エピソード2の第3章 女子の領域
お手洗いは、ちょっと迷った。でもひとこともトランス女子などと公言してないので、女子お手洗いを使うしかないだろう。
体育実技は2クラス合同で、更衣室も男子・女子で教室をわけている。
これも、女子更衣室となっている教室に入るしかなかった。でも、さすがに罪悪感が強くなった。
教室には入らず、着替えをせずに、そのまま職員室に行った。
先生は、あたしの事情を知っているみたい。でも積極的に先生からカミングアウトすることはない。
「絵理さんの事情は聞いてます。それで、今日は見学するのね。これからもずっと?他の生徒たちにはご自分で説明する?」
「すいません。これからもずっと見学にしてください。先生からは『病気持ちで、体育に参加できない』程度でお願いできないでしょうか」
「ううん、先生からはなにも説明しません。見学を認めます、とだけ。聞かれたら、自分で答えてね」
まあ、特別仲の良いお友達ができたわけでもないので、なにか聞かれることもなかった。
5月には運動会。あたしは見学。入場行進で吹奏楽部がマーチを演奏した。周りの子は体操服だったけど、あたしは夏服の制服で演奏した。
「いくら見学でも、体操服じゃないと、暑いよ、制服が汚れるよ」
亜由子が心配してくれた。でも、あたし、体操服だと体型が目立ちすぎるから、こっちの方が良い。そんなことは言わなかった。
6月には水泳の授業もはじまった。言うまでもなく....。
せっかく女子として学校に通えるのに、参加できない行事があるのって、もったいないな。




