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異世界から来たガイア 67

第67章


ガイア


戦争捕虜たちは全員、採石場にいる。


侍女からそこはひどい場所だと警告されていたし、私が気分を悪くしたり助けが必要になったりするかもしれないと考えて、彼女もついてきた。


彼女の勘違いであってほしい。


八人の護衛兵による巡回隊の中央を歩き、その傍らには宮殿を出てから一言も発さず震えている侍女がいる。「落ち着いて、何も起きないから」


「はい、殿下」それでも彼女は疑い深そうに周囲を見回している。


「宮殿から外に出るのには慣れていないの?」


「はい、殿下。私は宮殿で生まれ、ずっと後宮の侍女として暮らしてきました」


「どういう意味?」


彼女は視線を落とした。「役人と後宮の侍女との間に生まれた私生児です。宮殿で生まれ、ずっと召使いとして暮らしてきました」


「でも、お父さんはあなたを自由にしてくれなかったの?」


彼女は肩をすくめた。「父の顔は知りません。陰謀に関わって死刑宣告を受けました。母は先王の妃の一人に気に入られていたおかげで助かりました。私にこの仕事を教えてくれたのは母です。それだけのことです」


悲劇的な物語なのに「それだけ」だなんて。彼女は自分の立場を改善しようとさえせず、あきらめてしまっている。宮殿こそが彼女の知る唯一の場所であり、唯一の心の拠り所なのだ。「ごめんなさい」


「滅相もございません。多くの人々より恵まれた環境で暮らしておりますし、毎日食べ物もございますから」


「傷つけるかもしれないけれど、あなたの名前が思い出せないの。私、名前を覚えるのが昔から苦手で」


「イラールです」


「イラール、落ち着いて」私は彼女の肩に手を置く。「護衛に守られているんだから、何も起きないわ」


彼女は頷いた。


赤煉瓦の家々がまばらになり、道は乾いた埃の層に覆われていく。


ブーツを履いてきて正解だった。


六人の護衛グループが守る壁。そのうちの二人が、ラバに引かれた手押し車を調べている。石を確認してから、車を行かせた。


出ていくものの点検までしているのはまずい。何かを通過させるのは難しいだろう、特に私には。捕虜との話し方にも注意し、ボロを出さずにすべてを行わなければ。


護衛隊長が警備兵たちと話しに向かう。王女がここを訪れるのは、おそらくこれが初めてなのだろう。


警備兵の一人が別の兵の背中を力強く叩いた。「本当に来たぞ、今夜はお前のおごりだ!」


私は微笑む。男というものはどこでも変わらない。賭けが行われていなかったら、むしろ驚くところだった。


私たちは採石場に入った。


目の前に巨大な穴が開いている。男たちの群れが石を積んだ一輪車を押しつつ小道を歩き、大穴の底からはツルハシや槌を打つ音が聞こえてくる。


誰もリズムを合わせていない演奏会だ。


別の警備兵たちが鞭や槍を手に、その一帯を監視している。


埃が充満し、空気をより濃く重くしている。実のところ、本当にひどい場所だ。


「捕虜たちと話がしたい」これまで警備兵たちは私の計画を知らなかった。


「ですが、殿下、そのようなことは不適切でございます」


「でも希望するわ。彼らを訪問すると約束したんだから、中途半端にはしたくないの」


護衛隊長は首を横に振る。「陛下がお喜びにはならないでしょう」


「安心しなさい、何かあっても私が全責任を負うから。それに、誰も話さなければ陛下に知られることもないでしょう?」


護衛の集団は頷いた。実際にはあまり納得していなかったが、強い義務感からだった。

イラールがまるで子犬のように私の後ろをついてくる中、私は現場の道へと向かう。彼女は目を丸く見開いていて、今夜悪夢を見なければいいのだがと思う。


彼女の肩に手を置く。「落ち着いて、ただとても汚い場所というだけで、何の危険もないわ」


「はい、殿下」彼女は緊張で固唾を呑む。実際、ずっと宮殿で召使いをしてきた彼女は、多くの人々より恵まれた暮らしをしてきたのだ。男たちの暴力や戦争から守られ、その時々の側室の気まぐれという危険を伴う多くの虐げからも遠ざけられていた。たとえば、この採石場に来たいという私のわがままのような。


一人の男が斜面を上りながら、手押し車を押している。


やつれた顔の皮膚とチュニックには埃がこびりついているが、髪はドゥルハン軍の規定通り短く切り揃えられている。


イラールを伴ったまま、その男に近づく。参ったわね、彼女に聞かれるわけにはいかないのだ。「一人のほうが安心できるなら、私だけでやってもいいのよ」


「お世話をするのが私の務めでございます」


「一人で残るのが怖いの?」と耳打ちする。


侍女は視線を落とした。


ため息を飲み込む。つまり、少なくとも計画か何かを練り上げるまでは、障りのない会話に留めなければならないということだ。


男は手押し車を置く。車輪が木製であることに驚くが、現代のゴムタイヤを期待していた自分が馬鹿だった。「イシュダー」彼は気をつけの姿勢をとる。


「楽にして」私は微笑む。


彼は肩の力を抜いた。「私……私たちは、あなた様にお会いできるとは思っていませんでした」


「捕虜たちを訪ねると約束したの。今でも私の同胞である人たちとの約束は、果たすつもりよ」


「お会いできて胸がいっぱいです」彼の目が潤んでいる。


「食事は与えられているの?」


「多くはありませんが、かといって空腹というわけでもありません。採石場で働くにはかなりの力が必要ですし」


私は頷く。「あなたたちが力で満たされているのは、彼らにとっても都合がいいのね」


「はい」


「睡眠はどう? 住処は与えられているの?」


「ええ、ええ。私たちのために小屋を充ててくれました」彼は声を潜める。「こんなことを言うとは思ってもみませんでしたが、臭い兵舎のほうがずっとましです」


「知識として野ざらしというわけではないのね」前向きな点を見つけようとする。


「はい、それに何より繋がれていません」


「それ以外はどう? 殴られたりする? もう誰か殺されたりした?」


彼は視線を落とした。「殺された者はまだいません。もちろん機会があれば手荒に扱われますが。今のところ、この場所を管理している人物はまともな人物のようです。おそらくその方のおかげでしょう」


新しい側室の機嫌を損ねたくないのだろう。私は彼の肩に手を置く。「持ちこたえて」まっすぐ彼の目を見つめる。口パクで「計画があるわ」と伝える。嘘だが、味方を作るための最初の一歩だ。


彼は目を見開いた。「あ……ありがとうございます、殿下。持ちこたえてみせます」


私は微笑む、伝わったようだ。「イラール、他の捕虜たちも見に行きましょう」


「はい、殿下」


捕虜は再び手押し車を押し始める。


「あのお方をご存じだったのですか、殿下?」


「いいえ、見たこともないわ」


「ですが、ではなぜあのようなことを?」


心臓がドクリと跳ねる。何か企んでいると気づかれたのだろうか?「どういう意味?」


「引き留めて励ましておられました。ご親戚だったのですか?」


ほっと息をつく。「いいえ、ただの兵士よ」どうやら何も気づいていないようだ。


「差し出がましいことを申して許されよ、ですが殿下は奇妙なお方でございます」


私は訝しげに彼女を見る。


「良い意味で申し上げたのです」彼女は視線を落とす。「どうかお仕置きなさらないでください」


「あなたを罰する理由なんてないわ。思ったことを言っただけでしょ。身分や血縁も気にせず他人の心配をする人を見て、驚いただけよね」


「はい、殿下」


「何よりもまず私たちは人間よ。互いを思いやり、もっと平和な世界、あるいは無駄な死や苦しみのない世界を望むのは当然のことでしょ」


「お心の優しいお方でございますね、殿下」


「マリク王子の理想でもあるわ」切なく微笑む。彼はこのことを何度も話してくれた。


「殿下。二度とそのお名前をお口になさらないでください。差し出がましきこととは存じますが」


二人の警備兵が近づいてくる。


イラールは私の髪の毛束を整えるふりをする。「他の方に聞かれれば、王の疑いを招くことになります。今、殿下はあのお方のお手元におられるのですから」


そう、形だけでも私は彼のものなのだ。トラブルを避けるための助言をしてくれたわけだが、まだ彼女を信用することはできない。それでも、これは始まりだ。


「お怪我はございませんか、殿下?」年長の警備兵が尋ねる。


「ええ、大丈夫よ。他の捕虜たちも見て回りたいわ」


「仰せのままに」


激しい叫び声。


男たちが担架を抱え、斜面を駆け上がってくる。


事故だろうか?


私たちの脇を通り過ぎていく。彼らはみな鉱山の作業員で、担架の上では若い男が激痛に叫んでいた。


「何があったの?」


「事故でしょう、よくあることです」警備兵は視線を落とし、祈りを呟く。


「どこへ運んでいくの?」


「この近くに、病人や負傷者のために建てられた専用の建物がございます」


病院ね。「そこが見たいわ」


「ですが、王女様が行かれるような場所ではございません」イラールは怯えきっている。


彼女を無視する。「どんな場所なの?」と警備兵たちに尋ねる。捕虜たちが集まる場所である可能性がある。

「大きな部屋でして、一日に一度、医師たちが診に来ます」


思っていたよりはましね。「分かったわ、行きましょう」私は担架の後をついていく。どうせ私を止めることはできない。王の側室としての小さな特権だ。


護衛たちとイラールがついてくる。イラールは目を丸く見開いている。私と同い年だというのに、まるで子供のようなあどけなさを見せており、哀れみを覚えさせる。


採石場を出て、平らな屋根の大きな平屋建ての建物に入る。


こもりきった空気と、洗っていない大勢の体の悪臭が私に押し寄せてくる。


思わず咳き込み、目に涙が浮かぶ。


担架は壁と、片目に包帯を巻いて眠っている別の作業員との間の空いた角の地面に下ろされる。今ならよく見えるが、彼の片腕は不自然に曲がっている。折れているに違いない。


患者たちは未加工の木の床の上に直接敷かれたむしろの上に横たわっている。


誰かの手が私のチュニックを引っ張る。「お水……」顔を赤くした少年が請い願う。熱があるようだ。


水を入れるのに使われるような壺をイラールに指差し示す。「イラール、あの壺を取って」


イラールはハッと我に返り、壺のところへ行く。「殿下、空です」


くそっ、水もなくこんな不衛生な環境では、良くなるはずもない。良くならなければ多くの男たちが無駄に死んでいくことになる。それに私の計画にも影響が出る。自分とマリクのことばかり考えていて嫌な人間だなと感じるが、いずれにせよ、まずはこの場所を改善しなければならない。


「あなたたちのうち、骨折や怪我の処置の経験がある人は?」


二人の護衛が手を挙げる。


「よし、あなたたち二人は担架で運ばれてきた負傷者を診て、手当をしなさい」それから水だ。「あなたたち二人は持てるだけの壺を持って、新鮮な水を汲んできて」


「ですが、殿下……」


手を上げて彼を黙らせる。「いつかあなたたち自身が彼らと同じ状況になるかもしれないのよ。だから協力して私の頼んだことをしなさい。そうすれば、いつかあなたたちも助けられるかもしれない。必要なら私の名前で荷車を借りても構わないわ」


「はい」


別の二人の護衛を指差す。「あなたたち二人は、おまるの壺を空にしてきて」


「イラール、私とあなたはまず窓を開けて手当のことを考えましょう」


残った最後の二人の護衛を指差す。「あなたたち二人はこの区域を担当している医師を探して、この病者たちに何が必要か聞いてきて。必要なら資材や薬品も買ってきてちょうだい。包帯がたくさん必要になるわ」包帯の交換は不可欠だ。何よりもまず清潔にすること。


彼らは頷いて立ち去る。


「殿下」


「なあに、イラール?」


「火を起こしてもよろしいでしょうか。裏手にきっと火鉢があるはずですので、水を沸かしたり金属の道具を赤く熱したりできます」


「そうね、消毒するためね」


「ええと、その言葉は分かりかねますが、病の悪霊を退けるのに役立ちます」


「病人のお世話をしたことがあるの?」


彼女は頷く。「これまでに五人の赤ちゃんを取りあげる手伝いをしました」


「なんですって?」外れるものなら顎が床に落ちていたところだ。ちょっとしたことで怯える彼女が、すでにそんなことをこなしていたなんて。「私だったらあなたの代わりに気を失っていたわ」


「まさか、そんなことはございませんよ、殿下」


「よし、あなたの経験は貴重ね。さあ、仕事に取りかかりましょう」


空気の入れ替えのために窓を開け、患者たちを診て回り始める。


見たところ、主に採石場の作業員や捕虜たちで、近所に住む石工が何人か混ざっている。


洗濯や、鉢や食器洗いにも気を配らなければならないし、食事のことも考えなければ。事実上、病院を一つ仕切らなければならないわけだ。それに寝床として新しいむしろがあれば悪くない。


床が木製であることも理想的とは言えない。臭い、体温の湿気が染み込んでいる。


素焼きの鍋を手にした女性が入ってくる。戸惑ったように周囲を見回している。


彼女のほうへ歩み寄る。「こんにちは、一つお聞きしてもよろしいですか。なぜここにおられるのですか?」


女性は私を頭からつま先までじろじろ見る。貴族であることを察して軽く頭を下げるが、私だと気づいてはいない。「息子のことでして。岩で腕に大怪我をしてから、ここに三日間おりますの。食べ物を持ってきました」


「なさっていることに感謝します。ですが他の人たちは誰か世話をする人がいるのですか? それになぜ息子さんをご自宅へ連れ帰らなかったのですか?」


「ここなら少なくともたまに医者が通ってくれますから、少し持ち直すまでは。他の者につきましては、家族がいる者は誰かしらが食べ物を持ってまいります。もし食べ物が余れば、身寄りのない者にも分けるのです」


「とても立派な行いですね、息子さんを診てみましょう」


彼女の言っていた少年は、血と膿の斑点がついた包帯で腕が完全に巻かれている。取り替えなければならない。


ここにはやるべき仕事が山積みだ。


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