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エピソード1の第7章 進路

 家の中ではまあまあ平和なんだけど、でも学校に行ったとたんにやっぱりしんどくなる。部活だけはがんばったが、それが終わるとすっかり保健室登校に戻った。でもそろそろ、進路を決めないといけない。

 私立高校のパンフレットが、学校に山のように届いていた。職員室近くの廊下で、先生も生徒も、自由に閲覧できる。

 あたしは、他の生徒が寄りつかない時間に、パンフレットをじっくり見た。

 どうしても、女子高にばかり目が行く。パパは公立高校の先生、一度職場に行ったことがある。高校ってこんなもんかと思っていた。パンフの中の学校は、全く違う!おしゃれ!きれいな設備!


「志望校は、K女子高とM女子高とX女子高です」

 先生に呆れられた。「絵理さん、うちでは絵理さんを受け入れましたが、女子高が絵理さんを受け入れられるかは、ほとんど期待できませんよ」

 がっかり...。

「でも、隣の県のL女子高だったら、絵理さんのような子も、受け入れるっていう情報はあります。必要だったら、ご家庭でパンフレットを取り入れて、検討して下さい」


 ママにも頼んで、L女子校のパンフレットを手に入れた。

 パンフレット請求の時に、あたしの事情を学校に話したらしい。

 パンフレットとは別に、個別の案内文書が添えられていた。

「大々的に宣伝していませんが、当校は、性別を問わず生徒を募集します。ただし個別に、最大2泊3日の入試を、別途行うことがあります」その辺を詳しく説明していた。

 通学できなくもないけど、全寮制らしい。

 10月に学園祭があるらしい。一度行ってみよう。


 学園祭を見て、やっぱり私立の女子校っていいなと思った。

 ママには負担を賭けることになるけど、ここを第一志望にする。一応公立の共学も受けておく。

「絵理の成績だったら、公立トップの学校も狙えるよ」

 そんな風にも言われたけど、全然興味なかった。高校は、できれば、あたしらしくいられるところに行きたい。


 あの出来事以来、すっかり保健室登校だったが、幸いというか、勉強の配布プリントとかは、女子のクラス委員の子が数日おきにまとめて持ってきてくれた。自習で勉強は十分おいついていた。テストの席次も、なんとか学年上位を保っていた。


 一度、校外の模擬試験を受けた。制服で受講するように指示されたので、もちろんセーラー服で行った。幸い、同じ学校の生徒は誰もこなかった。集団での受講生をいくつか見かけた。市内の有名女子中学校とか、有名進学校とか。みんなすごいな。小学校の時はお受験とか全く関心がなかった。同級生でも、中学受験組はほとんどいなかった。東京は違うって聞く。あたしの住んでる所って、多分田舎なんだと思う。となりに座ったのは、その有名進学校の男子。話しかけようかな...もちろん、そんなことはしなかった。それにしても女子中学校の制服っておしゃれ。


 L女子高校の入試。不思議な入試だった。筆記試験は楽勝。面接試験はともかく、そのあと3日間かけて、寮で料理を作ったり、一緒に運動したり、イベント参加したり、ディスカッションしたり。あれのどこが、試験なのかしら。女子生徒としてふさわしくない行動をとりそうな予兆があれば不合格にするとか、そんな説明だったと思う。でもあの3日間は、保健室登校していたこの1年よりよほど、自分らしく行動できた。なにより、あたしを一人の女子として認めてくれたのが嬉しかった。

 合格した。うれしい。


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