異世界から来たガイア 48
第48章
ガイア
ザナンザが負傷した。
足が震える。「重傷なの?」
タルクンは首を横に振った。「いいえ、閣下。ですが、いずれにせよ今の状態ではこれ以上戦い続けることはできません」
「もう手当てには連れて行ったの?」
「それが問題なのです。本人が拒んでおりまして」
「そう……」
「もし閣下が直接おっしゃれば、耳を傾けるかもしれません」
だが、それでは私は再び戦いに身を投じることになる。マリクやザナンザが私を安全な場所に留めようと尽くしてくれた努力を無駄にし、危険に身をさらさなければならない。しかし、もし今ザナンザが負傷しているのなら、彼はさらに大きな危険にさらされることになる。私が代わりに城壁に立つべきなのだろうが、私は攻城戦について何も知らない。
「タルクン、戦況はどう?」
「安定しております、閣下。敵は梯子で攻め上り、矢を放ってきますが、我々はそれを退けております。前進は許しておりませんが、長期戦になれば間違いなく厳しい状況に追い込まれるでしょう」
「他の城壁はどうなっているの?」
「確認いたしましたが、他の側はこちらよりうまくやっております。本格的な襲撃というよりは、牽制行動のようです」
やはり、この側で主な戦闘が行われているのだ。「ザナンザが負傷した今、誰が指揮を執っているの?」
「今はまだザナンザ様です。申し上げた通り、手当てを拒んでおられますので」
「そうね」まったく、すべてがうまくいってくれればいいけれど。「彼のところへ案内して」
「ただちに、閣下」タルクンは安堵のため息を漏らした。
私は副官の後に続き、広場を横切って階段へと向かう。
剣を手にしたあの老人に統率された民間人たちが、歩けない負傷兵たちを倉庫へと運んでいる。
数人の民間人が一人の兵士の脇を抱え、倉庫へと連れて行くところだ。
私たちは階段を進み、兵士たちのための矢が詰まった矢筒を運ぶ二人の少年の邪魔にならないよう、私は壁に身を寄せて体を縮めた。
「失礼します」二人のうちの一人が声をかける。
矢を放ち、悪態をつく兵士たちの間を、私たちは彼らの後を追って進む。
ザナンザは城壁の下の者たちに向かって罵声を浴びせている。右腕の革の腕当てには矢が突き刺さっており、左手でレンガを下に投げ落としている。彼は拳を天に突き上げて勝利を誇る。右腕を伝って一本の赤い筋が流れている。足元には使われなくなった弓が転がっていた。
「ザナンザ」私は呼びかける。
「ガイア。こんなところで何をしている?」怒りを込めてタルクンを睨みつける。「なぜ彼女を呼んだ!」
「あなたが怪我をしたからよ。だから私を呼ばせたの」
「平気だ、ただの掠り傷だ」
「血がしたたっているわ。それに、石を投げているのは弓を握れないからでしょう」
「昔から石を投げるのは得意なんだ」
「それは疑っていないけれど、ここは遊び場じゃないわ」
「だからこそ、お前がここにいるべきじゃない」
「少なくとも私は怪我をしていないわ」
「だが、お前は女だ」
「その女は、すでに二度も戦場を経験して、素晴らしい成果を上げているけれど?」私は胸の前で腕を組んだ。
「それはイシュダーがお前を遣わしたからだと、兄上は言っていたがな」
「それならなおさら、あなたが傷を癒やす間、私がここに残ってあなたの代わりを務められるわ」
ザナンザは首を横に振った。「そう簡単な話じゃない。俺のほうが経験がある」
「だったら指示を怒鳴って私を助け、一緒に兵を率いて。兵たちが私についてくることも、私だってここで役割を果たせることも分かっているはずよ」
「……そうだろうな」
「だから私に任せて」私は一歩近づく。
一本の矢が私たちの間をすり抜け、外れた。
「危ない、下がれ、ガイア」
「怪我人がいられる場所なら、私だってここにいられるわ」
「お前に何かあれば、兄上に殺される」
「あなたに何かあれば、あなたのお兄さんはものすごく深く傷つく。それに帝国だって、優秀な指揮官の一人を失うことになるのよ」
彼は肩をすくめた。「職業上のリスクだ」
私はさらに近づく。私たちの間はわずか一尺ほどしかない。彼をここから退かせる方法を見つけなければ。
ザナンザの顔は汗ばみ、疲れた表情をしている。彼の言葉とは裏腹に、どれほど浅い傷であろうとも痛んでいるはずだ。
「せめて、その手だけでも見せて?」
彼は不機嫌そうに手を差し出した。
手のひらを穴が貫いている。まるで十字架に磔にされたイエスの手のようだ。「これはひどいわ」
「治るさ、こんな傷は前にも見たことがある」
「でも、お金は他の誰かに持っておいてもらったほうがよさそうね」
彼は笑った。「お前の言う通りだ」
彼の顔がすぐ近くにある。母親が違うにもかかわらず、マリクに本当によく似ている。同じ切れ長の目元に、同じ鼻の形。
そして、おそらくこの方法なら、彼を退かせることができる。
私は彼の唇に、そっと軽いキスを落とした。
ほんの一秒きりのことで、実感さえほとんど湧かず、何も感じなかった。
ザナンザは唖然として私を見つめている。信じられないといった様子で、完全に言葉を失っていた。間違いなく、こんなことは予想もしていなかったのだろう。
「よし、これで私の命令よ。ここから立ち去りなさい」私は両手を腰に当てた。
「……何だって?」
「手当てを受けに行きなさい。さもないと、あなたが私にキスしたってマリクに言いつけるわよ。タルクンが証人になってくれるわ」
「小さな脅迫者め」
「どうするの?」私は一歩も引かなかった。実に味気ないキスだった。まるで、マリクとキスをしてしまったせいで、他の誰とのキスも色褪せてしまったかのように。
「気に入らないな」
「手当てを受けに行けば、すべて上手くいくわ。もし必要なら、誰かを伝令としてこちらに寄こして」
ザナンザは私の脇を通り過ぎた。「自分を危険にさらして怪我でもしてみろ、絶対に許さないからな」
「了解」もし本当に怪我をしたら、そんなことを気にしている余裕なんてないだろうけれど。
ザナンザは去っていった。
私は身をかがめ、彼の弓を拾い上げる。
城壁のこの一帯では、兵士たちが息を整え、矢などの武器を回収していた。束の間の平穏が訪れたかのようだった。
「タルクン、ここは少し落ち着いているようね」
「こういうこともございます、閣下。常に張り詰めた状態を維持することはできませんし、敵も戦力を立て直しているのでしょう」
「戦況が落ち着きつつあったからこそ、私を呼びに来てくれたのね」
「激しい戦闘の最中にお連れするのは、あまりにも危険すぎましたから」
「そうね。ありがとう」だが、この平穏が長く続くとは思えなかった。
私は城壁の向こうをそっと覗き込む。
敵は弓の射程外まで退いていた。息を整えている者もいれば、身なりの良い兵士の一団――おそらく将校たちだろう――が額を突き合わせて話し合っている。間違いなく、次の攻撃を企てているのだ。
私はマリクが戦っているであろう場所を探したが、距離が遠すぎた。見えるのは土煙の雲と、丘の上の人影だけ。戦況を把握する手がかりになるものは何一つなかった。
今夜、あなたをもう一度抱きしめたい。
まったく、私は本当にマリクに恋をしている。さっきザナンザに与えたキスも、これっぽっちも味がしなかった。枕にキスをするのと何も変わらない。ザナンザだって決して見劣りする男ではない、むしろその逆だというのに。だが、マリクほど私の心を激しく揺さぶった男はいないし、おそらく将来にわたっても、彼を超える存在は現れないだろう。
敵の兵士が二人、自陣の前へ進み出て、弓の射程内に入った。
伝令なのだろうか?
二人は振り返るとチュニックをまくり上げ、体を深く九十度に曲げて、私たちを嘲るように尻を見せつけてきた。
敵陣から、嘲笑と野次が沸き起こる。
私は矢をつがえ、狙いを定めた。
弓の性能が十分に良ければ不可能な狙いではないし、私には助けてくれるあの剣の力もある。
息を吐き出し、弦を放つ。
矢が放たれ、二人のうちの一人の尻の肉に突き刺さった。
射られた男は体をのけぞらせて絶叫し、尻から矢を突き出させたその姿は、まるで尻尾が生えたかのようだった。
私は弓を高く掲げて歓声を上げた。
敵陣は、一瞬にして静まり返った。
一方、こちらの城壁の上からは、割れんばかりの拍手と嘲笑が湧き起こる。
「イシュダーだ!」タルクンが叫ぶ。「イシュダー! イシュダー!」
彼が私の異名を叫ぶと、城壁中の誰もがウェーブのようにその名を連呼した。
城壁の下にいる者たちにもその声は届き、コーラスに加わっていく。
高揚感に満たされ、笑わずにはいられなかった。まるでサッカーの決勝戦で、決定的なペナルティキックを決めたかのようだった。
ザナンザは、この素晴らしい瞬間を見逃したことをきっと悔しがっているに違いない。
マリクも、きっと私を誇りに思ってくれる。
それでも、戦いはまだ終わっていない。
タルクンに付き添われ、私の後ろを静かについてくる彼を伴って、私は城壁を一周する。
戦場にはある種の見せかけの静けさが漂っているようで、私はこれを利用して、兵士たちに励ましや称賛の言葉をかけて回る。
これまでのところ城壁に大きな被害はなく、敵の突撃も目立った成果を上げてはいない。ただ、街の兵士や味方の兵士に死傷者が出ているだけで、戦いに巻き込まれたり、あの剣持ちの老人の真似をして城壁に上がってきたりした民間人は言うに及ばない。
だが、敵もかなりの損害を被っているに違いない。
一人の兵士が、水が入った革袋を差し出して一口飲むよう勧めてくれた。
「ありがとう」受け取らないと相手の気分を害するのではないかと心配になり、私はそれを受け取って一口飲んだ。ぬるく、革特有の後味が残り、私は耐えるために目を細める。ひどい味だが、冷蔵庫なんてまだ発明されていないのだろう。何とか飲み下す。「本当にありがとう」私は革袋を彼に返した。
「どういたしまして、閣下」
私たちは巡回を続ける。
「閣下!」一人の兵士が私たちを追いかけてくる。「敵襲です! 梯子も持ち出しています!」
クソ、本格的な攻撃だ。
私たちは梯子が近づいている場所へと走る。
私は城壁から身を乗り出す。
「閣下!」タルクンが私を掴んで後ろに引く。「お気をつけください」
「分かったわ、でもせめて状況くらい見せてちょうだい」
眼下の平原では、複数の集団が長い梯子を運んでおり、その前方を進む盾を持った兵士たちが彼らを護衛していた。
彼らの中にいる弓兵が最低限の援護射撃を行い、こちらの兵士たちも応戦している。
数えると十五本の梯子がある。この戦線には多すぎる、私にさえそれが分かる。彼らはすべてを賭けてきているのだ。
「タルクン、民間人を武装させてでも、すべての予備戦力を動員しなければならないわ」
「はい、閣下。ですが、まずは他の戦線でも攻撃が始まっていないか確認すべきです」
「その通りね。急いで偵察を送り、状況を探らせて。可能であれば、増援を送る準備をしておくよう伝えて」
「承知いたしました、閣下」
タルクンは城壁の内側へ身を乗り出し、下に残っている部隊に命令を怒鳴り散らす。
「キッタンナの兵士たちよ、市民たちよ!」私は城壁の上であれ下であれ、周囲にいるすべての人々に向けて叫ぶ。「新たな攻撃が迫っている。これまでよりもさらに大規模な攻撃だ」彼らがその危機感を飲み込むのを待つ。「敵は私たちを押し潰し、全滅させようとしている。だが私たちはそれを阻む! 私たちのほうが強いのだ!」今こそ神々の名を引き合いに出す時だ。「イシュダーの祝福のもと、私たちは勝利する!」私は祝福された剣を抜き、天に向けて掲げた。
「イシュダー! イシュダー!」周囲の誰もがその名を唱える。
演説がだんだん上手くなってきた。
「互いに身を守れるよう、梯子には数人のグループで対処して!」と、すでに城壁にいる者たちに指示を出す。それから、下にいる者たちに向き直る。「あなたたち全員、いつでも出動できるように備えて。ここであなたたちの助けが必要になる可能性は十分にあります。兵士ではない方々にこんなことを頼むのは心苦しいですが、今日、あなた方もまた、自分たちの街と家族を守るために呼ばれているのです」
私は彼ら全員を見つめる。先ほどイシュダーの名を唱えた小さな群衆であり、今日この中の何人かが命を落とすことを私は知っている。先ほどの剣を持った老人の姿が見えた。彼は私と視線を交わし、うなずいた。
私は再び城壁から下を見つめる。
梯子が近づいてくるが、それを運ぶ者たちは兵士たちの盾の後ろに守られたままだ。
彼らの多くは、盾に矢を何本も突き刺している。
敵の弓兵が喉に矢を受けて崩れ落ちる。
隣の兵士が歓声を上げ、悪態を叫ぶ。
私は弓を構える。彼らが近づいている今なら、梯子を運ぶ者を仕留められるかもしれない。
ミルワンの盾は私たちのものよりも小さく、顔を覆うために高く掲げて目だけを覗かせると、足首が剥き出しになる。
タイミングを計らなければならないが、ほぼ不可能な狙いだ。足首に矢を命中させるために敵の歩調を計算し、相手が盾を下げないことを祈るしかない。
やってみる。
矢を放ったが、外れた。
一発目。
二発目。
三発目。本当に不可能な狙いだ、矢を温存したほうがいい。
「来るぞ!」数メートル先で誰かが叫ぶ。
タルクンが私の隣に現れる。「準備はできております、閣下。ご安心ください、何があってもお守りいたします」
私はうなずく。「ありがとう、タルクン。すべて整った?」
「はい、他の城壁とも連絡を確立し、兵士と、何よりも民間人による予備戦力を整えました」
「くたばりやがれ、クソ野郎ども」誰かが呟く。
振り返ると、あの老人が剣を手に城壁の上まで登ってきており、その見事なまでの旺盛な闘志には感嘆せざるを得ない。
踏ん張る唸り声から、梯子が立て掛けられつつあることが伝わってくる。
二メートルほど離れた場所で衝撃音が響く。
一本の梯子が突き立てられた。




