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41、冒険者ギルド別館に集められた人達

 僕達は今、冒険者ギルド本館1階の会議室にいる。宿の食堂まで、僕達を呼びに来た職員さんは、王都の冒険者ギルドの職員らしい。どうりで見覚えのない人だと思った。


 ジョーモさんは、黒い鎧を身につけている。剣も複数本、装備しているようだ。完全に厳戒態勢だよな。


 僕とケモ耳の女の子は、食べ放題のときの服のままだが、彼女は、黒くて丸い嘘発見器を抱えている。モモさんにつけてもらった簡易版の髪留めも前髪に留まっているけど、彼女が部屋に取りに行きたいと言ったんだ。


 ケモ耳の女の子は、両手で抱えるものがある方が、安心できるのかな。彼女は、ジョーモさんの着替えを待っていた間に、魔道具の丸さを生かして、モモさんにニコニコマークのような絵を描いてもらっていた。だから、黒いペットを抱っこしているみたいにも見える。


 僕達以外にも、会議室には多くの人が集まっていた。冒険者のようだけど、あまり見ない顔ばかりだ。




「待たせて悪いな。簡単に状況を説明する」


 冒険者ギルド長が、数人の職員と一緒に、会議室に入ってきた。あっ、ナープラストを立ち上げたプラストさんもいる。彼の右足は義足だからか、今日は杖をついている。


 プラストさんが入ってきたからか、どよめきが起こった。やはり、彼は有名人なんだな。


「職員から聞いた人もいると思うが、設立者権限により、プラストさんが、ナープラストの団長に復帰した。その復帰承認のために、王都の冒険者ギルドから、グランドマスターの代理として、職員も来ている」


 僕達を呼びに来た職員さんが、軽く会釈をした。グランドマスターって初耳だけど、何者なんだろう? 王都の冒険者ギルドのギルド長のことなのかな。


「あー、呆けている者は、理解できてないな。グランドマスターは、すべての冒険者ギルド長を取りまとめる存在だ。つまり、冒険者ギルドの総責任者だ」


 ギルド長が言葉を補足したことで、みんな驚いた顔をしている。僕には、偉い人の中の優劣はよくわからないけど、すごく偉い人なんだな。


「今、別館の闘技試験場に、ナープラストのメンバーを全員集めてある。重要な話があると伝えたが、なぜか勘違いして浮かれている者も少なくない。それが、彼らの現状だ。俺の方にも、様々な報告はあったが、決定的な事件ではなかった。だが、今回はきちんと証拠も揃っている。まだナープラストのメンバーは、プラストが団長に復帰したことを知らない」


 ここで、ギルド長は口を閉じた。会議室の扉をノックする音が聞こえたからだ。



「ナープラストのメンバーが、全員揃ったとのことです」


「わかった、すぐに行く。それまで静かに待たせておいてくれ」


 知らせに来た職員さんは、変な顔をして扉を閉めた。静かに待たせておくことが難しいのだろうか。



「ここに集まってもらったのは、ナープラストを様々な理由で追放された冒険者と、追放ざまぁ支援局員だ。俺について来てくれ」


 ん? なぜ、支援局員も集めたんだ? あっ、ナープラストの理不尽な追放についての証言をさせるのか。


 僕達は、職員さんの誘導に従って、別館へと移動した。




 ◇◇◇



 別館の闘技試験場には、大勢の人がいた。ガヤガヤと騒がしい。ナープラストには、こんなに多くのメンバーがいるんだな。


 まず、冒険者ギルド長が、闘技試験場に入って行った。中央に、試験説明用の大きなお立ち台がある。僕達は、壁沿いに並んだ。


 ジョーモさんが目立つ鎧を身につけているから、ナープラストの人達の視線が集まる。ケモ耳の女の子が怯えていたから、僕の後ろに隠した。彼女は、大勢の人に見られることがトラウマになっているようだ。



「なぜ、おまえがいるんだよ! ナープラストのメンバーじゃねぇだろ! 貧民街に帰れ!」


 ジョーモさんに罵声を浴びせたのは、あのとき、僕を睨みつけて出て行った冒険者か。彼は僕のことは覚えてないらしい。




「ナープラストの皆さん、これまでの多くの討伐ミッションへの貢献を感謝する。今日集まってもらったのは、王都から、グランドマスターの代理として職員が来ているためだ。さぁ、こちらへどうぞ」


 ギルド長がグランドマスターという言葉を出すと、騒がしかったナープラストの人達は、シーンと静かになった。


「皆さん、初めまして。私は王都の冒険者ギルドにて、パーティ管理をしているユウシェルと申します。今回、グランドマスターの代理として参りました。Aランクパーティ、ナープラストへの人事異動を命じます。設立者権限により、プラストさんが団長に復帰されました。プラストさん、こちらへお願いします」


 闘技試験場内は、一気に騒がしくなった。団長さんは呆然としているし、副団長さんは何か怒鳴り散らしている。



「騒がしいぞ! おまえら、黙れ! ユウシェル・リーズ公爵の前だぞ!」


 えっ? リーズ公爵? 僕でもその名前は知っている。王家の有名な文官じゃないか。ただの職員だと思ってた。食堂で詰め寄っていたジョーモさんは、真っ青になっている。


 ナープラストの人達も、プラストさんに怒鳴られて、シーンと静まり返っている。



「俺は、本日付けで、ナープラストの団長に復帰した。その理由はわかるな?」


 プラストさんがそう言ったけど、ナープラストの人達は、首を傾げている。プラストさんが杖をついているから、足が治ってないことは、後ろの方にいる人にも伝わっているだろう。


「壁沿いに立つ冒険者の半分以上に、見覚えがあるだろう? おまえ達が理不尽な理由で追放した者達だ。ここに来ることが叶わず、既に自死した者もいると聞く。俺が団長を任せたリプール! そして副団長のアリッサ! おまえ達は、何をやってきたのだ?」


 団長さんが、プラストさんの目の前に移動した。


「プラストさん、一体、これは何の真似ですか。俺達は、ナープラストをより一層、大きなパーティにした。冒険者なら誰もが加入したいと憧れているはずだ」


「昨日の夕方の騒ぎは何だ? 一昨日のモンツク狩りで無双した新入りに、何をした!?」


「あぁ、魔物の血の件ですか。アレは必要な見せしめですよ。あの獣人の子供は、アリッサが大切にしていた魔道具を盗んだのですからね。セルス村の子らしいけど、セルス団は、盗賊だけを狙う義賊ではなかったみたいですよ」


「おまえ! リーズ公爵の前で、そんな嘘を並べるのか!」


「はい? プラストさんこそ、何ですか。冒険者は引退したのでしょう? もう、アナタは部外者ですよ」


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