異世界から来たガイア 26
第26章
ゲスア
あのガイアという娘との会話は、予想以上に疲れた。庭に置かれたマットレスの上に全身を投げ出し、顔だけは日傘の下に入るよう細心の注意を払う。一刻も早く出産して、体力を少しでも回復させたい。
侍女が水と蜂蜜の入った杯を運んでくる。
私は軽く手を振って、彼女に礼を伝えた。
あの娘は誠実そうに見えたし、実際、彼女の言い分は完璧に論理的だった。ようやく公式な立場を認められたばかりの今、別の男のためにマリクを裏切る理由などない。それは「強欲」な計算によるものではなく、単なる「愚行」だ。そして、私には彼女が愚かだとは思えなかった。
水を一口飲む。
冷たく甘い流れが喉を通り抜けていく。
なんと心地よいのだろう。
もちろん、誰が夫に呪いをかけたのかは皆目見当もつかない。周囲には王族や貴族しかいなかった、あの守られた空間で。誰が彼を傷つけようとするだろうか。
もし標的がマリクだったのなら、話は別だ。彼は遥かに目立つ存在だし、彼が皇后と折り合いが悪いのは周知の事実だ。ザナンザはまだましな関係だが、もし兄に不義理をすることを恐れていなければ、二人はもっと良好な関係を築けていただろう。
エンラアがそれほど邪悪な人間だとは思えない。確かに冷徹で野心的ではあるけれど、わずか十三歳で異国に送られ、王の妻の一人となるよう強いられたなら、誰だってあんな風になるだろう。あの女が何を乗り越えてきたのか、知る由もない。
その点、私は幸運だ。
いずれにせよ、彼女がそんなことをしたとは思えない。間違いなくどこかに裏切り者がいるはずだ。
「閣下」侍女が私の注意を引く。「義妹のチャニー閣下がお見えです」
「こちらへ通して。それから二人きりにしてちょうだい」昨夜の出来事を聞いたあと、後で会おうと約束していたのだ。
チャニーが入ってくる。青と白の長いチュニックをまとった姿は、いつものように完璧だ。二人の子供を産んだというのに、余計な肉は一ポンドたりとも付いていない。
私もあんな風になれればいいのだけれど。
「こんにちは、ゲスア。それで、新しい義妹についてはどう思う?」
「とても美しいわ、噂通りね。ただ、少し胸が薄いのが意外だったけれど。マリクがああいうタイプを選ぶなんて思わなかったわ」
「マリクがいきなり側室を囲うなんて、誰も予想していなかったわよね」
「ええ。私はてっきり、バビノニアかエギントの王女を迎えるものだと思っていたわ」
チャニーは不満げな表情を浮かべる。「どちらも難しいでしょうね。エギントは王女を他国へ嫁がせない方針よ。それが彼らの政治。バビノニアに関しても、マリクが承知しないでしょう」
「エンラアがいるから?」
「もう一人のエンラアが現れるのを恐れているのよ。あの人は、あれほどの影響力と自立心を持った相手と王座を分かち合うことなんてできない。私の父ならそれも可能でしょうけれど、それは父自身の威光があってこそ。マリクはまだ、父が成し遂げたことの半分も成し遂げていないもの」
「その通りね。シュッピルリウマは偉大な君主であり、将軍だわ。私の父も彼を深く尊敬しているもの」
「どこにでもいる平民を選ぶというのは、ある意味でマリクらしい選択だわ」
「どうして? 既に力を持っていて、影響力のある家柄の女性を選んだほうが、いつだって得策でしょうに」
チャニーは微笑んだ。「でも彼は、強い絆なんて望んでいないのよ。あの方は昔から猜疑心が強くて、偏見に満ちている。自分の周りに、自分以外の勢力と深く結びついた強力な者がいるのを嫌うの。周囲の人間には、同盟者ではなく、自分に服従する者であることを求めているのよ」
「でも、ザナンザは……」
「きっと、あなたを安心させるために嘘を言っているのね。もちろん、あなたのおかげで彼が以前とは違う自由を手にしているのは事実だけれど」
「そうね」
「それで、彼女に対して他にどんな印象を持った?」
「利口そうな子だと思ったわ」私は彼女に、昨夜の出来事についてガイアが話していたことを伝えた。
チャニーは遮ることなく、最後まで話を聞いてくれた。
私が話し終えると、彼女は二度ほど頷いた。「なるほど、筋は通っているわね」
「私もそう思うわ」チャニーもそう思うなら、少し安心できる。彼女は私に愛情を持って接してくれるし、人を見る目も政治的な洞察力も、私よりずっと鋭い。彼女なら、良い『冠の炎』になれるはずだ。
「けれど、誰かに術をかけるというのは容易なことではないわ。相当な力を持つ者が必要よ」
「分かっているわ。それに、法律でも禁じられていることでしょう?」
「ええ。ただ、具体的な証拠を掴むのは難しいの。多くの術は痕跡を残さないから。普通、そういったことで有罪になるのは、圧倒的な数の目撃者がいる場合だけね」
「ああ、なるほど……」
「それに、誰がそんなことをしたのか見当もつかないわ」
「昨夜のあの場に、そんなことができる人がいたかしら?」
チャニーは立ち上がり、私の前を行き来し始めた。
私は目を閉じる。誰かがそうやって歩き回ると、不安に駆られてしまうのだ。チャニーなら、きっと解決策を考えてくれるはずだ。彼女はいつも私を助けてくれたし、私とザナンザの結婚もうまくいくと信じてくれている。彼女自身も、最初は私と同じような問題を抱えていたのだから。……私も彼女のように美しければ、もっと自信が持てるのに。
「考え直してみると」彼女は切り出した。「昨夜、あのレベルの術を行使できるほど強力な人物は、少なくとも二人はいたわ」
私は目を開けた。
チャニーは私の前に立ち、影を落としていた。「私の父は真っ先に除外すべきね。司祭ではあるけれど、魔術は学んでいないし、使わないという誓いを立てている。けれど、エンラアとマリク、この二人ならあのレベルの術を使えてもおかしくないわ。もちろん、私の知らない別の誰かがいた可能性もあるけれど」
私は信じられない思いで瞬きをした。「で、でも……そんなの不可能よ! 二人ともそんなことするはずがないわ。エンラアには継子たちを傷つける理由なんてないし、マリクがザナンザに危害を加えるなんて絶対にありえない」
「言いたくはないけれど、あのガイアがザナンザを誘惑したという仮説も捨てきれないわ。彼女、私たちの知らない術を心得ているのかもしれない。結局のところ、それが一番ありそうな話だわ」
「でも、何のために?」さっきの彼女は誠実そうに見えたし、私の男を奪おうとする理由もないはずだ。
「おそらく、恐れているのよ。マリクはこれまで誰とも深い絆を結ばなかった。それは誰もが知っていることだわ。彼女はいずれ自分に飽きる日が来ると分かっている。だから、彼を孤立させて重要な同盟者を奪えば、自分の立場をより長く守れると考えているのかもしれないわね」
「とても冷酷な計画だわ」
「信じなさい。わずかな権力のためなら、どんなことでもする人間はいるのよ」
「どう考えればいいのか分からない……」私は以前よりも混乱していた。
「彼女をここに招待して、三人で一緒に過ごしましょう。そうすれば、私も彼女のことをより詳しく観察できるわ」
ガイア
「カラアル」
侍女は水差しを置き、私の方を向き直った。「何でしょうか、閣下」
「マリクは私に飽き始めてると思う? お願い、正直に言って」 私の声は懇願するように震えていた。
「閣下、マリク様の浮名については、既にご存知かと思いますが」
「ええ……」 私は床に視線を落とした。ああいう手合いはずっと大嫌いだったのに、今やこの私は、あの女たらしにのぼせ上がっている。
「ですが、あの方が女性を宮殿に住まわせたことは一度もありませんし、誰かを伴って晩餐会に出席されたこともございません」
「ええ、でもあれは強制だったわ」
「それでも、あの方は楽しんでおいででしたよ」
「でも、やっぱり飽きられてるのかも。ゲスアに言われて、不安になっちゃって」
「閣下、ゲスア様は善良で道徳的なお方かもしれませんが、あのような夫を持ちながら常にその火遊びを正当化するのは、やはり普通ではありません。本来なら夫に向けるべき怒りを、周囲のせいにして逸らしているのです」
「それは……同感ね」
「つまり、彼女は男女関係に詳しいわけではありません。単に自分に自信がなく、美しい女性なら誰にでも嫉妬を抱いてしまうのでしょう」
実際、彼女は私がこれまで見てきた中でも、相当に不細工な部類に入る。
「ですから、影響を受けてはいけません。昨夜お一人だったことにも、いくらでも理由は考えられるのですから。気を落とさないでください」
「分かってる。でも……」
「マリク様とお話しなさい。私を信じて。あの方は一度近くに置くと決めた相手を、簡単には手放しません。あの方は常に、信頼できる味方の顔を周囲に求めているのですから」
「それは、誰だってそうじゃない?」
彼女は頷いた。「左様です。ですがあの方は特に、でございます。ですから安心なさってください。今夜はきっと、うまくいきますわ」
「……彼が私を避けようとしなければ、の話だけど」
「男というものは、自分の女を遠ざけるのにも、それなりの努力を必要とするものです」
私はため息をついた。
「いずれにせよ、あの方がお戻りになるまではどうすることもできません。ですから考えすぎるのはおやめになって、今夜に備えるのがよろしゅうございます」
確かに一理ある。ここで不安に駆られたところで、事態が解決するわけではない。「……分かったわ、テラスで鍛錬してくる。マリクが戻ったら教えて」
「かしこまりました、閣下。それにしても、先ほどは見事な立ち回りでした」
「……聞き耳を立ててたの?」
「状況を把握しておく必要がございましたから。万が一の際には介入するつもりでした」
「それで、私、ちゃんとやれてた? ああいう状況は初めてだったから」
「申し上げた通りです。見事でしたわ」
「ありがとう」 私はテラスへと向かった。弓はもうそこにあるはずだ。
カラアルの言う通りだわ。ゲスアは恋愛の専門家でもなんでもないし、ケバブ屋の店主のような見た目ではない私のことを、きっとひどく妬んでいるに違いない。マリクが昨夜や今日、私を避けたのにも正当な理由があるはずよ。彼自身も動揺していたのかもしれない。あのプライドの高い彼のことだ、私を危険に晒した自分を許せずにいるのかもしれない。
信じなきゃ。きっとマリクは昨夜の出来事を調べているし、一晩中そのことを考え、解決策を探していたはずよ。ええ、絶対にそうに違いない。
テラスに出ると、太陽の光が顔に当たり、私を温めてくれた。弓を隅に置き、まずは少し走ることにした。
本当は、彼がそばにいて慰めてくれたらよかった。でも、この世界ではそういう習慣がないのかもしれないし、彼自身、どうすればいいか分からないのかもしれない。聞いた話では、彼は決して恋愛に長けているわけではなさそうだし。
私は走り始めた。
彼を信じなきゃ。彼は助けると約束してくれたんだから。それに、私たちは恋人同士ですらない。たとえ彼がいなくて寂しいと感じても、たとえ他の何よりも彼の拒絶に傷ついていたとしても、私たちは「何者」でもない。あの人に何かを求める資格なんてないし、二人の間に愛の物語があると独りで思い上がっていた自分に惨めさを感じるだけだ。
くそ、それなのに。今一番いたい場所は、彼の腕の中だなんて。
恋なんて、したくない。
マリク
ジルバムは、囚人の尋問報告を別の粘土板に書き写している。これで三枚目だ。彼の鉄筆捌きは驚くほど速く、かつ正確だ。私では到底、彼についていくことはできない。
私は市警備隊司令の執務室の中を、行きつ戻りつ歩き回る。
囚人の供述によれば、奴らはアッスナの金で雇われたという。だが、それでは話が通じない。我々は和平協定を結んでいるのだ。奴らにできることといえば、せいぜい嫌がらせをしてこちらを苛立たせることくらいだろう。
ザナンザが進めている丘での捜索で、もっと運良く何かが掴めることを願うばかりだ。
ガイアはどうしているだろうか。昨夜の私の振る舞いは最悪だった。だが、ジルバムの言う通りだ。彼女は私の将来の「冠の炎」になるべき相手ではない。それでも、あのような瞬間に彼女を一人にしたのは間違いだった。あの場に残るべきだったのだ。
戻ったら、彼女を抱き寄せて、どんな気持ちでいたのかを聞いてやろう。そして、少し睦まじく過ごそう。一日中ひとりでいたのだから、きっとそれを必要としているはずだ。
もしかしたら、あの夜のようなことがまた起こるかもしれない。
熱い震えが下腹部を揺さぶる。くそ、彼女が私に与えてくれた悦楽を思い出すだけで、すぐに昂ぶってしまう。あれほど多くの女を抱いてきたというのに、未熟だった頃でさえ、これほどの影響を受けたことは一度もなかった。
いや。いや、いけない。ガイアは元の世界に帰るべき存在だ。あんな女にこれほど深入りしてはならないのだ。私はこれまでの人生、ずっと自制心を保ってきた。今さら、間違った女に縛られるわけにはいかない。
「陛下」 受付の職員が執務室に入ってきて、一礼した。「ご兄弟のタロム陛下がお見えです。ぜひお会いしたいと」
「通せ」
私はジルバムを見て肩をすくめた。「なぜ彼がここに来たのか、見当もつかないな」
「エンラア様のご子息は、これまで陛下に対して悪意を示したことはありません。もしかすると、何か興味深い話を持ってこられたのかもしれませんよ」




