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恋愛短編集  作者: 夢呂
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14/16

不快

「佐竹くん、今日までに頼んでおいた先月の統計データできてる?」


俺が入社した時から、指導してくれたのはこの先輩だ。

明るく長い髪を綺麗に纏めて、カジュアルスーツを着こなす。


和智(わち)美結(みゆ)


────この女は不快だ。


「それなら、共有フォルダに置いておきましたよ」


素っ気なくそう答える俺のノートパソコンに顔を寄せて、どこどこ?と聞いてくる。


(くそっ!近い!いい匂いする!)


赤面している俺に気づかない。

いや、気づかないフリなのか?


本当に、不快だ。


「あ、そこね。了解。」


その至近距離でニコッと微笑むのは反則だ。


片手で顔を隠すようにしても、つい彼女を目で追ってしまう。


俺ばかりが、勝手に意識してばかりで。

彼女にとって、俺は“会社の後輩”。


────不快だ。


この想いが大きくなって。

止められない自分が。


────不快だ。



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