プロポーズは突然に
「結婚してくれないか」
プロポーズというのは、女の子の憧れのシチュエーションだと思う。
夜景が綺麗なところで、とか。
高級レストランで、とか。
私だってそんなシチュエーションを思い描いたことがあった。
なのに、なぜ!
こんな夢もときめきもない現実が!?
私に「結婚してくれないか」と言ったのは初老の男性だ。しかも今日が初対面。
突然高級車から降りてきたと思ったら車内へと拉致られて、突然、「結婚してくれないか」と言ってきた。
しかも、すごく不本意な表情をして。
「えーっと・・・・・私にこれ拒否権とかあります?」
「察しがいいね」
初老の男性は、そう言って笑った。
その笑顔は、────私のよく知っている人によく似ていた。
「初めまして、が先か。私は神崎真琴の父親で神崎真一。」
「真琴の・・・」
「一代で築き上げた私の会社を息子は継ぐ気がない。計略結婚するぐらいなら死んでやるとまで言うんだ。まったく誰に似たんだか、あいつは」
あー言いそうー、と内心思ったけどとりあえず無言を貫いた私に、困った表情のおじさまは言った。
「調べさせてもらったよ。君のことだけは随分執着しているようだね」
「ちょっと待ってください、それってまさか」
私をダシに、真琴に会社を継がせようと?
「頼む!真琴を説得できるのは君しかいないんだ!」
信じられない!なんてことを言い出すんだこの父親は!
唖然として反論も忘れてしまった。
それが、いけなかった。
「ありがとう、束沙ちゃん」
────ああ。真琴って父親似だったんだね。
・・・・そっくりだね、うん。
この親子から逃れる方法、誰か教えてください!




