表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/23

異世界から来たガイア 11

第11章

マリク


ガイアが見える。彼女はティルの戦車の傍ら、私が残していった男たちと共に丘の稜線に立っている。鎧に押さえられていない淡い色のマントが、風にわずかに揺れている。彼女が手を上げる。おそらく挨拶だろう、もしかしたら、もう私にあんなに怒ってはいないのかもしれない。

あそこなら安全だ。

吐き出す息がゆっくりになる。今の今まで気づかなかったが、私は息を止めていた。だが今はまた、目の前の平原を再び見据えることができる。戦士たちの足音が平原に響き渡り、鈍く連続した、執拗な鼓動のような音を立てている。

キクは腕を伸ばし、硬い手で手綱を握りしめている。口には出さないが、日の出前から彼が汗をかいているのを私は見ていた。彼は奥歯を噛み締めている。

「怖いか?」気を紛らわせるために尋ねる。

「馬が心配なのです、陛下。決してあなた様のことではありません」

私は微笑む。「忠実な僕が言いそうなことだ」

「あなたはイシュダアに守られています。剣にガイアの髪を結びつけているのを、私が気づかないとお思いですか?」

「ジルバムとばかり一緒にいるから、お前までそんな細かいことに気づくようになったのだな」

「何と言おうと、あの娘に興味があることは否定できないでしょう」彼は悪戯っぽく微笑んだ。

私は沈黙した。彼の言う通りだ。出会って日は浅く、未来がないことも分かっているが、私が知る虚栄に満ちた貴族の娘たちよりも彼女のことが気に入っている。

戦車が跳ね、軍の左翼でより良い位置につくために数歩前進する。周囲では戦車が斜めの列に配置されていく。馬たちは後ろ脚を震わせ、砂を蹴っている。彼らは血の匂いと緊張を感じ取っているのだ。一頭が広がった鼻孔から熱い息を吐き出し、埃を舞い上げる。

「あそこをご覧ください」キクが顎で指し示す。

その視線を追う。敵の歩兵が動いている。走ってはいないが、長年の訓練を積んだ者のように前進してくる。整然とした群れをなし、前列では丸盾が隙間なく並び、下から突き出す短槍が準備されている。足取りで彼らが速いことが分かる。ウルグ族にこれほどの規律があるとは予想外だった。彼らは単なる略奪者ではない。

馬も戦車も持たないが、簡単に降伏するつもりはないようだ。

「中央を突破して、我々に騎兵を使わせないようにするつもりでしょう」

「ならば、我々はさらに強く打ち込むまでだ」キクは自分自身を納得させるような口調で言い返した。

最初の二列の後ろでは、弓兵たちが整然と並び、次々と射撃の準備を整えている。矢はすでに番えられている。矢尻が朝の鋭い光を受けて反射する。

私も自分の弓を確かめる。弦は張り詰め、射撃の準備はできている。滑らかで黒い木が、抑え込まれた獣のように手の中で震える。矢は戦車の中の矢筒に収まっている。

「まずは矢で始め、それから戦車で包囲するぞ」

キクは頷く。その手はわずかに震えている。それでも彼は一度も操縦を誤ったことはないし、これが初陣というわけでもない。

歩兵が前進する。私たちとの距離が足音のリズムに合わせて縮まっていく。前列の味方たちは槍を下げ、剣を構え、盾をしっかりと据える。叫んでいない者は祈っている。

私はすでに神々に祈った、自分のため、そしてガイアのために。イシュダアとザルスが我らを守らんことを。

鋭い響き。私の腕が上がり、それと共に軍旗も上がる。合図だ。

風を切る音。

もう一つ、風を切る音。

矢が飛ぶ。最初の矢は盾に当たるが、いくつかは肉を貫く。一人の男が折れ曲がり、崩れ落ちるのが見えた。悲鳴が上がり始める。

その下で、衝突が起きた。

両軍の歩兵が激突する音は、壁に石を投げつけた時のようだ。それは単なる木と金属のぶつかり合いではない。裂ける肉の音、途切れる吐息、最初の戦死者たちの叫びと罵声だ。

姿は見えないが、彼らを感じる。

打撃を感じ、叫びを感じる。心臓が胸の中で打ち鳴らされる。

この感覚には、決して慣れることはないだろう。

私が皇帝になった暁には、新しい平和の時代を築くために尽力しよう。

こちら側から放たれる矢に対し、敵の投げ槍が応戦してくる。

「盾を上げろ!」私は命令を叫び、それが繰り返されていく。

「第三、第四列前進、弓兵を保護せよ!」声が届かない者にも何をすべきか理解させるため、私は軍旗を動かす。

「騎兵! 準備せよ、私の合図で計画通り前進するぞ」

「はっ、陛下!」戦車兵、御者、護衛の歩兵たちが声を揃えて応じる。

歩兵たちが弓兵の前を通り過ぎ、盾で投げ槍を阻止しようとする。

衝撃を受け止めている隊列の背後で、さらに二列の歩兵が隊形を整えつつある。後ろの兵たちは盾を頭上に掲げ、前列の者たちを飛来物から守っていた。

私は兜をかぶり、留め具を締める。

キクが祈りをつぶやく。

きっと、彼だけではないはずだ。

剣を握り、ガイアの赤い髪を一本だけ、そっと指でなぞる。細い糸のようなそれ。数日後、すべてが思い通りに進めば、彼女の形見として私の手元に残るのはこれだけになる。

最前線から、また一つ罵声が聞こえてくる。

私は旗を下ろす。

「今だ! 出るぞ!」

キクが舌を鳴らし、馬を駆り立てる。

手綱が張りつめる。

馬たちが前へ跳び出す。

戦車は左へ傾き、それから大きく弧を描いて立て直す。

周囲では、戦車隊が一斉に動き出していた。大きく、速く、迷いのない旋回。混乱と砂煙が機動の大半を覆い隠し、やがて敵の側面が見えてくる。前列は我らの歩兵と激しくぶつかり合い、後方からは後続が押し上げていた。

側面を守る戦車も部隊も存在しない。予想通り、奴らは突破にすべてを賭けている。

敵はこちらに気づいていない。中央の戦線を維持することに必死なのだ。

自分たちの翼がむき出しになっていることにも、まだ気づいていない。

私は弓を上げる。

呼吸する。

放つ。

一本の矢が飛ぶ。

続けてもう一本。さらにもう一本。

部下たちも一斉射撃に加わる。

一人の男がこちらを振り向き、警告を叫ぼうとする。だが言い終える前に、矢が喉に突き刺さった。他の者たちも倒れ、さらに別の者たちが傷を負ってよろめく。

数人が盾を掲げて前に出て、仲間を守ろうとするが、すでに手遅れだ。

中央から兵を引き抜けば、突破される危険を冒すことになる。

「射ち続けろ!」私は部下たちを鼓舞する。

数人の敵がこちらの前に立ちはだかる。槍を握り、盾を掲げている。

走者ランナーは援護しろ! 戦車は減速! 近づく敵はすべて射て!」

御者たちは命令を遂行する。危険な賭けだが、まだこちらに優位がある。

十数人の走者が我々を追い越していく。敵より数が多い。

正面の敵が突撃してくる。

盾を掲げた一人の男が側面から離れ、こちらへ突っ込もうとするが、十歩も進まぬうちに地面へ倒れ伏した。

矢はあと六本。その後は矢筒を替えなければならない。

走者たちは敵へ向かっていくが、接触の直前で横へとかわす。

小さな敵の隊形が崩れ、隙が生じる。

私はすぐに矢を番え、放つ。

一人の敵が首に矢を受けて崩れ落ちた。

「突撃!」隊形が崩れた今、奴らに抵抗する術はない。走者たちを救うのが先決だ。

私の戦車が加速する。車輪が大きすぎる石を跳ね越え、その衝撃が背骨を伝って全身に響く。

キクが悪態をつくが、操縦は乱さない。

さらに二度射る。二人の敵が崩れ落ちる。彼らの体に刺さっているのは、私の矢だけではない。

今日はどうやら、ついている日らしい。

残った四人は逃げ出そうとするが、その間に走者たちが退路を塞ぎ、側面から斬りかかる。

こちらには、まだ一人の犠牲者も出ていない。

やはり今日は、間違いなくついている日だ。

最後の一人も倒れる。

「陛下、おつかまりください」キクが警告した。

私は戦車の縁を掴み、激しい揺れに耐える。馬の蹄と戦車の車輪が、死体を引き裂き、蹂躙していく。

「近づいているぞ!」私は部下たちに向かって叫ぶ。

先頭の我々は矢を使いすぎた。後のために温存しておかなければならない。「後列にいる者は側面に回れ! そのまま敵を射続けろ!」私は命じる。

走者たちがすぐ後ろをついてくるが、彼らは疲弊している。一人は負傷した腕を押さえている。彼は、何としてでもついていかなければならないことを知っている。戦車の守りから外れれば、待っているのは死だ。

先頭の我々は速度を落とし、逆に後尾にいた者たちが右側から追い抜いて敵へと近づいていく。

命令は期待通りに実行された。

私は他の戦車を確認する。

ヤンネルが歓声を上げ、喜びを叫んでいる。彼にとっては二度目の戦いだが、去年に比べれば実によく対応している。

一方、ウッテは隊形の外側に位置し、狙いを定めて射撃している。彼の性格からすれば、端に追いやられたことに不満を感じているだろうが、命令に従わねばならないことは理解している。

数を数える。戦車は十台すべて揃っており、二十人の兵も無事だ。負傷したのは走者の一人だけだ。

我々は敵を包囲するために疾走を続ける。

後方に敵指揮官の旗が見えた。黒い竿に、鮮やかな赤。戦線の先にある小さな高まりの上で、三人の男がそれを支えている。その周囲には十五人ほどの精鋭部隊がいる。我々の矢を防ぎきれないかもしれないが、軽視はできない数だ。

その周囲に積み上げられた藁の山が気に入らない。即席の遮蔽物のようだが、まるで罠だ。単なる防御なら誰かが後ろに隠れているはずだが、そこには誰もいない。

敵の一団が我々に気づき、迎撃しようとしてくる。

最初の矢が放たれるが、奴らは盾の後ろに固まった。

矢は木や革にぶつかり、鈍い音を立てて弾き飛ばされる。

それにもかかわらず、我々が圧倒的に有利だ。

私は振り向き、あの丘を探す。

ガイアが見えない。

さっきまで彼女がいた場所に、今はもう誰もいない。何の動きも、何の兆候もない。彼女と一緒に残した男たちも消えている。盾一つ、槍の穂先一つ見当たらない。

「キク……丘が……」私は囁く。

「前を見てください!」彼が叫ぶ。「奴らが突っ込んできます!」

敵の一団が、盾に守られていた者たちの背後を走り抜けることに成功していた。彼らは盾の列を壁として利用し、最初の戦車の側面へと襲いかかった。

一本の投げ槍が、前方の戦車の馬に突き刺さる。

馬はよろめき、戦車はその場で回転して進路を外れた。乗っていた二人はどうにか飛び降り、砂埃の中を転がる。

キクは彼らを紙一重でかすめて通り過ぎる。

「大きく回れ! 迂回して、あの旗を奪うぞ!」

くそ、状況が厄介になってきた。

私は空いた手を剣にやり、ガイアのあの一本の髪をなぞる。ガイア、お前はいったいどこへ消えたんだ。

弓を引き、我々の機動を援護するために三本の矢を放つ。

「まるで、待ち伏せされていたみたいだ……」私は呟く。

「偶然でしょう、陛下」

我々は軍旗へと、ますます近づいていく。前方では二台の戦車が道を切り開いていた。

一本の矢が私の頬をかすめた。熱い線が肌を裂く。

血だ。

一人の男がちょうど我々の目の前で倒れる。キクは寸前でそれを避けた。

干し草の山から矢が放たれる。

罠だ。

私は振り向き、こちらの戦車のうち四台を指さす。「お前たちは降りて盾を持て。走者の半数と共に我々を援護しろ」

おそらく自殺行為だ。だが、もう少しで敵の指揮官が射程に入る。彼の周りには二十人ほどしかいない。

敵の集団が指揮官の指示で動く。

こちらへ向かってくる。

度胸はある。

一人が投げ槍を放ち、前方の戦車に命中する。御者が叫び声を上げて崩れ落ちるが、馬たちはそのまま走り続ける。

二本目の投げ槍が飛び、馬の顔面に突き刺さる。馬は急停止し、そのまま崩れ落ちた。即死だ。

戦車が大きくよろめく。

射手は跳び降り、地面を転がる。

戦車は横転し、生き残った馬が恐怖に駆られて空を蹴り上げる。

「矢の雨を降らせろ!」

私は声の限りに叫ぶ。

今や我々が先頭の戦車だ。

「キク、私が射ち終えたら旋回しろ」

彼はうなずく。

弓を引き、敵に向かって五本の矢を放つ。

キクはやや急な旋回をして、これ以上近づきすぎるのを避け、他の射手に場所を空けた。

振り返ると、他の者たちも後ろからついてきている。

敵は今や苦境に立たされている。死んでいない者や負傷していない者は、盾の陰に身を隠している。

干し草の山の方で戦っていた者たちを確認する。

そこにはもう誰もいない。だが、彼らが我々の隊列の後方に回っているのが見える。どうやら逃げる前に、必要な時間だけ足止めをしたらしい。

運だけでなく、知恵も回る連中だ。

「降伏しろ!」敵の指揮官に向けて叫ぶ。「すぐに我が歩兵も到着する。そうなれば貴様らは全滅だ!」

「穏やかではない未来ですね……」キクが呟く。

「降伏すれば、少なくとも命だけは助けてやる!」

矢もほとんど尽きかけている。本当に援軍が来なければ、剣と盾で戦うしかない。

まずはここを片づける。それから、ガイアがどこにいるのか突き止める。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ