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異世界から来たガイア 12

第12章

ガイア

 少し前……

 

 丘の上を吹き抜ける風が頬を刺し、唇を乾かす。

 私は戦車の床板に置かれた水筒を見つめる。

 喉はからからだ。水を飲みたいけれど、もしこの後でトイレに行きたくなったら、あまりにも場違いで気まずい状況になってしまう。

 唇を噛む。緊張は最高潮に達していた。マリクの身に何か起こるのではないかと恐ろしくてたまらない。自分が役に立てないのではないかという不安が胸を締めつける。たとえ、私が戦うことになる可能性が極めて低いとしても。

 緊張を紛らわすために歩き回りたいけれど、ここでは誰もが冷静に、自分の持ち場を守っている。少なくとも、見かけの上では。

 弱い姿は見せられない。

 私はマントを深く羽織り、眼下の平原を見つめる。丘に挟まれたその平原は、今にも中身をぶちまけそうな盆のようだ。部隊はすでに布陣を終えている。私たちの隊列はほぼ全戦線を覆っていた。最前列に歩兵、その後ろに弓兵、さらに後方に歩兵の予備隊と戦車が並ぶ。ここから見ると、戦車が側面へと打って出るための通路が確保されているのが分かる。

 敵の突撃が始まる。

 こちらの兵たちは盾の背後に身を隠し、衝撃を受け止める構えをとる。

 双方から命令と罵声が飛び交う。

 こちら側から矢が放たれる。

 最初の犠牲者が出る。

 そして衝突が起きた。木と鉄がぶつかり合う音、響き渡る号令。両軍の矢が唸りを上げる中、二つの歩兵隊が激突する轟音が響く。

 大した戦いではないと聞いていたのに、大地が震えている。

 恐ろしい光景だ。

 目が離せない。まるで催眠術にかけられたかのように。

 前列の男たちがよろめく。倒れる者が出ると、すぐさま別の者がその穴を埋める。盾を頭上に掲げ、矢の雨を凌ぐための動く屋根を作る者たち。肉体がひしめき合う。

 心臓の鼓動が激しすぎる。喉は塞がり、胃がきゅっと収縮する。

 「様……」ティルが私に囁く。「しゃんとしてください。震えていますよ」

 自分では気づかなかった。「どうしてそんなに落ち着いていられるの?」

 「落ち着いてなどいませんよ。戦車の縁を掴んで、深呼吸をしてください。少しは楽になります」

 「ありがとう」

 私は御者の言うとおりにする。

 後方の、戦車が控えているあたりに目を凝らす。

 見つけた、マリクだ。

 彼はキクや他の戦車と共にいる。彼の赤いマントは、砂煙の中で一筋の炎のように揺らめいている。彼を識別できることが重要であるのが見て取れる。彼が合図のために腕を上げる。いよいよ出撃するのだと分かった。

 彼も緊張しているはずだ。私以上に。彼は自分自身の、そして兵たちの命を懸けているのだから。

 なのに私は、最後に会ったとき彼を激しく責めてしまった。確かに彼にも非はあったけれど、最後に交わした言葉が、あんな刺々しいものであってほしくない。

 戦車の車輪が動き出す。

 馬たちが低く、鋭く駆け出す。斜め方向への疾走。徒歩の走者たちがその傍らを並走する。

 私は息を止め、力任せに戦車を掴む。喉が渇くのは砂のせいではない。恐怖が胃を締めつけているのだ。ああ、こんな気持ちは初めてだ。お願い、マリク、無事で戻ってきて。

 戦車の周りには、残った軽装の歩兵たちが付き添っている。

 「どうして戦車の間に歩兵がいるの?」視線を外さずにティルに尋ねる。

 「近づきすぎる敵を阻むためです。それと、戦車から落ちた者を救助するためでもあります」

 「ああ、なるほど。でも、戦車に置いていかれないの?」結局、馬の方が速いのだから。

 「十分に訓練されていれば大丈夫です。もちろん、戦車が全速力で駆ければ追いつけませんが」

 私はうなずく。

 「ですが、馬が全速のギャロップに入るまでは、訓練された軽装歩兵なら同行できるのです」

 「ありがとう」

 「どういたしまして、様」

 きっと彼は、私のことを無知だと思っているに違いない。特に、戦の女神と縁がある身としては。実際、彼の言う通りだ。ただ、そのことがマリクに悪影響を及ぼさないことだけを願う。もう二度と会わないかもしれない相手のことをこれほど心配するなんて馬鹿げているけれど、考えてみれば、彼は私を危険から遠ざけるために、あらゆるところに気を配ってくれていたのだ。

見張りの一人が叫ぶ。

私ははっとして振り向く。

丘の裏側から、二十人、いや三十人ほどの男たちが素早く駆け上がってくる。軽装で、音を立てない。重い鎧は身につけていないが、小さな盾と短い槍を持ち、髪をきつく後ろで束ねている。

敵だ。

敵が、近すぎる。

「すぐに伏せて!」ティルが叫ぶ。「ここでは持ちこたえられない!」

ティルが手綱を強く引き、馬が走り出す。

私は戦車にしがみつく。

他の者たちも何も聞かない。ここで斜面を背にして、無防備なまま白兵戦に持ち込まれれば、抵抗できないと分かっているのだ。

戦車が動き出し、もたつきながらもやがて加速する。

車輪の下で砂が跳ね上がる。

一本の槍が戦車の縁をかすめ、乾いた音を立てて地面に突き刺さる。もう一本が私の頬をかすめた。

彼らは私を殺そうとしたのだ……。

「ご無事ですか、殿下!?」ティルが叫ぶ。

当然だ、今は戦争中なのだ。それが普通だし、マリク以外にも私を狙う者はいた。

それでも、この世界で私にとって唯一の安全な場所は、マリクのそばだけだ。

「大丈夫。それで、次はどこへ向かうの?」

「味方の後方へ戻ることもできます」

「そうね」でも、もし敵をそこへ連れていけば、後方を奇襲にさらすことになる。

「考えがあるの。少し無茶かもしれないけれど」

「それは?」

私たちは丘を下りきったが、敵は依然として背後から追ってきている。

「敵の側面に沿って進みましょう。中央からは距離を置いたままで」

「味方の方へは向かわないのですか?」

「いいえ、陛下のもとへ向かいます」

ティルが引きつったような笑いを漏らす。「ご命令を。ここではあなたが最上位の身分なのですから」

そうだ、私は皇族の一員なのだ。あるいは、彼は責任を取りたくないだけかもしれない。

「敵の側面に沿って進んで!」私は声の限りに命じる。「戦闘の中心から離れ、敵の後方へと突き進むのよ!」全力で叫ぶ。

随行の兵たちが鼓舞するような叫び声を上げる。

私たちは敵軍の方へと向きを変え、王子と平行に進む。

彼らが、自分はイシュダから遣わされたというマリクの言葉を信じているのか、それとも本当に私の考えを良しとしているのかは分からない。

戦車は逸れた矢のように進路を変えた。後退する代わりに、乱戦の外側に留まりながら敵の側面を切り裂いていく。追ってくる者たちは歩調を早め、散らばらざるを得なくなる。背後から叫び声や混乱した号令が聞こえる。足を緩める者もいれば、先回りしようとする者もいる。だが地形は彼らに味方せず、私たちとは対照的に、彼らには疲れが見え始めている。

戦場の側面を駆け抜ける。掘り返された大地の上で戦車が轟音を立て、馬は荒く息をつきながらも速度を落とさない。

追っ手が後ろから迫る。足音、武器の触れ合う音、そして中央の激突音に混ざり合う怒号。騒音があらゆる場所に満ちている。

なんてこと、これに比べれば『ロード・オブ・ザ・リング』の戦いなんて、ままごとのようなものだ。

砂煙の中から人影が飛び出す。私の戦車から十メートルもない距離。執拗に追ってきた敵の一人だ。汗と砂で顔を汚し、槍を振り上げている。

私は弓を掴む。木製の弓で、重さは使い慣れたものとは違う。

矢を番える。

弦を引く。重く抵抗を感じるが、私の力に応えてしなる。

矢を放つ。

矢は男の首と鎖骨の間に突き刺さった。一瞬、男は何が起きたか気づかない様子で、よろめきながら槍を落とし、傷口に手をやった。

鮮やかで光沢のある、不自然なほど赤い血が激しく噴き出す。男がよろめき、横倒しに崩れ落ちるのが見えた。

私は人を殺した。

今のところ、罪悪感はない。だが満足感もなく、歓声を上げる気にもなれない。ただ、事実だけがある。剥き出しで、残酷で、取り返しのつかない事実だ。胃が締めつけられ、手が震えるが、止まるわけにはいかない。まだ他の追っ手がいる。

「見事な腕前です、殿下!」御者が叫ぶ。

心臓が再び鼓動を始める。私の心臓は。だが、多くの者の心臓はすでに止まっているのだ。

さらに二人の敵が、隣の戦車に近づく。こちらの走者の一人が彼らを迎え撃ち、剣で突きを放つが、最初の一人に防がれる。

私はもう一本の矢を番え、放つ。味方の男を援護したい。

もう一人の敵は、私の矢を胸に受け、同時に放たれた別の矢を額に受けて射抜かれた。

別の射手がこちらに向かって歓喜の声を上げる。

私には、それに応えることができない。

味方の走者が残った敵を追い詰め、脚を払って地面に叩きつける。

戦車の車輪が、その上を通り過ぎる。

誰も止まらない。

「奴らを引き離しています!」御者が叫んだ。

「泥でも食ってろ!」近寄ってきた走者の一人が叫ぶ。

口の中が渇ききっている。まだ五、六人の敵が私たちを追ってきている。

最後尾の二人はついに体を折り曲げ、追跡を諦めた。追うには疲れすぎていたのだ。

戦車はそれほど速くない。解き放たれた馬の方がずっと速いが、差をつけるのは持久力だ。走者たちが一体どんな訓練を積んでいるのか、見当もつかない。

別の一人が矢を受ける。

「引き離しているわ」ティルに伝える。

「見事です、様」

確かに、追っ手のほとんどは速度を落とした。立ち止まる者もいれば、引き返す者もいる。まだ追ってくるのは、わずか三人だ。

彼らは諦めようとしない。

一人が左から戦車に近づき、投げ槍を構える。

もう一度矢を放とうとするが、角度を誤る。矢は砂埃の中に消えた。

投げ槍が放たれ、御者の背中に突き刺さる。

敵が歓声を上げる間もなく、彼は矢に射抜かれた。

数を数える。戦車一台と、四人の走者を失った。

敵の一団が側面から離れ、盾に守られながらこちらへ突進してくる。

矢を放つが、敵の盾に突き刺さるだけだ。

くそ、どうやって当てればいいのよ。

「様、脚を狙ってください」ティルが助言する。

「分かった、やってみるわ」一番外側にいる男の脚を狙う。放った矢は、彼の足首を捉えた。

敵は絶叫し、地面に崩れ落ちる。

他の戦車も私の例に続く。

敵の一人が走りながら投げ槍を構える。

放つ。

相手も投げる。

私の矢はわずかに外れる。

投げ槍が迫る。

一人の歩兵が剣でそれを弾き飛ばした。

「ありがとう、借りができたわ!」私は礼を言う。

「仕事ですから……様」彼は息を切らして走る。

敵の投げ手は撤退しようとするが、私の後ろの戦車によって背後から仕留められる。

「名前は?」走者に尋ねる。二十歳くらいの若者で、小柄だが筋肉質だ。黒髪をポニーテールのように結び、他の走者と同じように麻の広いつばの帽子を被っている。

「タムヤムです、様」

「戦いが終わったら、陛下に褒美を出すよう伝えるわ」

タムヤムは目を見開く。「ありがとうございます、様!」と喜びの声を上げる。

私は彼に微笑みかける。ああ、マリクが本当にそうしてくれるといいけれど。戦場に側室を連れてくる者なんてそういないだろうし、専用の勲章でも考えなきゃいけないかもしれない。

私たちは最後尾の隊列へと走る。

ここはさらに混乱し、秩序が乱れている。

マリクたちの仕業に違いない。

敵の一団が後列から離れ、警報を鳴らす。

「ちっ……」私は低く毒づく。

「様、後方が見えてきました。大きく迂回すればさらに引き離せます」

「そう思う?」敵の陣形のど真ん中に矢を放つ。悲鳴が上がる。

「ええ。奴らもこちらを追うために中央を明け渡すリスクは冒せません」

矢を番え、再び放つ。他の戦車も同様だ。「私たちが勝っていればの話だけど」

「様、我が軍を信じてください」

「どうしてそう言えるの」もう一本放つ。また別の悲鳴。

「前を見てください」

「見ない方がいいかも」狙いを定めてまた射る。敵を遠ざけておけるうちは、うまくいっている。

「いずれにせよ、逃げ出している者たちがいます」

「ということは……」私は言葉を濁す。

「勝っているということです」ティルが結論づける。

「陛下のもとへ行くわ。もし敵将のところにいるなら、戦いを早く終わらせる手助けができるかもしれない」

「ご命令を、様」

簡単に言ってくれる。彼らがまだ私の権威を受け入れてくれるといいけれど。

「ハットゥシャの男たちよ!」私は叫ぶ。「マリク陛下のところへ向かうわよ!」

ティルが私を鼓舞するように叫ぶ。

彼だけだ。

くそ。もう一度。

「イシュダアのために! ドゥルカンのために! 奴らを粉砕せよ!」弓を空に掲げ、叫び直す。

今度は、より確かな反応が返ってきた。

「卑劣なウルグどもを討ち、その将も……」ティルが小声で助言をくれる。

「卑劣なウルグどもを討ち果たせ! そして奴らの将も!」

叫び声はより高く、熱を帯びていく。

うまくいったわ!

「マリクのもとへ!」命じる。ああ、陛下と呼ぶのを忘れた。でも今は重要じゃない。

矢を番え、敵陣のまっただ中に放つ。

耐えて、マリク。今行くわ。


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