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異世界から来たガイア 14

第14章

ガイア


敵の指揮官が私に突進し、剣を振り上げる。


私は衝撃に備えて膝を曲げ、盾でその刃を受け止めた。


衝撃が骨まで響き渡る。


片手盾には手のひらほどの亀裂が走り、その切っ先が不気味にこちらを向いている。


巨漢が自国語で何かを唸るように吐き捨てた。


私は剣を突き出し、相手の脚を狙って鋭く踏み込む。だが、太ももをかすめて薄皮を切り裂いたに過ぎなかった。


しまった、まずいことになった。


相手は強引に盾をひったくろうとするが、私は決して離さない。刃が食い込んでしまったようだ。


盾を外側へと押し出し、相手の構えを崩して、あわよくば剣を奪い取ろうと試みる。


相手は抵抗するが、その動きで一瞬、守りが開いた。


その瞬間、腹に蹴りを食らい、肺の空気が押し出される。


後ろへと弾き飛ばされた。体は「く」の字に折れ曲がる。


息ができない。


ちくしょう、予想外だ。


盾はまだ腕にかかっているが、この裂け目ではもう役に立たない。幸い、剣はまだ手元にある。


敵が再び突っ込んでくる。


このままでは殺される。


「ガイア!」マリクが喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。


私は右へ転がり、巨漢の振り下ろした一撃をかわした。


立ち上がりざま、剣の切っ先を相手の脇腹へと突き出す。


相手はその場で体をひねり、私の剣を自分の刃で受け止めた。


金属が激しくぶつかり合い、火花が散る。


私の光り輝く鉄の刃が、相手の黒ずんだ刃と交差する。


相手の剣、その先端から拳一つ分ほどの位置に亀裂が走った。


敵の目に驚愕の色が浮かぶ。


「な……何だ、これは?」


その隙を逃さず、私は一歩踏み込み、盾を相手の手首へと力いっぱい叩きつけた。


相手が剣を取り落とすと同時に、私はその喉元に自分の剣を突きつける。


剣先で、その柔らかな肉の感触を確かめる。


敵の指揮官は降伏の証として両手を上げた。


「部下に降伏を命じなさい。さもなければ死ぬことになるわ」

自分でも驚くほどの毅然とした態度で命じる。


相手が剣を拾い直せないよう、その上に足を乗せた。


相手は頷こうとしたが、私の刃が刺さり、わずかに血が滲む。


彼は自国語で何事かを発した。


私の周囲で、敵兵たちが次々と武器を投げ出していく。


こちらの味方も最後列まで到達し、その光景を目の当たりにする。


「ガイア、神々に感謝を……」マリクが駆け寄り、背後から私を抱きしめた。


彼の部下二人が、敵の指揮官を拘束し連行していく。


「イシュダー! イシュダー!」味方の兵たちが歓声を発する。


私は戸惑いながら周囲を見回した。「何が起きたの?」

抱きしめたままのマリクに問いかける。


「君が本当に戦の女神の使いだと、皆が信じたんだ。この勝利は君のおかげだと、兵たちが称えているんだよ」


「そんなわけないわ……」振り返れば、ただ無茶な行動を重ねただけだ。


「心配で死にそうだった……」マリクが耳元で囁く。


「私だってそうよ」私は彼の方を向いた。


彼は血と砂にまみれ、顔には擦り傷があるが、私と同じようにどこも欠けることなく無事だ。


彼は私に会えたことを喜び、私もまた、彼の姿を見て喜びが込み上げる。


私は彼の首に腕を回し、口づけをした。


マリクは私を強く抱きしめ、そのまま抱き上げた。


兵たちの叫びが一つに重なり、爆発した。

「イシュダー!」

都への帰還は歓喜に沸く群衆の中で行われ、私はそれをマリクやキクとともに、戦車の上で満喫していた。


道の両側では、絶え間なく王子の名が呼ばれ、それがイシュダーの名とともに繰り返されていた。


マリクは、たとえ損失が予想以上に大きかったとしても、先に都へ伝令を送って勝利の報を伝えさせるという策をとった。九十四名が戦死し、五十二名が負傷。それでも負傷者の大半は生き延びるはずだという。


マリクによるこの一手は、この勝利を自らの存在を知らしめる機会へと変えた。


そして私はずっと彼の傍らで、呆然とし、眩暈を覚え、高揚感に包まれていた。


二日前まで、こんなことは不可能だと思えた。それなのに今、私は一種の戦争のヒロインとなっている。誰もが私を、戦と情熱と美の女神イシュダーの遣いだと信じているからだ。


マリクでさえ、少しはそれを信じている節がある。


宮殿の近くに到着する。ここでは群衆が集まることはなかった。おそらく、それに関する法があるのだろう。


「死んだ人たちや、怪我をした人たちはどうなるの?」


「明日に合同葬を執り行う。負傷者については、完治するまで帝国がその費用を負担することになっている」


「亡くなった人の家族は?」


「通常、戦利品は指揮官と兵士の間で分配され、戦死者の分はその家族に与えられる。だが、私は自分の取り分を放棄するつもりだ。他の戦車兵たちにも同じようにするよう促した」


「どうして?」


「我々はすでに富んでいる。これほど僅かな戦利品を必要とはしていない」


「そうね。でも、いくつか話しておきたいことがあるの」


「何でも言ってくれ、ガイア」


「今日は怖かった。怖すぎたわ。だから家に帰りたい、それに……」 私は言葉を最後まで繋げられなかった。


マリクが私を抱きしめる。「落ち着いて。できる限りのことはするつもりだ」


「それに、ティルの家族にお礼を言って、お悔やみを伝えたいの。それから、もし許されるなら負傷者たちを見舞いたいわ」


「分かった。だが、その調子で続けるなら気をつけろ」


「どうして?」


マリクは私の頬にキスをしたが、何も言わなかった。私と目も合わせようとしない。まるで何かを言いたくないのか、あるいは隠し事をしているかのようだった。


「陛下、あそこに門の前にいるのは、鍛冶屋のムルではありませんか?」


確かに門の前には、今朝知り合ったあの気難しそうな鍛冶屋がいた。


「彼だ」とマリクが認める。「実のところ、彼に支払いをしなければならないんだ」


「がっかりですよ、陛下」 私は彼をからかってみる。「あなたならすぐに支払いを済ませるものだと思っていました。もし戦死でもしていたら、借金を残したままになるところでしたよ」


「そのために、万が一の事態に備えてジルバムがすべてを把握している」


「さすがね」 彼はあの書記官を相当信頼しているに違いない。考えてみれば、今に至るまで彼が一緒にいるのは心から信頼している者たちだけで、他の者とは距離を置いている。


門に近づくと、ムルが一礼した。「お帰りなさいませ、陛下。勝利の報は聞き及んでおります」


「ありがとう、鍛冶師ムル。お前の武器のおかげでもある。特に、私の愛しき側室に授けてくれたものについてはな」


もう「愛しき」なんて呼ぶの? こんなに短い期間で。一年の付き合いがあった元彼でさえ、そんな言葉は一度も口にしなかったのに。


「その件についてお話ししたく、参上いたしました」


「もちろん、支払いの件を決めねばならんな」


「あなたの武器が私たちを救ってくれました」 私は作法は正確には分からなかったが、敬意を示すためにムルに向かって一礼した。


「そのことについて、お二人とお話ししたいのです。陛下、そしてガイア閣下と」


「分かった、入ろう。父に会う前に身支度を整える時間はまだある」


私たちは宮殿の中に入る。戦車から降りると、キクが馬を所定の場所へと連れていった。彼も疲れ果てているはずだ、道中ほとんど口を聞かなかった。


朝食をとったあの部屋へ向かう。


「お帰りなさいませ、陛下、閣下。ムル殿、またお会いできて光栄です」 ジルバムが一礼して私たちを迎えた。


「ありがとう、ジルバム。ムルが我々二人と人払いを望んでいる。席を外してくれ。誰も邪魔をさせないように」


なぜこれほど秘密にする必要があるのか理解できなかったが、マリクを信じるのが最善だろう。彼となら何も恐れることはない。


「承知いたしました」 書記官の声には、わずかな名残惜しさが混じっていた。「テーブルに水と杯を用意しております。他に必要なものは?」


「必要になれば呼ぼう」


「かしこまりました」 書記官は部屋を出て、私たちを後にした。


マリクは腰掛けに座り、私たちにも座るように促した。


「ムル、お前とは昔からの付き合いだし、その腕前も高く評価している。お前は独特の性格をしていて、決して無駄な口は叩かない。そのお前がこれほど慎重に話をしたいというからには、相応の理由があるはずだ。間違いなく、金の話ではないだろう」

今回は私のほうが呆然とする番だった。まるで紀元前二千年に放り出されたような気分だ。


「我が一族は代々鍛冶を家業とし、時の流れの中で鉄の鍛え方を見出してまいりました。ですが、それがどれほど危険なものかも熟知しております。ゆえに、相応しきどなたかに託したいと考えていたのです」


ムルは私の前に跪いた。「イシュダに遣わされし者、そしてマリク陛下の側室であられるガイア様。私はこの剣をあなたに捧げ、またあなたの伴侶として、マリク陛下に鉄の知識を献上いたしましょう」


「私は……私は」 何と言えばいいのかわからない。「ありがとう、ムル」


ムルは頭を垂れた。「この祝福された刃を認め、それに値する姿を示してくださる方を、我々は何十年も待ち続けていたのです。礼を言うべきは私のほうです」 彼は再び座り直した。「あなたのおかげで、我が一族の務めの一つを果たすことができました」


今朝の彼とはまるで別人だ。自分の言葉を心から信じている。どう反応していいのかわからない。そもそもここに留まりたくすらないのに、今日という一日の間に、私は突如として国にとってすら重要な人物になってしまったようだ。


「ムル、今『祝福された刃』と言ったな?」 マリクはその細部を聞き逃さなかった。


「いかにも、陛下」


「イシュダによるものか」


「その通りです。女神への誓いとして打たれ、高位の巫女――正確には、陛下のご母堂の母君にあたるお方によって祝福されたものです」


「では、お前にとっては家宝のようなものではないのか?」


マリクは腕を伸ばし、私の手を愛おしそうになでた。「案ずるな、ガイア。ムルはこれを君に贈ったのだ。私は彼の意思を尊重する。それよりも、これには神聖な力が宿っているのだろうな」


「はい、もちろんです。祝福を授かったこの剣は、使い手の戦士としての、あるいは指揮官としての能力を高めます。さらに、冷静さを保たせ、恐怖心を抑える効果もございます」


「だからあんな風に戦えて、助かったんだ……」 初めての経験だったのに。確かに吐いてしまったけれど、あれは凄惨な光景に対する嫌悪感のせいだ。「この剣がなければ、私は生き残れなかった。本当に感謝します」


「閣下、あなたは自らの力で生き延びられたのです。剣はただ助力を与えたに過ぎません。それよりもイシュダに感謝なさい。あの方こそがあなたを守り、慈しんでおられるのですから」


「ムル、一つ頼みがある。もちろん、断ってもらっても構わない」


「何なりとお申し付けください、陛下」


「我らと共に宮殿へ参り、今日の出来事を皇帝に報告してくれぬか」


そのことを忘れかけていた。


マリクは一体、何を企んでいるのだろう?


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