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恋愛短編集  作者: 夢呂
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16/16

この声で、君に

その声を─────もっと聴いていたかった。

数年前、世間を騒がせたのはプロフィールが不明なひとりの歌手。


“with u”


───その名前しか、知られていない。


“100年に一人の美声を持つ”


そんなふうにメディアがデビューを取り上げ、瞬く間に

with u はこの国で知らない人はいないほどの実力歌手となった。


それなのに。


およそ一年で彼女は────突然姿を消した。


マスコミは死亡説やパクり説など、暫くは様々な憶測で週刊紙を騒がせていた。






ーーーーーーーー






「君、歌うまいね」


僕にそう声をかけてきたのは、大ファンだったwith u のコピーをギターを片手に路上で披露していた時だった。


明るい肩までの髪に、ゆるやかなパーマ。

大きな瞳が、興味深く僕をとらえていた。

彼女はニッコリ笑ってそう言った。


「どうも・・・」


ぎこちなく答えた僕を、彼女はまた明るく笑ってこたえた。



それが、彼女との出会いだった───。






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