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エピソード1の第6章 家族のこと

「女の子なんだから、休日の部活の弁当くらい、自分で作れるようになりなさいよ」

「はあーい」


 妹の能理子のりこが、ママから注意されている。


「最近は絵理が、食事の支度を手伝ってくれるからありがたいわ」

「ちょっとそれおかしいんじゃないの?」


 能理子が抗議している。


「だってお兄ちゃん、学校さぼってるじゃん。あたし、部活で放課後も休日もくたくたなのよ。あたしもね、オカマの妹って学校でいわれて、大変なのよ、ママもお兄ちゃんも分かってるの?」

「お姉ちゃんって呼んでくれないの?」

「お断り」


 いつもの会話。妹からは、まだまだあたしが女子ってことを、完全に受け入れてくれない。まだまだケンカが多い姉妹。


 学校をサボっているわけでもない。保健室にだけ行ってるってこと。クラスに入ってない分も、きちんと勉強しているつもり。

 それとは別に、女の子に期待されることって、一通りできるようになりたい。料理や、裁縫。学校の家庭科の時間に少しはやったんだけど、ママにあらためて教えてもらった。そしてお化粧も。花嫁修業みたいって笑われた。一度「彼氏の作り方とか教えようか?」って言われた。男子と接するのはまだまだ怖い。「もっと大人になったら教えて」とだけ答えた。


 時々、能理子がうらやましく思える。子どもの頃から女の子として期待され、女の子として育ってきた。あたしは、13歳頃まで、女子としての経験がない。幼い頃から、女の子だと思いながら生活してたら、もっと楽になれた場面が多かったのかなって、想像することが多い。「女の子として育ち直したい」って思うこともある。さすがに恥ずかしくて、口には出せない。


 思えば、能理子の方が、あたしより早くオトナになった気がする。あたしは小学校4年生くらいまで、ママとお風呂に入っていた。能理子は恥ずかしいって、早々に一人で入るようになった。あたしもお友達や能理子にからかわれてやめた。中2の頃、女の子の生活がすっかり身についたころ、ひさしぶりにママと一緒にお風呂に入った。能理子からは呆れられた「お兄ちゃんきもい!」でもあたしは、お風呂の中で思いっきりママに甘えた。「能理子がうらやましい。産まれたときから女の子で」。さすがに、ママにも呆れられた。甘えられるような年齢じゃないことも自覚した。


「そうそう、花嫁修業のお姉ちゃん、あたしのブラウスのボタンがとれちゃったの。つけてくれない?」

「いいわよ、お安いご用」

「能理子!そのくらい自分で!」


 能理子から、お姉さんとして期待されるときには、精一杯対応する。今はそれだけでも嬉しい。

 本当は、能理子の方が、あたしよりなんでもできる。ピアノだって、あたしが先に習い始めたのに、いつのまにか能理子の方が、随分先の教則本をやっていた。あたしも勉強は、学年20番以内に入ってるけど、能理子はいつも学年トップらしい。あたしは運動は全くだめだけど、能理子は小学生時代からサッカー選手。一度あたしが、友達から泣かされてるときに、妹に守ってもらったこともある。多分、料理も裁縫も、本気出したら、あたしなんかがかなわないくらい上手にやるだろうな。姉妹で、上手くバランスが取れてるんだろうなって、思っておく。


 そうそう、パパも大好きだよ。高校の先生。吹奏楽部の卒業生が、パパの授業を受けたことがあるって言ってた。でも、あの出来事以来...やっぱりパパでも、ちょっと苦手って思うことはある。「女の子だから、父親を嫌う時期があるって、普通だよね」って笑ってた。能理子がツッコんでたけど。


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