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囚われたままで
「どうして──来たの?」
玄関を開けた彼女の第一声がこれだった。
「どうしてって、心配だからだろ。連絡しても出ないし────」
俺の考えが、甘かったんだ。
どうしてもっと早く手を打たなかったんだろう。
(こんなことになるなら────。)
左目に掛かる長い前髪をさらりと上げると、ひよりの体が拒絶するようにぴくんと震えた。
痣のある瞳が、戸惑うように俺をとらえていた。
「帰って。こんなところ、あの人に見られたら───」
「帰ろう?」
「・・・え?」
「帰るんだよ、俺と一緒に」
「湊、気持ちは嬉しいけど────」
ひよりは、ずっと囚われている。
あの、暴力でしか愛情を注げないようなクズに。
「なんでだよ・・・」
(どうしてあんな男にそんなに────。)
俺ならもっとひよりを大切にする。
ひだまりみたいな笑顔が溢れる、あの頃みたいなひよりに───俺なら、してあげられるのに。
「ありがとね」
ひよりは弱々しく頬を動かして、ワラッタ。
─────それがどんなに俺の心を苦しめているか知らずに。




