異世界から来たガイア 13
第13章
ガイア
心臓が、かつてないほど激しく脈打っている。
馬の蹄の音よりも、戦場の中央で交わされる剣の衝突音よりも強く。
一撃一撃が胸に、目に、喉に響く。まるで何かに取り憑かれたかのようだ。未だかつて味わったことのないアドレナリンと、すべてを一瞬で失ってしまうのではないかという、凍りつくような恐怖。
弓を握る指に力がこもる。だが、それが射るためなのか、震えを止めるためなのかはもう分からない。自分が自分ではないようだ。
怖い。
本当の、本物の、深い恐怖だ。自分のためだけではない。この理解を超えた戦場の真っ只中にいるからだけでもない。彼のためだ。
マリクのため。
次に彼を見たとき、彼はすでに地に伏し、手から剣がこぼれ落ち、血が泥の中でヴェールのように広がっているのではないか――その可能性が。
この恐怖は、戦いそのものよりも私を動転させる。
死体よりも。
人殺しになってしまったことよりも。
別の世界から来た異邦人である私が、心の底からマリクの生存を祈っている。
彼だけが私を家に帰せるからでも、彼だけが私を守り、安心させてくれたからでもない。
彼がこの上なく美しく、たとえ性的なことが何もなかったとしても、昨夜が人生で最も特別な時間の一つだったからでもない。
彼と共にいることは叶わない。それと同時に、こここそが私の安らげる場所なのだと感じている。
自分が生き残れないかもしれないことさえ、もうどうでもよくなっている。彼から遠ざかっているくらいなら、死に向かう方がましだとさえ思っている。絶望と不安の中で私を待っている家族のことさえ忘れ去って。
「様、準備はよろしいですか?」ティルが尋ねる。先ほどの鼓舞が恐怖に変わっていないか、確かめるためだろう。
「ええ」心の中では恐怖と不安で精神が崩壊しかかっているというのに、私は毅然とした態度を装う。
ティルは答えない。
きっと、そうは見えていないのだ。くそ。走る戦車から飛び降りないのは、ただ敵の餌食になるのが分かっているからだけだ。
ティルが首を伸ばす。「何か見えてきました。あともう少しで到着するはずです」
矢をつがえる。もう残りはほとんどない。「分かった」
ティルがわずかに向きを変え、最後尾の隊列を回り込む。
数台の戦車が、最も近くにいる敵の背中に矢を放つ。
私もそれに倣う。
一頭の馬が、口から泡を吹き、背中に投げ槍を第二の尻尾のように真っ直ぐ突き立てたまま、こちらに向かって駆けてくる。
「ちっ」ティルが毒づく。
馬を持っているのは私たちだけだ。
傷ついた馬は脇へ逸れ、戦場から遠ざかるように走り去っていった。
傷ついた馬、叫び、死体、罵声。敵と味方が入り混じる中、マリクはそこにいた。彼はもう戦車の上ではなく、地に足をつけていた。剣と小さな盾を手に戦っている。
彼の周囲にいる男たちは少なく、円陣を組んで固まっている。敵を遠ざけてはいるものの、数で劣り、疲労の色は隠せず、苦戦している。
マリクは怒りと技術、そして疲労を滲ませながら動いている。盾で一撃を受け止めると、別の男の喉を突き、すぐさま最初の敵に向き直って脚を狙う。
別の兵士が王子の背後に回り、槍を盾で防ぐ。
十人ほどの敵が最後尾の列から逃げ出し、私たちの前を通り過ぎていく。彼らは武器を捨て、戦闘とは逆の方向へ走っていく。
無秩序な逃走だ。
「ちっ、あんな奴らに矢を無駄遣いしてはいけませんよ、様」
「分かってるわ、ティル」矢は少ないし、たとえ人殺しになったとしても、無益な殺生はしたくない。
家に帰ったら、今日したことの記憶に一生苛まれるだろう。どこかの心理学者を儲けさせることになるわね。
くそ、誰にも話さない方がいい。さもないと精神病院に閉じ込められてしまう。
牛の角がついた兜を被った、背が高くがっしりとした男が逃走兵の方を向き、理解できない言語で怒鳴り散らしている。
敵の司令官に違いない。
黒い模様が描かれた鋲付きの革鎧に何本もの矢が突き刺さっている様は、まるで不死の巨人のようで、いっそう恐ろしく見える。
彼は長槍で味方の一人をなぎ倒し、さらに怒鳴りつけた。
矢を探す。
敵の司令官は、戦場を指し示す部下との言い争いに没頭している。
奴らは油断している。今が好機だ。
私は指揮官の顔を狙い定める。
片方の目から顎にかけて、一本の傷跡が走っている。
矢を放つ。
放たれた矢を追う。狙いは正確だ。
指揮官が振り向く。
くそっ。
矢は兜に弾かれ、彼の頭が横に跳ねた。
なんてこと。致命傷ではないが、奴は確かに衝撃を感じたはずだ。
「見事な一撃です、様!」ティルが称賛する。
「集団を狙って!」私は残った部下たちに命じ、敵の指揮官を指し示す。
敵の指揮官は地面から投げ槍を拾い上げ、構える。
槍が放たれる。
しまった!
投げ槍が私に向かって飛んでくる!
「ティル、伏せて!」彼の腕を強く引く。
私は戦車の縁の下に身を屈めた。
ヒュッという風切り音と、何かが砕ける乾いた音が響く。
投げ槍はティルの胸を貫いていた。彼は叫ぶ暇もなく、手綱を指から滑らせた。そのまま崩れ落ち、戦車から転げ落ちていく。
「いや!」
私は手綱を掴み、強く引く。
馬たちが速度を落とした。
「ガイア!」マリクが大声で私の名を呼ぶ。
ティルがやっていたのを思い出しながら、敵の指揮官から遠ざかるように舵を切ろうと試みる。
馬たちが向きを変える。
完璧だ。
手で額の汗を拭う。今はとにかく安全な場所へ。
敵の指揮官が何かを叫ぶ。
振り返る。
逃げかけていた敵兵たちが足を止めた。
指揮官が私を指差す。
小隊が私に向かって突撃を開始する。
くそ。
離れなければ。
一人の歩兵が戦車に飛び乗ってきた。
私は悲鳴を上げる。
「ご安心ください様、味方です」
「驚かせないでよ」
彼が手綱を掴む。「驚かせるつもりはございませんでした。失礼、これは私がお預かりします」
私は喜んで手綱を譲った。「矢が尽きてしまったの」
「まずは離れましょう。敵は様が重要人物であると気づき、狙いを定めています」
敵の集団を観察する。
味方たちが私を援護するため、残りの矢を奴らに浴びせている。
安堵の溜息をつく。
新しい御者が反転を始めた。
そこへ上空から投げ槍が降り注ぎ、一頭の馬の肩に突き刺さった。動物はいななき、パニックに陥る。左側へ激しく暴れ、蹴り始めた。戦車は制御不能になり、その場で回転する。
避けきれなかった二人の走兵を巻き込んでしまう。
彼らに正面から衝突した。
御者が毒づき、手綱を引く。
世界が傾く。
私は御者に叩きつけられた。
私たちは外へ放り出される。
御者の叫び声。
必死で立ち上がる。御者の体がクッションとなり、落下の衝撃を和らげてくれた。頭がふらつく。めまいを抑えようと額を押さえる。
熱い。
パッと手を離すと、それは血で汚れていた。落下の時に切ったのだろう。
脚にも痛みがあるが、立つことはできる。大したことはない。
私を助けてくれた青年は戦車の傍らに倒れていた。腕が不自然に曲がり、苦悶に顔を歪めている。呼吸はしているが、戦うことは不可能だ。
敵の指揮官はますます孤立している。彼のわずかな部下たちがマリクたちを食い止めている間に、軍の残りは後退しつつある。
私たちは勝っている。
敵は私を見据え、槍をこちらへ掲げた。
私を狙っている。
私は剣を抜く。
使うしかない。
「ガイア、逃げろ!」マリクが叫ぶ。彼も彼の部下も、援護に来るにはあまりに手が離せない状況だ。
辺りを見回すと、戦える者は私を含めて六人残っていた。彼らは戦車から降り、私の周囲に集結する。
一人の御者だけが戦車に残り、敵の指揮官目がけて突っ込んでいく。馬で轢き殺そうという魂胆だ。
対する指揮官は地面から投げ槍を拾い上げ、突進してくる御者目がけて投げつけた。槍は彼の胸を貫通する。
「様、ここにいてください。我ら三人であいつに当たります。見ていてください、必ずやり遂げますから」
「ええ」少なくとも、そう願うしかない。
「走兵は残り、様をお守りしろ」
一人が円形の盾を差し出した。私は礼を言い、左腕にそれを通す。木製だが、見た目よりはずっと軽い。
三人が突撃を開始し、敵の指揮官を三方向から攻めるように散らばった。
背後で叫び声が上がる。
逃亡中だった五人の敵兵が、こちらに突撃してくる。
逃げ出したいが、脚が動かない。
そのうち二人は、すぐに二人の走兵によって食い止められた。
残りの三人が、私の方へ向かってくる。
「様、膝を曲げて盾を前に構えてください。剣は彼らに向けて真っ直ぐに。私のように」走兵が手本を見せる。
私はそれを真似る。盾で斬撃を弾くのに、ちょうど間に合った。
衝撃が腕を伝わって震わせる。
本能的に、剣を真っ直ぐ突き出す。まるでレギオン(ローマ軍団兵)のドキュメンタリー映像で見た動きのように。
硬い何かにぶつかり、それが突き破られて、その先の柔らかいものへと沈み込む。
相手が叫ぶ。
私は恐怖に震えながら剣を引き抜く。
それは血で赤く染まっている。
相手は腹を押さえ、革の鎧からは赤い川が流れ出している。
隣の走兵は二人を相手に奮闘している。片手で一人の武装した腕を掴み、もう一人に剣で突きを入れようとしている。
私は助けに向かう。
盾の陰に身を隠し、叫びながら、押さえ込まれた腕に一撃を振り下ろす。
刃は驚くほど容易く骨まで食い込み、それを叩き割り、反対側へと突き抜けた。
腕を切断された男が、その断面から血を噴き出しながら人間離れした悲鳴を上げる。
この剣がこれほどまでに切れるとは思ってもみなかった。
走兵も、残された相手も呆然としている。私の反撃を予想していなかったのか、それともこの剣が普通ではないのか。
言葉を交わすこともなく、二人で残った一人に襲いかかる。
盾で相手の剣を阻む。最初の敵にしたのと同じように動こうとするが、今度は空を切る。
走兵の方が運が良く、剣先を相手の目に突き立てる。眼球が卵のように弾け飛ぶ。
酸っぱいものが喉を駆け上がる。
頭がくらむ。
膝を折り、今しがた殺したばかりの男の上に吐き戻す。
「大丈夫ですか、様?」
あまり自信のないまま頷く。
「やはりあなたはイシュダーに遣わされたお方だ。その剣も尋常ではない」
立ち上がる。気分は最悪だが、休んでいる暇はない。
「他を助けましょう」
叫び声が上がり、仲間のうちの一人が地に倒れる。
私の走兵が、怒りに満ちた猛々しい咆哮を上げて残った敵に突撃する。おそらく友人だったのだろう。
私は彼の後に続く。
もう一人の走兵も倒れ、二対二になる。
剣の一撃が放たれ、私はそれを盾で受け止める。
相手に向かって剣を突き出すが、空を切る。
彼は左腕で短剣を突き立てようとするが、私の鎧に阻まれる。
私は盾を外側へ押し出し、剣を持った相手の手を弾き飛ばす。
隙ができた。
私は剣を首筋に振り下ろす。
刃は筋肉を裂き、骨まで沈み込む。
相手は目を見開き、剣と短剣を取り落とした。
私は一歩、後ずさる。
男は喉を押さえ、喘ぎながら崩れ落ちる。
私はもう一方の戦いへと向き直る。
走兵は膝をついている。脚を射抜かれたのだろう。三歩ほど駆け寄り、一撃を浴びせるが、それは防がれる。
敵が人間離れした悲鳴を上げる。走兵が股ぐらから腹に向かって剣を突き上げたのだ。
「大丈夫ですか、様?」
「私は平気よ。あなたは?」
「脚を負傷しました……もう戦えません」
勝ち誇った叫び声。
敵の指揮官が、対戦相手の一人を斬首した。
首のない胴体が、まるで降参を拒むかのように一瞬だけ立ったまま留まる。
血まみれの巨漢は孤立し、肩で息をしている。向かってきた三人全員を仕留めたが、今は疲れ果て、傷ついている。
私から十メートルほどの距離。手には一本の剣、左腕は力なく垂れ下がり、上腕から革の腕当てに沿って血の筋が流れている。動かせる腕は一本だけだ。
マリクたちはまだ敵と交戦中だが、両陣営ともすでに人数を減らし、疲弊しきっている。
敵の指揮官が、彼らに向かって何かを叫ぶ。
「王子」
マリクを、こちらの言語で呼ぶ。「彼女は重要人物だ。ならば降伏しろ、そうすれば彼女は生かしてやる」
「マリク! しないで!」私のせいで降伏なんてしてほしくない。
降伏なんてできない、私たちは勝っているのだし、私のせいで負けるなんて嫌だ。私は足手まといではないし、彼だけが私を家に帰してくれる存在なのだ。
指揮官が私を見る。「降伏しろ。そうすれば二人とも生きられる」
「勝っているのは私たちよ、降伏するのはあなたの方ね」私は強気に言い返す。うまくいくことを願って。
奴は笑う。「貴様ら全員を殺せば、俺の勝ちだ。この薄汚いあばずれが」奴が突進してくる。
くそ、あの男、本気でこちらに突っ込んでくる。
奴が剣を振り上げる。
私は膝を曲げ、盾の陰に身を隠す。




