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恋愛短編集  作者: 夢呂
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12/16

囚われたままで


「どうして──来たの?」


玄関を開けた彼女の第一声がこれだった。


「どうしてって、心配だからだろ。連絡しても出ないし────」


俺の考えが、甘かったんだ。

どうしてもっと早く手を打たなかったんだろう。


(こんなことになるなら────。)


左目に掛かる長い前髪をさらりと上げると、ひよりの体が拒絶するようにぴくんと震えた。

痣のある瞳が、戸惑うように俺をとらえていた。


「帰って。こんなところ、あの人に見られたら───」

「帰ろう?」

「・・・え?」

「帰るんだよ、俺と一緒に」


「湊、気持ちは嬉しいけど────」


ひよりは、ずっと囚われている。

あの、暴力でしか愛情を注げないようなクズに。


「なんでだよ・・・」


(どうしてあんな男にそんなに────。)


俺ならもっとひよりを大切にする。

ひだまりみたいな笑顔が溢れる、あの頃みたいなひよりに───俺なら、してあげられるのに。


「ありがとね」


ひよりは弱々しく頬を動かして、ワラッタ。


─────それがどんなに俺の心を苦しめているか知らずに。



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