕。
「ごめん、歩美だと思わなかったんだ」
「?」
「人違いした」
「え?」
「歩美、三河の席に手紙入れてたよな?」
「あ・・・」
私としたことが…緊張のあまり席を一つ間違えたようです。
「三河は最近ストーカーに悩んでて。だからそれを代わりに撃退しようかと」
「ストーカー、ですか………」
確かに三河くんは、学校一モテています。俗に言うイケメンです。モテるのも、困り者なのですね。
(ではなくて…、)
「いきなり背後からきたから、咄嗟に撃退してごめん」
「いえ、私の方こそ突然すみませんでした」
すべては私のミスで。
「恥ずかしすぎて、消えたいです……」
「消えるな!」
本音が口から出ていたのか、御園くんにそう言われて気がついた。
「頼むから、消えないでくれ」
「御園くん?」
「君が去っていく後ろ姿は、二度と見たくないから」




