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異世界から来たガイア 29

第29章

ガイア


私は黄色いロングドレスの肩紐を整える。


イヌアは小さく鼻歌を歌いながら、私の髪を編んでいる。


まったく、義理の姉に挨拶に行くだけなのに――彼女をそう呼ぶのはひどく奇妙な感じがする――土曜日の夜に遊びに行くときよりもずっと着飾っている。


カラールが真珠のネックレスを手に戻ってきた。「閣下、こちらの真珠はいかがでしょうか?」


「ええと、詳しくはないんだけど、これじゃフォーマルすぎないかしら?」


「すでに申し上げましたが、いいえ。あなたは姫君でいらっしゃるのですから、常に優雅でなければなりません。陛下も、あなたが訓練のために短いチュニックをお召しになるのを、これでも十分に容認されているのです。どんな時でも女性らしく、気品を保つべきですわ」


ため息をつく。マリクも、きちんとお洒落をして行くようにとしつこく言っていた。


カラールが私の首に真珠の糸をかける。


このドレスの控えめな胸元の上に乗る、上品で洗練された一連の真珠。


「閣下、では三つ編みをリボンで結びますね。緑と赤、どちらがお好みですか?」


「緑はどんな感じ?」


彼女は私の肩越しにそれを見せてくれた。雫の形をした緑の宝石があしらわれた、美しいエメラルドグリーンのリボン。


「これ、本物のエメラルド?」


「もちろんでございます、閣下」カラールは微笑む。「これらは亡き皇后陛下のもの。マリク様が、あなた様のために陛下のお衣装も宝飾品も自由に使ってよいと許可されたのです」彼女は感極まっていた。


「そんなこと、聞いてなかったわ」出かける前、彼は護衛をつけることと、きちんとした格好をすることだけを念押ししていた。


「驚かせたかったのでしょう」カラールは涙を拭った。「失礼いたしました。ですが、このネックレスもあの方のものでしたし、こうしてあなた様が身につけておられるのを見ると……」


私は彼女をそっと撫でる。「気にしないで、わかるから」きっと二人はとても深い絆で結ばれていたのだろう。


「いつかまた別の姫君にお仕えし、あの方の宝石を取り出す日が来るなんて、夢にも思っておりませんでした」


「私も、いつかこんな格好をすることになるなんて思いもしなかったわ」


「そちらの世界でも、宝石はとても高価なのですか?」


「そうね、このネックレスとブレスレットと髪のリボンがあれば、小さな家が一軒買えると思うわ」


背後からイヌアの「おぉぉ」という声が聞こえた。


「それなら当然のことです。王族の方が身につけるものは、誰もが手にできるものではありませんから」


「自分が姫だなんて、一生慣れそうにないわ」私の考え方とはかけ離れすぎている。なんてったって私は庶民だし、実家の両親の住宅ローンがいつ終わるのかも知らないんだから。


カラールがまっすぐ私の目を見つめた。「マリク様を愛しておいでですか?」その問いには、どこか鋭い響きがあった。


「ええ」たぶん、そうあるべき以上に。今朝も、昨夜の浴場でも、ただ「好き」という以上の言葉を口にしそうになっていた。頬が熱くなる。


「よろしい。それが最も大切なことです。髪は終わりましたか?」


「ええ」


「準備は整ったようですね」


鏡の中の自分を見つめる。ドレスは鮮やかな黄色のチュニックで、胸元は清楚なデザインだ。正面を向いてくるりと回ってみる。背中は半分ほどまで開いている。腰にはルビーのような赤いベルトが巻かれ、腰のラインを際立たせている。その下は足首まで柔らかく流れ落ちていた。足元はシンプルだが、金の留め具がついたサンダル。


悪くない。


「とてもお美しいです、閣下」カラールは感銘を受けている。マリクのお母さんの支度を手伝うのが、本当に好きだったに違いない。


これで行けるわね。


「はい、残りの荷物は本日の護衛の者たちに預けてあります」


ここではハンドバッグなんて持たない。全部、使用人が運んでくれる。

あまり好きじゃないけれど、便利であることは確かだ。

キクが閉じられた馬車で私を待っている。


私たちは挨拶を交わす。


「でも、どうして私がいるときはいつもこの閉じられた馬車なの?」マリクと一緒のときは、たいてい戦車みたいな車を使っているのに。


「あなた様を人目に晒さぬためです。女性にはそれが義務とされております」


「なるほど。じゃあ、今日はあなたが護衛をしてくれるのね」


「いいえ、閣下」


十三か十四歳くらいの少年がこちらに歩いてくる。少し足を引きずり、髪は項で結ばれている。どこか見覚えがある。


「閣下」彼は私に挨拶する。


「タロム?」


「殿下、ワインを一杯貸しですよ」


「その通りだ、キク。ガイアは変装していても僕だと気づいたな」


「変装は悪くないけど、声でバレたわ。でも、目はどうやったの?」瞳は確かヘーゼル色だったはずなのに、今は黒い。


「薬だよ。十時間しか保たないが」


「私の世界でそんなものを発明したら、大金持ちになれるわよ」


「僕にレシピを教えろとでも言っているのか?」


「できるならね……それはそうと、本当にこれで押し通せるの? マリクは知ってるの?」


「知ってるよ、心配しないで。ゲスアには少なくとも三、四年。もしかしたら四年かな、会っていないんだ。それに、誰も使用人のことなんてまともに見やしない」


「声の問題は残るし、信じてもらえる設定が必要ね」


「ああ、そうだな。マリクが最近僕を買い取ったことにすればいい。家の中の力仕事が必要だったから、と」


「悪く思わないでほしいんだけど、そんなに強そうには見えないわよ」


「それでも男だし、まだ成長期だから、出来上がった大人を買うより安く済んだってことにすればいい」


「わかったわ、筋は通るかも。少なくともそう願うわ。念のため、安全を期して口が利けないってことにする?」


タロムは肩をすくめる。「いいんじゃないかな」


私はため息をつく。「全部うまくいくといいけど。ダメなら、彼女にサプライズをしようとしたって言うわ」


「賛成だ。さあ、乗るのを手伝うよ」


「もう役になりきってるわね」


タロムは私が馬車に乗るのを手助けし、それから私の後ろに乗ってカーテンを引く。荷物のバッグはすでに中にあった。


「でも、名前が必要ね」


キクが馬車を走らせる。


「何か案はある? それより、私はどうやってあなたに話しかければいいの?」


「話しかけないことだ。どうしてもならジェスチャーで」名前か。アルフレッドとかアンブロージョとか、そんなのしか思い浮かばない。だめだ、こっちの世界には合わない気がする。「でも、名前ってどう選べばいいのかしら」


「適当でいいさ。数時間のことなんだから、意味なんてなくていい」


「アルフレッドはどう? 私が名付けたってことにして、私の故郷ではよくある名前だって言えばいいわ」


タロムは肩をすくめる。「いいよ」


道中、私たちは世間話を少ししただけだった。私はどこまで彼を信じていいのか迷っていたし、彼は緊張と気まずさの間にいるようだった。


でも、マリクは彼を信じた。


到着すると、タロムの振る舞いは完璧だった。私の手助けをし、一礼し、そして一言も発しなかった。

召使いが私たちを、多くの植物に囲まれ寝椅子が置かれた小さな庭へと案内する。


ゲッスアがこちらへ歩み寄ってくる。淡いクリーム色のシンプルな衣が、その大きな腹にぴんと張りついている。微笑んではいるけれど、それにしてもひどく不細工だ。


私は彼女に微笑みかける。「招待してくれて、ありがとう」


「もっとお互いを知りたいって言ったでしょう?」


「そうね。気分はどう?」


「最悪よ。早くうつ伏せで寝たくてたまらないわ」


私は笑う。「そのあとは、もう二度と一晩中ぐっすり眠れることなんてなくなるわよ」


ゲッスアは手をひらひらと振ってそれを追い払う。「そんなの、大した問題じゃないわ。さあ、こちらへ」


彼女は私を庭の奥へと導き、寝椅子を指さした。「あなたのその従者、どこか見覚えがある気がするのだけれど」


ついにバレたか。「ただの偶然じゃないかしら。マリクが侍女たちの手伝いをさせるために、つい最近買ったばかりなのよ」


「もう去勢は済んでいるの?」


反吐が出る。犬じゃあるまいし。「ええと、それは知らないわ。マリクからは何も聞いていないし……」


「誰かと問題を起こす前に、早めに済ませておくことを勧めるわ」


私はタロムを見る。彼が平然と無表情を貫いていることに感心する。どうやって耐えているんだろう。「とにかく、この子は口がきけないの。マリクが言うには、話し相手にはならないけれど、その分、誰にも何も漏らさないからいいって」


「相変わらず、兄は疑い深いのね」チャネイが、侍女を一人従えて、まるで浮遊しているかのような足取りで現れた。


一体、このあばずれがここで何をしているのよ?「チャネイ……」愛想よく接することなんてできない。彼女たちが私に対して手を組んでいるのではないかという疑念が拭えない。


「ガイア、彼女を招いたのは私よ。私にとっては大切な友人なの。あなたとも同じような関係になれたらと思っているわ」


「私もそう願っているわ」私は微笑む。ただし、目は新しく現れた女を射抜いている。チャネイは信用できない。


チャネイもまた、古代ローマの貴婦人のようなスタイルの椅子に身を横たえる。「あの夜のことが解決して、お互いすっきりできて良かったわ」


「ええ。ガイアから彼女側の話を聞いて、今は私も、誰かがザナンザに何かを仕掛けようとしたのだと確信しているわ」


「ええ、興味深い説ね」


「私とマリクは、それが最も可能性が高いと考えているの」


「さっきも言ったけれど、兄は少し被害妄想気味なのよ」


「どういう意味?」まさか、私が彼を誘惑したとでも言いたいんじゃないでしょうね。


「わかるでしょう、彼は信頼できる人間しか周囲に置かない。あなたがどうやって、それほどまでに彼の寵愛に入り込んだのかは知らないけれど」


「チャネイ」ゲッスアが彼女の言葉を遮った。「マリクは、自分が評価し、信頼できる人間に囲まれるのを好むの。おべっか使いや利己的な人間ではなくね」


「あら、そんなの誰だって嫌でしょうよ」


「彼はただ、自分の立場に見合った適切な安全策を講じているだけよ」ゲッスアがマリクを庇った。意外だった。「それに、あなたには言った通り、この件についてはもう話し合いは済んでいるの。だから今日は二人とも、その話はしないでちょうだい」少しだけ、彼女のことが好きになった。


「ええ。それに彼はいつだって細心の注意を払っているわ。彼にとって、明晰で冷静であることは生き方そのもの。大切に思い、信頼できる人々が周りにいることで、彼は心穏やかでいられるのよ」

「まあ、そうかもね」チャネイは髪の一房を整える。「新しい召使いを買ったの?」

 「ええ、今朝ね。家の重労働を手伝わせるために」

 「でも、ただの子供じゃない」

 「そのほうが、よく仕込めるでしょ」

 ゲッスアが頷く。「忘れずに去勢させるのよ」

 「ええ、大丈夫。それにこの子は口がきけないから、密告もできないし」

 チャネイが吹き出す。「それでよく『彼は神経質じゃない』なんて言えるわね。口のきけない召使いを買うなんて」

 「まあ、そんなに珍しいことでもないわ」ゲッスアのことがますます気に入ってきた。「何か飲む?」

 「ええ、ありがとう」ちょうど欲しかったところだ。

 ゲッスアが手を叩くと、すぐに侍女が駆け寄ってくる。「冷たい薬草茶を用意してちょうだい」

 「一緒に行って手伝いなさい」チャネイが自分の侍女に言う。

 嫌な予感がする。「アルフレッド、あなたも行って。何か学べるかもしれないわ」

 タロムは役になりきり、一礼すると、足を引きずりながらチャネイの侍女の後をついていった。

 「あなたの新しい奴隷、どこかで見覚えがあるわ」あの女に気づかれませんように。

 「私もそう言ったのだけれど、気のせいでしょうね」

 「そうね」気づかれませんように。さもなければ、プランBだ。

 チャネイはゲッスアを相手に喋り始める。中身のない話を延々と続けるのが彼女の特技らしい。

 一方でゲッスアは見事なもてなしぶりだ。私に意見を求めつつも決して強制はせず、チャネイの話にも穏やかに付き合っている。

 「本当に心配なのは、次の戦争のことだけよ」チャネイが自分の養蜂箱の心配をした後、彼女はそう締めくくった。

 「マリクも心配しているけれど、それ以上は何も教えてくれないの」

 「当然よ、慣れないといけないわね」ゲッスアが私を慰める。

 「でも彼女はイシュダなのよ。最低でもマリクは一隊を任せるはずだわ!」

 「まさか、勘弁してほしいわ。どうやって生き延びたのか自分でもわからないくらいなのに」あの戦いから一生が過ぎたような気がするが、実際にはまだ三、四日しか経っていないはずだ。

 「よかったらキッティワにある私のところへ来ない? しばらくマリクに同行して、そのあと私の話し相手になって過ごせばいいわ」そんなに気に入られたとは思わなかった。あるいは、私を監視して軍から遠ざけたいのだろうか。

 「いいわね」どうせその頃には、もう自分の家に帰っているだろう。

 「私はハットゥシャに残るつもりよ」チャネイは自分から押しかける気はないらしい。

 チャネイの侍女が、水差しと杯を載せた盆を持って戻ってきた。タロムの姿は見えない。

 彼女はゲッスアを皮切りに、一人ひとりに杯を配っていく。

 「ねえ、アルフレッドはどこ?」

 侍女が眉をひそめる。彼女の額には汗が滲んでいた。

 「あなたの奴隷よ、一緒に行ったあの子のこと」チャネイが苛立たしげに補足する。

 「掃除を手伝っております」

 「わかったわ」どのみち、彼は役を演じ続けなければならない。

 「では、乾杯しましょう」ゲッスアが杯を掲げる。「義姉妹の私たちが、友人になれますように」

 私たちも杯を上げる。ゲッスアとは本当に友達になれるかもしれない。根はいい人だ。

 私は杯を唇に寄せ、念のため他の二人を観察する。

 チャネイはゆっくりと含み、ゲッスアは丸一日何も飲んでいなかったかのように勢いよく飲んでいる。

 よし、一口なら信じて飲んでも大丈夫そうだ。

 冷たくて、レモンとリンゴのような味がする。ほんの少しシナモンも入っているだろうか。ピリッとするけれど、おや、悪くない。

 ゲッスアは空の杯を置くと、咳き込み、まるで空気が足りないかのようにしゃくり上げた。


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