エピソード2の第2章 自己紹介
新しいクラスで、早速自己紹介。
「**絵理です。Z県Z市から引っ越してきました。この町もこの学校も、知っている人はいませんけど、よろしくおねがいします」
みんな「ふーん」という顔で、ぱらぱらと拍手してくれた。
「そういえば絵理さん、前の学校でなにか部活やってたの?」
先生に聞かれた
「吹奏楽部をやってました」
「うちの吹奏楽部、人数が少なくって。コンクールに向けて経験者が入ってくれたら喜ぶと思うよ」
トランス女子だということは、ひとことも口にしていない。きちんと口にした方が良かったのかな....でも、転校してきて、いきなりそんな話をしても、話がこじれそう。ただでさえ、人間関係ができてそうな集団に、あたしが入り込んだんだから、このまま目立たないように、ひっそりと1年間過ごせたら良いのかな、なんてね。
放課後、吹奏楽部の部室を訪問した。
「話は聞いてる。今、うち、部員が15人で、それでもコンクールに出ようとしてるから、経験者が入ってくれるのは大歓迎よ」
部長の亜由子さん。とても人懐っこく、親切。前の学校と同じ楽器を担当することになった。コンクールで演奏する曲、アルメニアンダンス。前の学校で1年生の時に、少しだけ練習して、行き詰まって、練習をやめた曲だった。へえ、少人数で演奏できる譜面ってあるんだ。同じ楽器には後輩が一人。
「転校生なので、あたらしい学校で不安だったんです。居場所ができそうでうれしいです」
亜由子さんも、にこっと笑ってくれた。他の団員も、みんな優しそう。男子は....なんだか真面目そうな人が多いな。




