エピソード2の第1章 今日から3年生
エピソード1とは、似ているけど、別の話を仕切り直しています。
今日から中学3年生。最初の登校日。
あたしは、髪の毛をきちんと整え、校則でばれない程度の軽い化粧をした。そして、セーラー服に、スカート。家を出て、はじめての通学路。学校が近づくにつれ、登校する同級生や下級生と多くすれ違う。
この学校には、転校してきたばかり。声を掛けて挨拶する子はいない。そもそも知っている人もいない。見たことがあるような顔はいたかもしれない。
あたし、絵理。でも去年まで、英太という名前の男子生徒だった。でも、どこかで身体と心のミスマッチが起こったようだった。「性同一性障害」っていうらしい。専門的なことはよくわからない。でも、中学校に入った頃から、男子の仲間に全く入っていけなかったのを自覚した。男子と話すより、女子と話す方が気楽。そして、自分の身体が、男子っぽく成長していくのに、ついていけなかった。
思い切って、家の中では、男子でいることをやめた。
最初は、妹の洋服を借りた。いやがられた。ママの洋服は、サイズが違うので入らなかった。おねだりして、あたし用の、普段着の洋服を買ってもらった。下着も買った。髪の毛も女子っぽくセットしていった。お手洗いも、次第に女子のスタイルでしかできなくなった。妹からはきもいと言われた。でも段々、あきらめられたと思う。次第に、洋服とかアクセサリーとか、ダメだしくらいはしてくれるようになった。妹としては、やりこめているつもりかもしれないけど、あたしは感謝してた。
でも、家の中だけだった、お友達には話せない。
そして、3年生になるタイミングで、パパの転勤で、家族全員で引っ越し。新しい場所。この町に、知っている人はいない。
そんな新しい場所で、春休みに一度、思い切って、女子の洋服で街中に出かけた。普通に街中に溶け込んでいたと思う。踏ん切りが付いた。
ママはこの間「性同一性障害」について調べてくれていた。あたしもママから薦められ、メンタルクリニックを受診していた。転校する学校で、あらかじめ春休みに、ママと学校に相談していた。4月から女子として登校させてくださいと。学校としては、できるだけ配慮はしますよ、と。
そして始業式。今日から3年生。
今日は新しいあたしのはじまり。学校も新しくなった!女子の制服で登校する!家の中だけじゃなく、学校でも女子として生きる!そして今、実行している!




